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IBM、モバイルPentium II-300MHzを搭載した『ThinkPad』など、企業・ハイエンドユーザー向け製品を発表

1998年09月09日 00時00分更新

文● 報道局 佐藤和彦、小林久

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 日本アイ・ビー・エム(株)は、『ThinkPad』シリーズに、Pentium II-300MHzを搭載した3機種を含む、4機種11モデルを追加した。また、企業ユーザー向けの“コマーシャルデスクトップ”シリーズにも省スペース一体型の『PC710』など、2機種3モデルを追加する。今回の製品開発にあたって同社は、信頼性、管理コストの低減、自然環境への配慮などを主眼としており、『PC710』では、PCからPCへの閉じたリサイクル(クローズドループのリサイクル)を実現したという。

 本日行なわれた記者会見では、冒頭で、同社の取締役でパーソナルシステム営業部長の堀田一芙氏が挨拶。E-BusinessのツールとしてのPCを改めて強調した上で、「21世紀に向けた企業PCのテーマは、トータルコストを下げる仕組みを標準で持つこと、最低限必要な機能だけを提供すること、長く使える製品を提供すること、リサイクルを視野に入れること」だと語った。

パーソナルシステム営業部長の堀田一芙氏パーソナルシステム営業部長の堀田一芙氏



 なお、同社の企業向けPCの大幅なラインナップの変更は、5月以来のこと。今回の発表で、同社がすでに発表していたマルチベンダー環境での標準システム管理機能を実現するUMA(Universal Management Agent)に対応した製品が初めて発売されることになる。

『ThinkPad』シリーズ

 今回発売になったのは、『ThinkPad 770X』、『同600』、『同560Z』、『同380Z』の4機種。いずれもCPUにモバイルPentium IIを搭載しており、『380Z』を除く3機種には、モバイルPentium II-300MHzを搭載したモデルが用意されている。従来機種からのおもな変更点は、CPUのアップグレードとメモリー、HDDの容量を増加させたことなど。筐体のデザインや大きさなどに変化はない。

・『ThinkPad 770X』

ThinkPad 770X
ThinkPad 770X



 『770E』の後継機で、モバイルPentium II-300MHzを搭載した3モデルが発売された。XGA(1024×768ドット)対応の14.1インチのTFT液晶ディスプレーを搭載したモデル(9549-71J)と、SXGA(1280×1024ドット)対応の13.7インチTFT液晶ディスプレーを搭載したモデル(9549-7AJ、9549-7BJ)が用意されている。なお、SXGAに対応した13.7インチの液晶モニターの採用は、Windows NT環境でCADを使用するユーザーを考慮に入れたもので、ノートPCとしては業界初の試みだという。

 従来機種からの主な変更点は、ビデオチップがDVDの動画再生に必要なMPEG2デコーダ機能を持つ米Trident Microsystems社のCyber 9397DVD(4MBまたは8MBのSGRAMを搭載)に変わったことと、メモリーの増加。9549-71Jが64MBのSDRAM、9549-7AJと9549-7BJが128MBのSDRAMを標準で搭載するほか、ともに最大320MBまで増設が可能。また、すべてのモデルがUltra-ATA対応の8.1GBのHDDを搭載しているほか、9549-71Jと9549-7AJは、最大2倍速のDVD-ROMドライブ、9549-7BJは最大24倍速のCD-ROMドライブを標準で搭載している。

 搭載OSは、9549-71Jと9549-7AJがWindows 98、9549-7BJがWindows NT Workstaition4.0。出荷予定は10月23日で、価格は9549-71Jが79万8000円、9549-7AJが92万8000円、9549-7BJが93万8000円。

・『ThinkPad 600』

ThinkPad 600
ThinkPad 600



 モバイルPentium II-300MHz搭載モデルモデル(2645-46Jと2645-86J)と、同266MHz搭載モデル(2645-53J)の計3モデルが追加された。主な変更点は、従来機種に比べ、メモリーとHDDの容量が増加したことで、メモリーは標準で64MBのSDRAMを搭載し、最大288MBまで増設できる。HDDは、Ultra-ATA対応で、容量は、2645-46Jと2645-86Jが5.1GBに増え、2645-53Jは現行の4.0GBのまま。2645-46Jと2645-86Jは、同社のFast Ethernetに対応したPCカード『10/100 EtherJet CardBusアダプター』を同梱している。

搭載OSは、2645-46Jと2645-53JがWindows 98で、2645-86JがWindows NT Workstation 4.0。出荷予定日と価格は、2645-53Jが12日でオープンプライス、2645-46Jが9日で67万8000円、2645-86Jが28日で68万8000円。

ThinPad 600用の内蔵ドライブ。スーパードライブ(写真左上)、Zipドライブ(同右上)、CD-ROMドライブ(同左下)、10/100 EtherJet CardBusアダプター(同右下)



・『ThinkPad 560Z』

ThinkPad 560Z
ThinkPad 560Z



 『560X』の後継機で、モバイルPentium II-300MHz搭載モデル(2640-B0J)と233MHz搭載モデル(2640-9YJ)の2モデルが発売された。2640-B0Jは、メモリーの最大容量が128MBに、HDDの容量が6.4GB(Ultra-ATA対応)にそれぞれ増加している。2640-9YJは、CPUの変化以外に大きな変更点はない。また、両モデルとも、ディスプレーには従来機種同様、SVGA対応の12.1インチTFT液晶ディスプレーを採用しているが、液晶パネルの輝度を110カンデラから150カンデラに上げるなど性能の向上を図っている。

 また、すべてのモデルにK56flexに対応したPCカードモデム(V.90への無償アップグレードを準備)を同梱している。

 搭載OSはともにWindows 98。出荷予定は15日で、価格は、2640-B0Jが57万8000円、2640-9YJが39万8000円。

・『ThinkPad 380Z』

ThinkPad 380ZThinkPad 380Z



 『380XD』の後継機で、モバイルPentium II-233MHzを搭載した1モデル(2635-HYJ)が発売された。主な変更点は、標準のメモリー容量が32MBから64MBに増えたことと、ビデオチップに米NeoMagic社のMagicMedia 256AVを採用したこと、ディスプレーが従来のSVGA対応の12.1インチから、XGA対応の13.3インチに変更されたこと。HDDは、Ultra-ATA対応で、容量は4.0GB。搭載OSはWindows 98。出荷予定は15日で、価格は42万8000円。

 なお、『ThinkPad 380Z』と『同560Z』に対応した『拡張ポートリプリケータ』(05K4872)と『ThinkPad 600』と『同770』に対応した『セレクタベースPCカードイネーブラー』(05K4820)が発売される。10BASE-T/100BASE-TX対応のネットワーク・インタフェースを装備するほか、PCカード・スロット、USBポートなどのインタフェースを備えている。なお、ネットワーク・インタフェースは、Wake on LANに対応している。

 拡張ポートリプリケータは、15日に発売され、価格は7万円。セレクタベースPCカードイネーブラーは、10月23日に発売され、価格は6万5000円。

写真はセレクタベースPCカードイネーブラー
写真はセレクタベースPCカードイネーブラー



コマーシャルデスクトップシリーズ

 今回発表されたのは、省スペース一体型の『PC 710』、デスクトップモデルの『PC300PL(6862)』、ミニタワーモデルの『PC300PL(6892)』の2機種3モデル。『PC 710』と『PC 300PL』はともに、10BASE-T/100BASE-TX対応のEthernetをオンボードで搭載しており、“Wake on LAN”に対応している。

PC300PL(6862) PC300PL(6892)


 『PC 710』は、CPUにPentium II-350MHzを搭載した『6870-JPM』と『6870-JNM』の2モデルが用意されている。また、筐体のプラスチックパーツの約20%が、同社の旧型パソコンをリサイクルしたもの。

PC 710PC 710



 ともに、メモリーにECC対応の64MBのSDRAM、Ultra-ATA対応の4.2GBのHDD、最大24倍速のCD-ROM、TypeIII×1またはTypeII×2のPCカードスロットを備えている。ディスプレーは、ともにXGA対応のスーパーTFT液晶ディスプレーを採用しており、画面サイズは、6870-JPMが15インチ(最大1677万色)、6870-JNMが14.1インチ(最大26万色)。OSはWindows 95または、Windows NT Workstation 4.0が選べる。

 『PC 300PL』シリーズの2機種は、横置き型デスクトップの『6862』がローエンド向け、縦置き型ミニタワーの『6892』がハイエンド向けという位置づけ。CPUは、横置き型デスクトップの『6862』がPentium II-350MHzと、Celeron-333MHzと同300AMHz、縦置き型ミニタワーの『6892』がPentium II-450MHz、同400MHz、同350MHzを搭載している。『6892』と『6862』はともに、ECC対応の64MBのSDRAM、Ultra-ATA対応の6。4GBのHDD、最大32倍速のCD-ROMドライブを搭載している。PCI/ISA共用スロットを6862が4つ、6892が6つ搭載し、空スロット数は1と4。OSはWindows 95、Windows 98、Windows NT Workstaion 4.0が選べる。

 出荷予定は,それぞれ、PC 710が11月、PC 310PLが18日。価格は、6870-JPMが61万円前後、6870-JNMが51万円前後、PC 300PLは、Celeron-300AMHzとWindows 98を搭載したデスクトップの6862-B1Jが27万8000円、Pentium II-400MHzとWindows 98を搭載した6892-47Jが40万8000円、Pentium II-450MHzを搭載し、Windows NTを搭載した6892-50Jが48万8000円など。

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