日本電気(株)は9日、都内でブロードバンドおよびモバイル時代に向けた記者発表会を開催し、今後の製品戦略の説明、および新製品の発表を行なった。
NECの記者発表会。100人を超える報道陣が集まり、用意された席では座りきれないほどだった |
発表会でNECは、Windows CEを搭載するPDAを開発中であることを明らかにした。
NECが開発中のPDA。製品名は未定。外観は『iPAQ Pocket PC』によく似ている。しかし、今後大きく変更する可能性も高い |
開発中の製品のため詳細は明らかにしなかったが、OSにはWindows CEを採用(バージョンなどは未定)、CPUはStrongARM-206MHz、コンパクトフラッシュスロットとSDカードスロットを搭載し、年内に出荷するという。製品名も未定。
本体上部。コンパクトフラッシュのスロットが確認できる。本体右側面がわずかに見える |
本体左側面。スタイラスペン以外は何もなさそうだ |
展示していたモックアップの外観は、コンパックコンピュータ(株)の『iPAQ Pocket PC』によく似ている。もっとも、『iPAQ Pocket PC』の場合は“ジャケット”という拡張パックを装着しないとCFは使用できない。本体サイズや重量などは非公開。上部にCFスロットを実装しているのは確認できたが、左右および背面はすりガラスで隠されていた。NECによると、まだ開発段階であり、発表した仕様以外は大幅に変更する可能性があるという。
価格も未定だが、執行役員常務の富田克一氏によると「後発である以上、他社よりコストパフォーマンスの劣るものを売るわけがない」。また、NECではPDAの用途を、購入するのが個人であってもビジネス用が大半を占めると考えており、業務用のアプリケーションなども提供するという。そして、ハードウェアだけでなく、それらのソリューションも含めた収益で、採算を確保するとしている。
執行役員常務 富田克一氏 |
また、NECでは開発中のPDAを、同社が26日に発表した携帯電話やPDA、ノートパソコンなどのモバイル端末を利用したシステム構築を行なう製品サービス体系“iBestSolutions/MobileEnterprise”のキーコンポーネントと位置付けている。
富田氏は、かつて同社のPC-9800シリーズが、『一太郎』や『ロータス 1-2-3』などのソフトによって普及したことを引き合いに出し、ビジネス用途でそのようなアプリケーションが現われれば、PDAも普及期に入ると予想している。
今回のモックアップを見る限りでは、同じCPUを搭載するコンパックの『iPAQ Pocket PC』との大きな違いは“ジャケット”とSDカードスロットの有無だろう。NECも認識しているとおり、後発である以上、他社とどのような差別化を図るのかというのが今後の開発の課題になるものと思われる。
サービスとデバイスをつなげ!
また富田氏は、NECの製品戦略について説明した。富田氏は、これまではメディアごとに端末を使い分けていたが、今後は用途別に端末を選ぶようになると予想している。
サービスとデバイスを接続 |
そして、音楽配信や動画配信、オンラインゲームなどのコンテンツ・サービスと、AV機器や携帯電話などのデバイスを接続するプラットフォームとして同社のパソコンを位置付けるとしている。プラットフォームとしてのパソコンで、コンテンツ・サービスの設定やデバイス間のさまざまな“違い”を吸収する。
また、4月にNECはレーザープリンター事業を富士ゼロックス(株)に譲渡したが、今後も事業の“集中と選択”を行ない、集中して取り組む事業において、No.1を目指すとしている。だが、これは不採算事業については、レーザープリンターと同様に撤退する可能性があることを意味している。