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日本IBM、企業向けパソコンの新ブランド“NetVista”を発表

2000年04月13日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本アイ・ビー・エム(株)は13日、都内のホテルで記者発表会を開催し、新ブランド“NetVista(ネットビスタ)”と、その最初の製品となる『NetVista A40』を発表した。NetVistaは、システム管理機能やセキュリティー機能を搭載した、企業向けのクライアントパソコンのブランドとなる。

NetVista

NetVistaは、IBMが掲げるインターネット時代の新しいコンピューターのコンセプト“Edge of Network(EoN)”に基づく最初の製品群となる。EoNコンセプトとは“e-ビジネス時代のライフスタイルをよりシンプルにするための、簡単に使うことができるツール”。米国ではこのNetVistaというブランドは3月13日に発表済みで、“all-in-one”、“Legacy-free”、“Thin Client”の3種類を投入するとしているが、まだ製品そのものの発表はされていなかった。

発表に当たって挨拶した、日本IBMの堀田一芙常務取締役兼パーソナル・システム事業部長は、「IBMの3月期のパソコンの売れ行きは非常に好調で、Aptivaは前期比8割増、ThinkPadも5割増だった。これはコンシューマーでは低価格機が牽引し、企業向けでは3月の駆け込み需要でThinkPadが伸びたため」と、コンシューマーと企業向けの両方が好調であることをアピールした。

常務取締役の堀田一芙氏
常務取締役の堀田一芙氏



その上で、今回のNetVistaについて、「企業内では複数世代のPC資産が稼働しており、管理コストが増大している。これを抑えるためには、よりネットワークに適したOSと、それに合ったクライアントが必要」また、「NetVistaでは、これからの企業へ導入するに当たってなにが要求されているかをリサーチし、省スペース、ロングライフ、環境への配慮といった点を実現した」と述べた。

また、今回同時に発表されたNetVista A40に続き、第3四半期までに液晶ディスプレー一体型の『NetVista X40』と、さらに内部にHDDなどのストレージを持たず、ネットワークを通じてサーバーからOSやアプリケーションをダウンロードして動作させる“NetVista Thin Client”(仮称)の開発表明が行なわれた。Thin ClientではOSにLinuxを採用する。

なお、NetVistaは企業向けという位置づけで、日本ではコンシューマー向けには「積極的には売らない」というが、「米国ではNetVista iシリーズとしてコンシューマー向けの製品展開も行なう」ことが明らかにされた。

NetVista A40

『NetVista A40』とTFT液晶ディスプレー『T54D』
『NetVista A40』とTFT液晶ディスプレー『T54D』



今回発表された初のNetVistaブランド製品である、NetVista A40は、開発段階から日本の複数のユーザー企業にリサーチを行ない、オフィス環境を考慮した設計を行なっている。具体的には、同社の企業向けクライアントパソコンである『IBM PC300PL Slim』と比較して、30パーセント体積が少なくなっており、特に奥行きは7cm短縮されている。本体のファンからの排気も、机を対面で配置することの多い、日本のオフィス事情から、上方に排気される。リサイクルに関しては、すべてのプラスチック部品にリサイクル可能な材質のものを使うなど、パソコンメーカー業界での自主基準である(パソコン本体において)60パーセントを上回る、69パーセントのリサイクル率を実現した。待機時(電源オフ時)電力についても、他社のスリムデスクトップではおよそ4Wのところを、1.2Wに抑えた。サスペンド時でも14Wと、300PL Slim比で約半分となっている。

同時に発表された15インチのTFT液晶ディスプレー『T54D』(デジタルインターフェースモデル)を利用した場合は、NetVista A40から電源を供給するため、ディスプレーオフの場合のディスプレーの消費電力は0となるという。

そのほか、セキュリティー機能として、マザーボード上に“Embedded Security Chip”を搭載し、秘密鍵をHDDでなくこのチップ内に保管したり、暗号化演算をこのチップで行なうという機能が提供される。また、Windowsプラットフォームにおいて、Windows 2000へのスムーズな移行を支援するために、デスクトップのアイコンやネットワークの設定情報といった、各ユーザー固有の情報を保存/復元する『System Migration Assistant(SMA)』と、企業内での共通アプリケーションの配布のために必要な、アプリケーションのイメージファイル作成作業を簡略化する『Software Delivery Assistant(SDA)』を、同社のウェブを通じて提供する予定という。これらのソフトウェアは同社のパソコンの正規ユーザーに対して無償で提供される。

なお、このNetVista A40は、日本向けに企画された製品で、現時点では日本以外の発売予定はないとしている。

NetVista A40の基本スペックは、メインメモリーが64MB(SDRAM)、HDD(UltraATA/66)が15GB、最大24倍速CD-ROMドライブ、グラフィックスアクセラレーターはチップセット(Intel 810E)内蔵でディスプレイキャッシュ4MB、100BASE-TXのEthernetインターフェース、シリアル×2、パラレル×1、USB×2、アナログRGBインターフェース、デジタルDVI-Dインターフェースとなっている。CPUはCeleron-533MHzまたはPentium III-667MHz、OSはWindows 98SE、Windows NT Workstation 4.0、Windows 2000のいずれか、さらにOffice 2000 Personalの有無により、12モデルが用意されている。

価格は、Celeron-533MHz、Windows 98SE、Office 2000 Personalなしのモデルが12万5000円。Windows 98SEモデルではリカバリーCDを利用して、Windows 95にOSを変更できるとしている。Windows 98SEおよびWindows NT Workstation 4.0モデルが4月21日、Windows 2000モデルが5月21日の出荷予定。

同時発表の15インチTFT液晶ディスプレー(1024×768ドット1600万色表示)は、デジタルインターフェースモデルの『T54D』が12万3000円、アナログRGBインターフェースモデルの『T54A』が12万8000円で、4月18日出荷予定となっている。

NetVista X40、Thin Client

『NetVista X40』
『NetVista X40』



第3四半期までに発表予定というNetVista X40は、価格やスペックの詳細については明らかにされていないが、フロッピーディスクドライブとCD-ROMドライブを内蔵し、15インチTFT液晶ディスプレー(1024×768ドット)一体型で、ISAバスインターフェース、シリアルインターフェース、パラレルインターフェースを持たない代わりに、USBポート5つを備える。ただし、PS/2ポートは残されており、いわゆる“レガシーフリーPC”ではない。未使用時には、キーボードをディスプレーの下に格納できるという。

“NetVista Thin Client”
“NetVista Thin Client”



NetVista Thin Client(仮称)は、サーバーからネットワーク経由でプログラムをダウンロードして動作するシン・クライアント。NetVista X40よりも後に発表される予定で、こちらも価格など詳細については不明。x86互換の233MHz CPU、RAMは32MB SDRAM(最大288MHz)、100BASE-TXのEthernetまたは16トークンリングインターフェース、ビデオメモリーは4MBで、最大1280×1024ドット(256色)をサポートする。HDDなどのストレージは持たない。今回の発表では、Linuxベースとされているが、米IBMのホームページでは、Linuxベースのほか、マイクロソフトのWindows-based Terminal Standard 1.5ベースのものも紹介されている。

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