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東レ、デジタルデータを受け取るオフィス向けカラーオフセット印刷機で攻勢へ


1999年7月29日

東レ(株)は、デジタルデータを受け取るオフィス向けのカラーオフセット印刷機で攻勢を掛ける。8月中旬以降、都内に常設のショールームを設け、このシステムの拡販にあたる。

東レが今回、開発したシステムには、3つの特徴がある。(1)パソコンでページレイアウトしたデジタルデータを、ソフトRIPというソフトを通して、そのまま出力し、刷版(さっぱん)を直接作る、(2)水なし平板という技術を採用しているので、インキの出具合を調節する熟練オペレーターが要らない、(3)1枚の紙が、5色に対応する5本のドラムを順次、通るため、毎時6000枚という高速の本格的印刷が可能−−である。

これらの特徴を生かして、大手企業内の出力センターや企業グループ内でコピーや印刷を請け負う業者への納入を目指す。

前述(2)は、東レの独自技術で、以前から確立していた。しかし、途中で製版フィルムを用いる、従来の工程を採用するかぎり、製版会社に外注するステップが不可欠だった。印刷の熟練オペレーターが要らないにしても、製版のプロフェッショナルを介在させざるを得なかった。今回、製版フィルム不要の(1)が確立できたため、オフィス内で業務が完結するようになった。

(1)の工程を、通常、CTP(Computer to Plate)と呼ぶ。Plateとは、アルミをベースにした刷版のことである。CTPを実現している印刷機メーカーは、東レ以外にもいくつかある。しかし、作成された刷版をそのまま印刷機に全自動でセットするタイプでは、刷版についた微少なチリの問題が生じる、と東レではいう。東レでは、刷版を、水道水の使える洗浄機を通すことで、チリの問題を解決した。

水で洗浄した刷版を、印刷機のドラム(版胴と呼ぶ)に巻き付ける。巻き付けは、刷版の位置合わせ穴に、セッティング用のツメをかませるまでを人手で、あとは自動で実行する。洗浄、巻き付け、印刷とも、DTPデザイナーが2日、3日で覚えられるほど容易だという。特に、印刷にあたって、インキの量をネジで随時調整したりする作業が不要な点が大きいと強調する。

印刷機には、胴の組み合わせが5色分、5組用意されているため、印刷用紙が印刷機を1回、通過すると、5色のフルカラー印刷が完成してしまう。片面5色を毎時6000枚の速度で印刷する。

通常、フルカラーの印刷では、黄色、マゼンタ、シアン、黒の4色が必要、かつ、十分である。5色目は、特定の色を、4色のインキを重ねてではなく、決まった組成の特別のインキ1種類(特色と呼ぶ)で出すときに用いる。特色は、企業のロゴマークを刷るときによく使われる。

東レでは、この印刷機を、企業内の小部数の印刷用途などに売り込む考えだ。現在、この市場には、カラー複写機の精度を上げて、オフセット印刷の品質に近くした機械が、数社から投入されている。複写機をベースにしたシステムでは、1ページ当たりの単価がどうしても高くなる。東レの機械の場合、刷版材料が1色分で千数百円、5色分で数千円で、印刷インキは複写機のトナーに比べて相当安いから、刷り部数が増えればページ当たりの単価で、大幅に有利になるという。

大手企業内の出力センターや企業グループ内のコピー業者では、複写機や謄写版印刷機を操作するオペレーターを雇っていることが多い。従来型の印刷機の操作には、高度な熟練度が必要なため、そうしたオペレーターの起用ができず、専門の印刷会社に外注することが多かった。また、フィルムや各種溶液を用いるため、オフィスに置きにくかった。東レのシステムは、オフィス内で、そうしたオペレーターが容易に使えるという。

東レでは、この機械を、8月中旬から都内の常設のショールームで展示する。

(編集部 中野潔)


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