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「キーボードやマウスはかっこ悪い!? 」――ワコム、液晶ペンタブレット“Cintiq”を発表

2001年09月17日 22時29分更新

文● 編集部 中西祥智

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(株)ワコムは17日、電子ペンで直接入力できる液晶ディスプレー“WACOM Cintiq(シンティック)”『C-1500X』を発表した。

“WACOM Cintiq”『C-1500X』
“WACOM Cintiq”『C-1500X』

同日の記者発表会で恵藤祥治代表取締役社長は、同社は従来、コンシューマー向けの“FAVO”および法人・プロ向けの“intuos”という2つのペンタブレットのラインアップを提供してきたが、今回の液晶ペンタブレットCintiqを第3のブランドと位置付け、今後注力していくことを説明した。同社ではCintiqを、法人だけでなくコンシューマー向けにも提供していくという。

恵藤祥治代表取締役社長
恵藤祥治代表取締役社長

Cintiqは、15インチのTFTカラー液晶ディスプレー(1024×768ドット、1677万色表示)に、電子ペンでの入力を可能にした製品。電子ペンは電磁誘導によって動作するため、バッテリーや接続コードは必要としない。筆圧を512段階まで検出することが可能で、ペンの反対側で書いたものを消すことができる消しゴム機能も実装している。また、ペンには2つのサイドスイッチを装備しており、マウスの右クリックやキーボードのショートカットキーを割り当てることが可能。

液晶面の角度は、水平より17度から72度まで、45段階で設定可能。同社では“電子画板”として、通常のイスに座った姿勢だけでなく、寝転んだり、Cintiqを抱え込んだりといった姿勢で、自由に使用できると説明している。

Cintiqの背面
Cintiqの背面

視野角は水平、垂直とも160度までで輝度は270cd/m2、コントラストは300対1となっている。映像入力端子はアナログRGBおよびDVI双方に対応しており、タブレットの信号はUSBあるいはシリアル経由でパソコンに伝える。付属するソフトウェアは、ペイントソフト『Painter Classic』、手書き注釈(アノテーション)&手書きメールソフト『PenPlus パーソナル』、手書き文字入力ソフト『PenFEP/Jr SE』で、この内Painter Classic以外はWindows版のみとなっている。

Cintiqの対応OSはWindows 98/Me/2000/XPおよびMac OS 8.5以降で、Mac OS X対応ドライバーは、同社のウェブサイトからダウンロード可能。消費電力は最大45Wで、本体サイズは幅405×奥行き340×高さ52.5mm、重さは約4.8kg。価格は16万8000円で、22日に発売する。同社では世界で、年間3万台の売り上げ台数を見込んでいる。

恵藤社長によると、同社の液晶ペンタブレットは、国内ではCRM(Customer Relationship Management)サポートセンターや、電子カルテを扱う医療分野に導入されている。実例として紹介したキリンビール(株)の場合は、受注センターに24台の液晶ペンタブレットを導入し、オペレーターはキーボードもマウスも使わず、電子ペンで素早く画面上のボタンを押していくことで、1件の注文を60秒で完了するという。

そのほかには、グラフィックデザイナーやアニメーターなどが利用しており、また化粧品店の店頭でのプレゼンテーションツールとしても使用されている。同社では、「キーボードやマウスはかっこ悪い」ため、スタイルを重視する場所での需要を見込んでいる。

Excelの画面上への書き込み
Excelの画面上への書き込みも可能

同社が実際に行なったデモンストレーションでは、PenPlusの機能によって、デスクトップやExcelの画面上にペンで自由に書き込み、また消しゴム機能で消して見せた。また、そのデスクトップへ直接書き込んだ文字を、付箋として貼り付けることも可能。画面全体をホワイトボードにして、ペンでの書き込みや画像の貼り付けも可能で、それをメールに添付して送信することもできるという。

また、同日の発表会ではタブレット“intuos2(インテュオス2)”シリーズ5機種も同時に発表した。

“intuos2”シリーズ
“intuos2”シリーズ

今回発表したのは、A6サイズの『i-420』、A5サイズの『i-620』、A4サイズの『i-920』、A4正方形サイズの『i-1220』、A3サイズの『i-1820』の5機種。それぞれにシリアル接続、USB接続の2モデルがあり、またi-620USBおよびi-920USBの2モデルには、標準の薄いグレー色“アイシーブルー”のモデルのほかに濃い紫色の“ディープパープル”に塗られたモデルを提供する。

従来の“intuos”から強化した点は、i-420およびi-620にタブレット上で使用する3ボタンマウスを添付したこと、そのほかのモデルに付属する5ボタンマウスのデザインも一新したことなど。また、標準でマンガ制作ソフト『Comic Studio Mini』が付属する。intuos2シリーズは最大1024段階の筆圧感知が可能であり、Comic Studioと組み合わせることで、自然な線を描くことができるという。

Comic Studio
intuos2でComic Studio

intuos2シリーズの価格は、同社はintuosより最大12%引き下げたとしており、i-420が2万3500円、i-620が3万6500円、i-920は5万2500円、i-1220が8万3000円、i-1820は15万3000円となっている。

タブレットの世界市場シェア
タブレットの世界市場シェア

タブレットの世界市場において、同社は60%のシェアを確保している。恵藤社長はCintiqによって「液晶ペンタブレットの分野でも、数年の内に売り上げNo.1を目指したい」と語った。

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