コラム / 塩田紳二のIntel Espresso 第43回
命名、IA-64は“Itanium”
1999年10月19日
Itaniumと書いて○○と読む
『Itanium』というのが、IA-64の最初の製品名になった。おそらく、インテルの慣習によれば、IA-64の第1世代は、Itaniumという名前がすべて使われるだろう。
ところで、これはなんと発音するのだろうか? インテルの人は『アイテニアム』といっていたそうである。よく似た単語に『Titanium』というのがある。いわゆる『チタン』のことだ。日本語では“チタニウム”あるいは“チタニューム”だろうか。もっとも英語では、“タイテーニアム”と発音するので、まあ、“アイテーニアム”でもヘンではないのだろうが。
ところで、このTitaniumは、ギリシャ神話に出てくる巨人(個人を指すときもあるし、一族の名前でもある)、日本語でいう“タイタン”(あるいはティーターン)が語源。古くから知られている元素以外は、ギリシャ神話から神様の名前を取って付けたのだが、これもその1つ。ギリシャ神話上は、Titanは、Uranus(ウラヌス(天)。もちろんこれは、最近世間をお騒がせのUraniumの語源)とGaea(ガイア(地)。そういう名前の車もありましたな)の子供である。
もうこのTitanには、“巨大な”、“大力無双”といった意味があり、アメリカのICBMの名前にもなった。この形容詞が“Titanic”つまり、昨年DEC(現コンパックですな)のAlphaが“沈めた”と宣伝していたあの船の名前である(もう1つ“チタンの”という意味もある)。
さて、このTitaniumからTをとったItaniumだが、“IT:Infomation Technology”なんかを想像させちゃうこともきっと期待しているだろうし、やっぱりTitanなんかのイメージを借りちゃおうなんて気持ちもあるに違いない。
居心地の悪い“アイテニアム”
だが、アイテニアムでは、日本語としては語呂が悪すぎる。略して“アイテ”では、言いにくいし、長音つけて“アイテー”では、秋葉原のショップみたいだ。第一、文章にすると“あ、痛てッ”みたいでねぇ。ここは、日本式に“イタニューム”とか読む人も出てくるかも。これだとこのあと、『Itanium II』や『Itanium III』なんか出てきても“イタツー”とか“イタスリー”とか略せるし。“イタプロ”(Itanium Pro)なんてもの語呂がいい。来年は、秋葉原あたりで「イタの800メガください」なんて会話が普通になる……そんなに安かねぇか。
なぜか、日本では、なんとしてでも略語を作ってしまうという習慣がある。Pentium IIが“ペンツー”だからねぇ。中にはPentiumを単に“ペン”とか“ペンチ”とかいう人もいるし……。会話の中で、個人が略して使うのはかまわないと思うが、どうしても出版物やウェブなどでは、こうした省略が使いにくい。というのは必ずしも読む人全員が、省略を理解しているとは限らないからだ。
かつて、コカコーラがテレビコマーシャルで「コークと呼ぼうコカコーラ」と宣伝していたが、それぐらいやってくれれば、大手を振って使えるんですけどねぇ。
AMDも64bitアーキテクチャーを発表
さて、Itanium採用のマシンは来年後半には登場の予定だという。最初は、ハイエンドサーバー用だろうから、あまり、個人には関係のないことではある。しかし、長期的にみると、デスクトップマシンにも使われるようになるはずである。このまま、いつまでもサーバー用ということでは、数が出ないからだ。AMDは、インテルが16bitから32bitへx86アーキテクチャーを拡張したのと同じような方法で、64bit CPUを作るという。
たぶん64bit命令用のプリフィックスを命令の前につけるとレジスタやアドレス指定が64bitに拡張されるという方法なのだと思う。これはこれでお手軽で、従来ソフトにとってはありがたい方法かもしれない。こっちのほうが、どちらかというと先にデスクトップで使われるようになるような気がする。既存のアプリケーションが高速で動き、しかもOSを容易に64bit化できるAMDのアプローチは、なんとなくマイクロソフトのOSにとってありがたい方法のように見える。現在のOSをIA-64で動かすよりは、パフォーマンスがいいかもしれない。
32bitでいいという発想もある
とはいえItaniumは、いまだ製品は出荷されておらず、どうなるかわからない代物である。インテルといえども、過去には、売れなかったCPUもあったわけで、どうなるかは予断を許さないところいう感じだろう。特にいま、世の中は低価格PC一色という感じだし、サーバーといっても、Pentium程度で十分な用途も多く、マシンが安いから、1機能1マシンなんて贅沢な使い方も不可能ではないし、ネットワークサーバーだとクラスタリングという方法もありえるわけで、ひたすらに高性能を単体マシンに求める傾向は、以前に比べると低くなっているような気がするのだが……
塩田紳二氏プロフィール
某“家電の巨人”メーカーでパソコンの開発に携わった後、フリーライターとして独立。ハード、ソフト両面での知識と経験と人間漫才のような企画力で雑誌、単行本、Web Zineで活躍中。
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(塩田紳二)
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