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ソニー、Bluetooth搭載のデジタルビデオカメラ“ネットワーク ハンディカムIP”を発表

2001年08月20日 19時36分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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ソニー(株)は20日、Bluetoothを搭載し、パソコンを経由せずにインターネット接続が可能な小型/軽量の家庭用ビデオカメラ“ネットワーク ハンディカムIP”を発表、製品第1弾となるデジタルビデオカメラレコーダー『DCR-IP7』を10月10日に発売すると発表した。価格はオープンプライスで、推定小売価格は17万円前後。

DCR-IP7
Bluetooth搭載デジタルビデオカメラ『DCR-IP7』。本体は幅47×奥行き80×高さ103mmと、手のひらにすっぽり収まるサイズだ

Bluetooth搭載の家庭用デジタルビデオカメラ『DCR-IP7』

“ネットワーク ハンディカムIP”は、Bluetooth(標準規格Ver.1.1、最大通信速度723kbps)を搭載しており、同じBluetooth搭載の携帯電話やモデムアダプターを経由してインターネットに接続できる。これにより、パソコンを利用しなくても、メモリースティックに記録した動画や静止画を電子メールで送受信できるほか、ウェブサイトに画像をアップロードしたりサイトを閲覧したりすることが可能となる。

DCR-IP7液晶部を閉じた様子
『DCR-IP7』。液晶部を閉じた様子

インターネット機能として、“メール”機能、“アルバム”機能、“ブラウザ”機能を搭載する。メール機能は、メールの送受信を行なえるもので、メモリースティックに記録したMPEG-1動画またはJPEG静止画をメールに添付して送信できる。受信メールは最大50通までメモリースティックに保存可能。アドレス帳には最大50件の名前とメールアドレスを登録できる。

アルバム機能は、メモリースティックに記録した動画や静止画を、ソニースタイルドットコム・ジャパン(株)が運営するデジタルイメージングコミュニティーサイト“イメージステーション”上にある専用アルバムにアップロードし、閲覧できる。作成したアルバムのURLを知人にメールで知らせる“招待状”も送信可能。

ブラウザ機能は、本体の2.5型液晶モニターでさまざまなホームページを閲覧できる。通常表示と、ページを縮小して広い範囲を表示する縮小表示が可能で、最大30件のブックマークを保存できる。また、メモリースティックに最大30件の画面メモを保存可能。

同社は、これらのインターネット機能をユーザーが容易に楽しめるよう、ソニーコミュニケーションネットワーク(株)と協力し、ISP設定を行なわなくてもインターネット接続できる“So-netかんたん接続”機能を『DCR-IP7』に搭載している。

新開発の画像圧縮方式“MICROMV”

同社は、“ネットワーク ハンディカムIP”用の画像圧縮方式として、MPEG-2を利用した“MICROMV”(マイクロエムヴィ)方式を開発し、『DCR-IP7』で採用している。“MICROMV”方式は、転送レートが12MbpsのMPEG-2動画をデジタル記録でき、DVと同等の高画質ながら、DV方式と比べて約3倍の高密度記録/再生を実現するという。

“MICROMV”方式は、画像と音声データをひとつのエリアで記録し、エラー訂正データやサーチデータなども高密度で記録する。最短記録波長は0.29μmで、同じ長さのトラックに従来より多くのデータを記録できるようになったという。同社は、VTR用高出力MRヘッド(Magneto-Resistive Head)も開発、これにより短波長化で細かくなった信号を高感度で読み取ることが可能となっている。

トラックピッチは5μmで、同じ長さのテープに従来より多くのトラックを記録可能。トラックに記録された1つのデータを2回再生し、最適な再生データを選択するダブルスキャン方式再生を採用している。

また同社は、“ネットワーク ハンディカムIP”向けにDRAM混載のLSIを開発し、『DCR-IP7』に搭載している。新開発のDRAM混載LSIは、0.18μm世代のDRAM混載ロジックプロセスと回路技術により、内蔵するロジック部とDRAM部の電源電圧を単一1.5Vにすることで、チップサイズの小型化と低消費電力化を実現したという。

MPEGの信号処理を行なう1チップLSIは、48MbitのDRAMを混載し、MPEG-2のエンコード/デコード処理をリアルタイムで行なう。消費電力はエンコード時170mW/デコード時90mW。カメラ信号処理を行なうLSIは、12MbitのDRAMを混載し、CCDから得られた映像信号に対するカメラ信号処理やAVベースバンド信号処理などを行なう。MPEGのストリームコントロールを行なうLSIは、32bitのRISCと20MbitのDRAMを搭載している。

さらに、記録媒体として、“MICROMV”対応の記録用カセット“MICROMVカセット”『MGR60』も開発した。“MICROMVカセット”は、同社独自の蒸着プロセスカセット設計技術を採用した小型メディアで、従来のミニDVカセットに比べ容積が約3割減となっている。蒸着テープは新開発のナノクリスタル磁性体を高密度充填したもので、DVと同等の高画質/高音質のデジタル記録が可能という。また新開発のスライド式2重リッドにより密閉性が高まり、埃などからテープを保護できるほか、カセットの開閉範囲も最小限に抑えることが可能。そのほか、64kbitの“micro Cassette Memory”を標準搭載している。

MICROMVカセット
新開発の小型記録メディア“MICROMVカセット”『MGR60』(写真右)。写真左のミニDVカセットと比べてひと回り小さくなっている

『DCR-IP7』本体は、1/6型総画素数68万画素(有効画素数34万画素)のCCDを搭載、“アドバンストハッドテクノロジー”を採用し、暗い場所や黒い被写体でも、ノイズの少ない撮影が可能という。レンズはカールツァイスレンズ“バリオゾナー”を搭載し、ズーム倍率は光学10倍/デジタル120倍、F1.7~2.3、f=2.3~23mm(35mm換算値でf=44~440mm)となっている。新アクティブイメージエリア方式手ぶれ補正機能も搭載する。

録画時間は“MICROMVカセット”『MGR60』使用時で60分。バッテリーは新開発の“インフォリチウム”Fシリーズバッテリー『NP-FF50』『NP-FF70』を採用、最大連続撮影時間はNP-FF70でビューファインダー使用時または液晶画面のバックライトOFFでの撮影時で170分。メモリースティックへの記録圧縮方式と画面サイズは、静止画がJPEG方式で640×480ドット、動画がMPEG-1方式で144×96ドット/352×240ドット。本体サイズは幅47×奥行き80×高さ103mm、重量は310g。

記録媒体の“MICROMVカセット”『MGR60』は、『DCR-IP7』本体と同時発売で、価格はオープンプライス、推定小売価格は1500円前後。

IP7内部
発表会場で公開された『DCR-IP7』の内部
IP7メカデッキ同じく『DCR-IP7』のメカデッキ内部

DV方式のデジタルビデオカメラも同時発表

また同社は、1/4型総画素数155万画素(有効画素数139万画素)メガピクセルCCDとカールツァイスレンズ“バリオゾナーT*”を搭載したDV方式のデジタルビデオカメラレコーダー『DCR-PC120』も発表、9月10日に発売する。価格はオープンプライスで、推定小売価格は19万円前後。

DCR-PC120
DV方式のデジタルビデオカメラレコーダー『DCR-PC120』

『DCR-PC120』も、『DCR-IP7』と同様にBluetoothを搭載しており、メールの送受信やウェブ上でのアルバム作成、ホームページ作成などが可能。

DCR-PC120液晶部
液晶モニターでさまざまなウェブサイトを閲覧できる

静止画撮影用にフラッシュを搭載し、周囲の明るさに応じて自動的にフラッシュが動作するオートポップアップ機能も備えている。さらに、ホログラフィックAFを搭載しており、暗闇での静止画撮影時にレーザーホログラムの補助光を出すことで、ストロボ発光時のオートフォーカス精度が向上する。そのほか、信号処理能力の向上によりデジタルノイズが低減したという。

『DCR-PC120』のレンズは、F1.8~2.2、f=4.2~42mm(35mm換算値:カメラモードf=48~480mm/メモリーモードf=40~400mm)、ズーム倍率は光学10倍/デジタル120倍。2.5型液晶モニターを装備する。録画時間はSP=80分/LP=120分。電源はインフォリチウムバッテリーで、最大連続撮影時間は475分。メモリースティックへの記録圧縮方式と画面サイズは、静止画がJPEG方式で1360×1020ドット/640×480ドット、動画がMPEG-1方式で160×112ドット/320×240ドット。記録媒体はミニDVカセット。本体サイズは幅57×奥行き113×高さ118mm、重量は580g。

本日都内ホテルで行なわれた発表会で、同社執行役員モーバイルネットワークカンパニープレジデントの木村敬治氏は、「これまでわれわれはパソコンを中心に“つながる”世界の提案をしてきた。家庭内のさまざまな機器とパソコンをつなげるとともに、インターネットサービスにもつなげようと、サイト展開も行なってきた。'95年以降、インターネット接続の主役はパソコンだったが、今後は携帯電話やPDAなどワイヤレス接続デバイスが市場を大きく牽引していくだろう」

「本日発表したハンディカムは、パソコンを介さずにインターネットに接続できるという新しい商品コンセプトで開発された製品。世界最小/最軽量でネットワーク機能を搭載した、従来のカムコーダーの在りかたを変える新しいパーソナルデジタルビデオカメラだ。これにより新しい市場創造にチャレンジしていく」としている。

木村プレジデント
『DCR-IP7』を手にする同社執行役員モーバイルネットワークカンパニープレジデントの木村敬治氏。「ネットにはどんなものがつながってもおかしくない」

同社は今後のハンディカム製品群について、“MICROMV”を高画質/超小型でネットワークとの親和性の高いシリーズ、“ミニDV”を高画質で付加価値の高いシリーズ、“デジタルエイト”と“ハイエイト”を高画質で求めやすいシリーズとしてそれぞれ位置付け、製品展開を行なうとしている。

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