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京セラ、334万画素CCDと2倍ズームレンズ搭載のデジタルカメラ『KYOCERA Finecam 3300』を発表――35mmフィルムサイズの600万画素撮像素子を搭載するSLRカメラ『CONTAX N DIGITAL』を来春発売

2000年07月18日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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京セラ(株)は18日、334万画素CCDと2倍ズームレンズを搭載したデジタルカメラ『KYOCERA Finecam 3300』を発表した。同社によると同クラスで世界最小・最軽量のボディーと、7万9800と8万円を切る低価格がセールスポイント。発売は9月15日。同時に、“CONTAX”ブランドで35mmカメラ用のカール・ツァイスレンズが利用できるレンズ交換式一眼レフデジタルカメラ『CONTAX N DIGITAL』を2001年春に発売すると発表した。35mmフルサイズ(36×24mm)、600万画素の撮像素子を搭載し、35mm用レンズの画角がそのまま利用できるという。価格は「80万円は切りたい」(同社)としている。

小型金属ボディーを採用した334万画素CCD搭載デジタルカメラ『KYOCERA Finecam 3300』


『KYOCERA Finecam 3300』。片手持ちの『SAMURAI』シリーズからデザインを一新した
『KYOCERA Finecam 3300』。片手持ちの『SAMURAI』シリーズからデザインを一新した



『KYOCERA Finecam 3300』は1/1.8インチ334万画素(有効324万画素)の原色系CCDを採用。レンズは焦点距離7.8~15.6mm(35mmカメラ換算で38~76mm)、開放絞り値はF3.0~3.7。約10cmまでのマクロ撮影が可能。最大2倍までのデジタルズームも備えた。静止画の画像形式はJPEGとTIFFに対応し、記録画素数は“スーパーファイン”“ファイン”、TIFF-RGB時で2048×1536ピクセル、“ノーマル”で1024×768ピクセル。またAVI形式による動画撮影も可能で、320×240ピクセルで最長15秒のムービーを撮影できる。

測光は分割と中央部重点、スポットの3モード。撮影モードはプログラムと絞り優先の各AE、最長8秒の“長時間露出モード”を備え、+/-2EVまで1/3ステップの露出補正も可能だ。記録メディアはコンパクトフラッシュType IIに対応し、日本アイ・ビー・エム(株)の『マイクロドライブ』も利用できる。ファインダーはボディー背面の1.5インチTFT液晶ディスプレー(11万画素)のみ。

パソコンとの接続用インターフェースは搭載していないが、ビデオ出力端子(NTSC/PAL)は備えた。電源は同梱の専用リチウムイオン充電池(3.7V、1100mmAh)を採用し、1回の充電で約200枚の撮影が可能としている。

サイズは幅93.5×高さ66×奥行き37.5mm、重さ200g(本体のみ)。

35mmフィルムサイズの撮像素子を搭載する『CONTAX N DIGITAL』

同社はまた、レンズ交換式一眼レフデジタルカメラ『CONTAX N DIGITAL』の開発を表明、来春の発売を目指していることを明らかにした。

京セラのカメラ事業には2つの系統があり、1つはFinecam 3300のように京セラブランドで発売する普及機の系統。もう1つの“CONTAX”ブランドは、独カール・ツァイス財団との提携により、ツァイスが設計とレンズコーティング、製造を担当する“T*(ティースター)レンズ”を装着可能な一眼レフカメラを中心とした高級機の系統だ。CONTAX N DIGITALはCONTAXブランドで登場する初めてのデジタルカメラで、最大の売りはツァイスレンズを装着できる点にあるという。

発表会場で展示された『CONTAX N DIGITAL』
発表会場で展示された『CONTAX N DIGITAL』



同社が明らかにしたところでは、撮像素子には35mmフィルムと同サイズの600万画素タイプを採用するという。デバイスがCCDかCMOSなのかは「公表できる段階ではない」として明らかにしなかった。これまでに発表されている一眼レフタイプのデジタルカメラは撮像素子が35mmフィルムサイズより小さい。そのため35mmフィルム用に設計されたレンズのイメージサークルを活かすことができず、約1.5倍テレ側にシフトしてしまうのが作画上のネックとなっていた。CONTAX N DIGITALでは35mmフルサイズの撮像素子を採用することで、35mmカメラ用に設計されたレンズを同等の画角で利用できるという。レンズ性能を生かし切るボディー性能を要求するツァイス側の意向と、“作品主義”を掲げて国内他メーカーとの差別化を図るCONTAX/京セラ側の方針に沿ったもののようだ。

現時点で明らかになっているスペックは以下の通り。レンズマウントは“コンタックスNマウント”(後述)、縦走りフォーカルプレーンシャッターを採用し、最高速は1/8000秒、最長は32秒。バルブ(B)を備え、シンクロ同調は1/250秒。TTL位相差検出方式による5点測距のオートフォーカスを採用し、5分割の評価測光が可能。ファインダー視野率は100パーセント、ボディー背面に2インチのTFT液晶ディスプレーを搭載する。画像形式はJPEG(圧縮は1/4、1/8、1/16の3段階)とTIFF(RGB、Ycbcr)、RAW。記録メディアはコンパクトフラッシュType IIに対応、パソコンとの接続はIEEE1394インターフェースを利用する。電池は充電池を採用する。

『CONTAX N DIGITAL』の裏側。ファインダーアイピースの右側にジョイスティックのようなレバーがあり、そこで5点の測距点を切り替える
『CONTAX N DIGITAL』の裏側。ファインダーアイピースの右側にジョイスティックのようなレバーがあり、そこで5点の測距点を切り替える



CONTAXブランドということで、気になるのはやはり価格。同社によると「100万円以下を目指している。できれば80万円を切りたい」という。ニコン(株)の『ニコンD1』がボディーのみで65万円である点を考えると、これは意外に“低価格”といえる。発売は来春、5月までには市場投入したいという。

新マウントを採用した35mm用一眼レフカメラ『CONTAX N1』

同社はこの日の目玉として、35mmフィルム用オートフォーカス採用の一眼レフカメラ『CONTAX N1』(18万円)を発表した。CONTAX N DIGITALのベースとなる機種でもあるため、ここでは新機能に絞って簡単に紹介する。

プラナー付きのCONTAX N1。ルドルフ博士の手になるプラナー50mmの基本設計は、新マウントでも変わらない。カメラの操作やボディー上面のダイヤル配置は『CONTAX RTS III』などの現行機種とほぼ同じだ
プラナー付きのCONTAX N1。ルドルフ博士の手になるプラナー50mmの基本設計は、新マウントでも変わらない。カメラの操作やボディー上面のダイヤル配置は『CONTAX RTS III』などの現行機種とほぼ同じだ



同機種の最大のポイントは、オートフォーカスの採用と従来マウントとの互換性のない新レンズマウント“CONTAX Nマウント”への変更だ。CONTAXブランドの35mmAF一眼レフカメラでは、ボディー内でフィルム面を移動させるというウルトラCでマニュアルレンズのAF化を実現した『CONTAX AX』があったが、今回はマウントを一新、機械式連動機構を廃して電気接点のみというドラスティックな変更を行なった。セミ判用AF一眼レフカメラ『CONTAX 645』と同じく、ピント移動はレンズ内モーター方式を採用する。

新マウントは従来の“コンタックス/ヤシカMMマウント”と比べ内径が大きくなり、特に高性能ズームレンズの設計で柔軟性が高まるものと見られる。従来マウントと比べフランジバックが長くなっているため、仮に現行レンズを取り付けたとしても無限遠が出ず、レンズ後面とフィルム面の間に補正光学系が必要になる。同社ではそのようなアダプターを発売することは現時点では考えていないという。ただフランジバックがより長いCONTAX 645用レンズは発売予定のアダプターで装着できる。

AFは中央の1点と対角線上の4点に測距点が配置された“対角5点測距”を採用。露出のオートブラケティングを先駆けて搭載したCONTAXらしく、今度はピントのオートブラケティング“フォーカスA・B・C機能”を搭載した。これは装着レンズの開放絞り値での被写界深度内で標準/前ピン/後ピンの3段階にピントをずらして撮影してくれる機能で、特に大口径レンズで効果を発揮しそうだ。

オプションとして、『液晶ビューファインダー FE-1』(5万6000円)が用意される。これはファインダーアイピースに33万画素CCDを取り付けることで、外部の1.5インチTFT液晶ディスプレーで撮影画像のイメージを確認できるというもの。ポラロイドで前もって撮影する必要がなく、デジタルカメラの特徴である即時閲覧性を銀塩カメラで実現できるという。

世界初という銀塩カメラ用液晶ビューファインダー。デジカメの便利さが銀塩に飛び火した
世界初という銀塩カメラ用液晶ビューファインダー。デジカメの便利さが銀塩に飛び火した



レンズは超音波モーターを内蔵し、AFで合焦後もフォーカスリングを回せばそのままマニュアルフォーカスが可能。当初は『バリオ・ゾナーT*24-85mmF3.5-4.5』(12万5000円)、『同70-300F4-5.6』(17万5000円)のほか、定番の『プラナーT*50mmF1.4』(6万8000円)、等倍撮影が可能な『マクロ・プラナーT*100mmF2.8』(16万8000円)の4本が用意される。現状では広角が弱いが、来春には超広角ズーム『バリオ・ゾナーT*17-35mmF2.8』と、これも定番の『プラナーT*85mmF1.4』が発売される予定という。

発表会で京セラ社長の西口泰夫氏は、「一眼レフ市場に占めるマニュアル機とレンズの割合は5パーセントでしかない。カメラメーカーとしての生き残りをかけて、AF市場へ参入する」と意気込んだ。現行マニュアル機種とレンズは当面販売を継続するが、新製品の開発予定は現時点ではないという。京セラとしては今後は全面的にAF機にシフト、現行のマニュアル機とレンズはキヤノン(株)の“FDマウント”のように将来は廃止に向かうものと見られる。

CONTAX N1システム。レンズマウントが従来マウントとの互換性のない新マウントに変更されたことで賛否を呼びそうだ。だがコンタックスは戦前戦後のツァイス・イコン社から旧ヤシカ、ヤシカを吸収した京セラへとメーカーを変えながらも常にコンタックス/ツァイスであり続けたブランド。旧Contaxと現行CONTAXを愛用する記者個人としては、コンタックスの新時代を素直に喜び、今後の展開を期待したい
CONTAX N1システム。レンズマウントが従来マウントとの互換性のない新マウントに変更されたことで賛否を呼びそうだ。だがコンタックスは戦前戦後のツァイス・イコン社から旧ヤシカ、ヤシカを吸収した京セラへとメーカーを変えながらも常にコンタックス/ツァイスであり続けたブランド。旧Contaxと現行CONTAXを愛用する記者個人としては、コンタックスの新時代を素直に喜び、今後の展開を期待したい



CONTAX N1を手にする京セラ社長の西口泰夫氏(中央)
CONTAX N1を手にする京セラ社長の西口泰夫氏(中央)

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