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あの『PINO』がついに発売――ツクダオリジナルがシリーズ展開


2001年6月29日

オリジナル『PINO』はロボットベンチャーのZMPが提供

人間共生型ロボットを開発するベンチャー企業の(株)ゼットエムピー(以下、ZMP)は29日、科学技術振興事業団北野共生システムプロジェクトにより開発されたヒューマノイドロボット『PINO』の市場展開をスタート、PINOを大学や研究機関などに販売するほか、イベントへのレンタルや実演デモ、さらには企業へPINOのデザインのライセンス供与などを行なうと発表した。

また、これに伴い、PINOのライセンス供与を受けた(株)ツクダオリジナルは、ロボット玩具やソフトモデル、ぬいぐるみなどの“PINO”シリーズを7月より順次発売すると発表した。

オリジナルPINO
オリジナルのPINOは、全長70cm、重量4.5kgと1歳児程度の大きさ。ヒッキーのプロモーションビデオに登場したPINOは、実は全長130cmの特別モデル。日本国内に実在するロボットの中から、ヒッキーが気に入ったのがこのPINOだったという

PINOは、文部科学省管轄の“科学技術振興事業団ERATO北野共生システムプロジェクト”(総括責任者:北野宏明博士)により、2000年4月に開発された2足歩行のヒューマノイドロボット。ロボットデザイナーの松井龍哉氏がデザインを担当、童話の『ピノキオ』をモチーフにか弱さを取り入れたデザインとなっている。ヴェネツィアビエンナーレ国際芸術祭に招待出展されたほか、ニューヨーク近代美術館(MoMA)でも展示される。

一般ユーザーに広く知れ渡るきっかけとなったのが、2001年2月に発売された宇多田ヒカルさんの大ヒットシングル『Can You Keep A Secret?』のプロモーションビデオへの出演。宇多田さんの恋人役としてPINOが登場し、一躍有名ロボットとなった。

PINOは、全長70cm、全幅32cm、脚長30cm、重量4.5kg。自由度は、首2自由度、胴体2自由度、片腕5自由度×2、片足6自由度×2の計26自由度。制御部はSH2とCPLD。足の裏に接触センサー、胴体にジャイロセンサー、位置確認センサー、目の部分に色認識/画像認識を行なうCCDセンサーなどを装備し、26個のサーボモーターと各センサーは人工知能プログラムで制御できる。PINOの操作は外部接続されたパソコンで行なう。パソコンのCPUはPentium III-733MHzで、OSはRT-Linux。PINOの電源も外部パソコンから供給する。

ZMPは、1月30日に設立した人間共生型ロボットベンチャー。最先端のロボットテクノロジーとデザインを融合させ、生活に役立つロボットの開発を行なうほか、ロボットの商用化展開も図るという。

まずZMPは、北野共生システムプロジェクトから研究成果の技術移転を受け、PINOを科学館等の公共施設での展示用として、あるいは大学や研究機関向けに研究用素材として販売する。また、PINOのデザインを市場展開するべく、各地のイベントでのPINOの実演デモや、企業向けにPINOデザインのライセンス供与を行なう。

ZMPは、今後はモジュール化されたロボット技術の提供や、ロボットのインターフェースの改良を行ない、生活に役立つロボットの開発/提供を目指すという。

公共施設や研究機関などへのPINOの販売価格は、標準セットで800万円。レンタル料金は4日間で150万円となっている。なお、PINOの製造はZMP社内のラボで行なっているという。

(編集部 桑本美鈴)


人とロボット技術をつなぐ『PINO』

本日都内で行なわれた発表会で、ZMP代表取締役の谷口恒氏は、「ZMPのビジョンは、ロボット技術とデザイン、アプリケーションを融合させ、生活に役立つロボットを生み出すこと。具体的なビジネス展開として、ヒューマノイドロボットの製造販売を行なう。現在、大学など十数件の引き合いがある」と説明した。

ZMP谷口氏
ゼットエムピー代表取締役の谷口恒氏。社名の由来となったZMPは、“ゼロ・モーメント・ポイント”(重力と慣性力、地面からの反力が交わった点)の略

また、ロボットデザイナーの松井氏も登場、「北野共生システムプロジェクトは国のプロジェクトだが、われわれはPINOを研究室に埋めておくという考えを持っていない。今回の発表は研究室から社会に出て行く第一歩。子供たちがPINOに接することで、10年後20年後といった次の世代のロボット研究者が出てくることを期待する。PINOは人と技術を結ぶ架け橋として親元を離れて旅立っていく。PINOを育てることでロボット産業を育てていきたい」と語った。

ロボットデザイナー松井氏
ロボットデザイナーの松井氏

北野博士もビデオメッセージを寄せ、「われわれは、PINOの情報を公開し、世界中の開発者が研究できるよう、Linuxのようにオープンな研究活動を支援している。PINOは秋葉原で買えるような部品で構成されている。メカの精度は高いものではないが、情報を公開することで研究者が改良部分を提案できるなど、オープンソースに基づいたヒューマノイドロボットの開発が可能だ。今回、ZMPにより研究機関にPINO自体や部品を提供できるようになった」とコメントした。

北野博士
北野博士もビデオで登場

PINOは、7月よりマレーシアの“科学技術エキスポ”、8月より神戸の“21世紀☆みらい体験博”、浜松の“2001浜松こども未来博”などのイベントに登場する。また、7月10日東京お台場にオープンする日本科学未来館がPINOを購入、同館に常設されることになっている。

毛利衛氏
日本科学未来館館長の毛利衛氏からのビデオメッセージ「オープン当初は、PINOは1歳くらいのロボットだが、皆さんのアイデアと北野さんたちの研究により成長していく」

(編集部 桑本美鈴)


ツクダオリジナルがライセンスを受け店頭販売

PINOのライセンス商品となるのが、ツクダオリジナルが発売する“PINO”シリーズだ。PINOシリーズは、ロボット玩具3種類、ソフトモデル、アクションモデル、ぬいぐるみ、携帯ストラップの計7種類が用意される。

ロボットフレンドPINO
『ロボットフレンド PINO』(右)と、『ロボットフレンド PINO DX(仮称)』(左)。PINOが話す“PINO語”は、最初“ぴぽぽー”“ぴぽぽぽぽぴぽ”といった電子音にしか聞こえないが、PINOとふれあううちに、気合か電波か気のせいかで、「あそぼー!」「僕のこと好き?」といった言葉に聞こえるようになるらしい

主力商品は、ロボット玩具『ロボットフレンド PINO』。頭部に音センサー、赤外線センサー、タッチセンサー、光センサー、手にタッチセンサーを搭載し、すり足状態で前後左右に歩行可能、名前を呼ぶと音センサーで反応し前進するようになっている。

喜び、怒りなどの感情を持ち、その時の感情によって動作や目の光、声が変化する“PINOエモーション”機能を搭載、喜ぶと目の色が緑に、怒ると赤に、楽しいとオレンジに変化し、ばんざいしたり踊ったりするという。

成長機能も搭載しており、購入時は動作や言葉が少ないが、ユーザーが話し掛けたり遊んだりすることで動作や言葉が増え、大人になると自我を持ち、ユーザーの接しかたによって社交的、恥ずかしがり屋、短気といった性格となる。

また、“ぴぽぴぽ”というPINO語を話し、成長や感情に応じて300以上の言葉を発する。歌も10曲歌えるほか、ダンスも披露できるという。さらに、光や音に反応するため、ひとり暮らしの人が帰宅して部屋の電気をつけると、ドアノブの音や電気の光に反応、PINOが動いて出迎えてくれる“留守番機能”も用意されている。

そのほか、赤外線センサーで、他のロボットフレンド PINOや、すでに発売中のペットロボット『愛犬マックス』とコミュニケーションが可能、社交的なPINOであれば相手にお辞儀をしたり握手をしたりするが、短気なPINOだと口ゲンカになったりするという。

本体サイズは、横幅15×奥行き10×全長36.6cm。電源は単3電池×4。本体カラーは赤、緑、青の3種類が用意される。8月末発売で、価格は5980円。

PINO背面
『ロボットフレンド PINO』の背面。背中にあるのがバックパック。開発中の試作機なのでケーブル類が取り付けられているが、発売される製品はもちろんケーブルなしで動作する

ロボットフレンド PINOの上位モデルとなるのが『ロボットフレンド PINO DX(仮称)』。DXは、ロボットフレンド PINOの機能をすべて備えているほか、片足を上げて人間のように歩き、障害物センサーにより前後左右に障害物を避ける完全2足歩行を実現するという。また、ロボットフレンド PINOが背中のバックパックに電池を装備するのに対し、DXはバックパックがなく、本体内に電池を内蔵する仕組みとなっている。

また、持ち主のユーザー限定の音声認識機能を搭載、持ち主の声を記憶し、持ち主の命令(進め/握手/挨拶)をきくようになっている。他の人が声をかけると恥ずかしがるなどの性格付けもされている。さらに、声をかけられた方向を検知し、その方向に向かって歩いていく“180度センサー”も備えている。

本体サイズは、横幅23×奥行き12×全長45cmと、ロボットフレンド PINOよりひと回り大きい。電源は単2電池×4。本体カラーは赤、緑、青の3種類。10月発売予定で、価格は1万2000円。

『ひかっておしゃべり テクテクPINO』は、本体サイズが横幅8×奥行き6×全長20cmのミニロボット玩具。頭部にタッチセンサー×2、体内に振動センサーを装備し、持ち主とのコミュニケーションによって、ごきげん、怒り、さみしい、病気、ねむいなど感情が変化する。ごきげんなときは歌ったり踊ったりする。電源は単4電池×3で、本体カラーは赤、緑、青の3種類。8月末発売で、価格は1980円。

テクテクPINO
『ロボットフレンド PINO』の前方に並んでいる3体が『ひかっておしゃべり テクテクPINO』。小さくてもみんなちゃんと鼻がある

(編集部 桑本美鈴)


ぬいぐるみから携帯ストラップまでPINOグッズも豊富

ツクダオリジナルは、ロボット以外のPINOシリーズ商品も販売する。

『PINO 1/1ソフトモデル』は、オリジナルのPINOと同じく全長70cmのビニール製ソフトモデル。空気を入れて膨らませる。本体サイズは幅43×奥行き17×全長70cm、本体カラーは赤、緑、青の3種類。7月10日発売で、価格は1980円。

PINOソフトモデル
『PINO 1/1ソフトモデル』。お部屋の飾りにどうぞ

『PINO 1/6アクションモデル』は、フルカラー塗装のフィギュア。関節は13ヵ所可動し、さまざまなポーズをつけられる。本体サイズは横幅6.4×奥行き4×身長12.5cm、本体カラーは赤、緑、青の3種類。7月20日発売で、価格は1980円。

『PINO ぬいぐるいみ』は、ポリエステル素材のやわらかいぬいぐるみ。S/M/Lの3サイズが用意されている。いずれもカラーが赤、緑、青の3種類あり、7月10日発売。Sサイズは横幅14×奥行き7×全長27cmで800円。Mサイズは横幅17×奥行き9×全長37cmで1800円。Lサイズは横幅24×奥行き12×全長52cmで3500円。

『PINO 携帯ストラップ』は、PINOのマスコットが付いた携帯ストラップ。赤、緑、青の3種類があり、横幅4×縦幅0.7×長さ12cm。7月20日発売で、価格は800円。

PINOシリーズ
後部の大きい順から、『PINO 1/1ソフトモデル』、『PINO ぬいぐるみ』、『PINO 1/6アクションモデル』、『PINO 携帯ストラップ』   (C)ZMP, T.Matsui

同社取締役開発本部長の佃義啓氏は、「昨年夏ごろから、2足歩行ロボットをおもちゃにできないかと構造的な研究に入った。ヒューマノイドロボットはデザインが重要、独自で作ろうと努力したが、われわれは高度なロボット技術は持っていない。そんな時にPINOと出会い、PINOを通じて最先端の科学をより身近にし、ロボットと人間の共生を目指すという北野プロジェクトの想いに共鳴した。われわれはロボットとのふれあいをテーマにPINOシリーズ商品を提案する」としている。

佃取締役
ツクダオリジナル取締役開発本部長の佃義啓氏

同社は、それぞれの製品の出荷目標数を、ロボット3種類が50万個、アクションモデルが10万個、ぬいぐるみが10万個、携帯ストラップが30万個としている。主に玩具売り場で販売するが、一部家電売り場でも販売する予定としている。また、将来的には海外展開も検討しているという。

(編集部 桑本美鈴)




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