19日に開幕した“WORLD PC EXPO 2001”において米PaceBlade Technology社は、米トランスメタ社のCrusoeを搭載したポータブルパソコン『PaceBook』を出展した。
『PaceBook』一見ノートパソコンに見えるのだが、よく見るとキーボードが離れている |
CPUに新型のCrusoe『TM5800』を搭載するPaceBookの最大の特徴は、キーボードとディスプレーが別のパーツになっていることだ。キーボードとディスプレー間は赤外線で通信する。これによって、キーボードの自由な配置が可能だ。ディスプレーは縦型画面の表示も可能で、ファンクションキーで切り替えられる。また、画面はタッチパネルになっており、スタイラスペンでも、指でも操作できるという。
縦に持ってペンでの操作も可能 |
CPUはCrusoe(TM5800-800MHz)で、TM5800自体はDDR SDRAMに対応しているが、PaceBookではメモリーとして128MBのSDRAM(PC/133)を搭載する。12.1インチTFTカラー液晶ディスプレー(1024×768ドット)、20GBから30GBの2.5インチHDDを搭載し、PCカードスロット(Type II)、IEEE1394、LANポート、56kbpsモデムポート、USBポート×2を実装する。本体サイズは幅247×奥行き330×高さ29mmで、重さは約1.6kg、バッテリー駆動時間は約6時間となっている。発売時期は米国で11月ごろ、価格は日本円で25万円程度だとしているが、詳細および日本での発売は未定。
また、米沢日本電気(株)もTM5800を搭載する組み込み型CPUボードを出展していた。
TM5800搭載の組み込み型CPUボード |
同社の組み込み型CPUボード『CB56シリーズ』は、その名のとおりCrusoe『TM5600』を搭載するのだが、今回出展していたのはTM5800を搭載した試作品だった。CB56シリーズと比べて、CPU以外の変更点はないと思われる。
Crusoe『TM5800』 |
CB56シリーズは、64MBのSDRAMをオンボードで搭載し(システムが16MBを予約)、ビデオチップとして『RAGE Mobility-M』を実装する。また、PCカードスロット(Type II×2もしくはType III×1)やCFカードスロット、IDEコネクター(Ultra ATA/66)、10BASE-T/100BASE-TX×2、USB×2、シリアル、パラレル、PS/2マウス・キーボードポートなども実装する。基板のサイズは縦170×横149mmで、重さは約170g。消費電力は最大10W。OSはLinuxをサポートし、バッテリーでの駆動も可能。
さらに同社は、Crusoeを搭載する小型サーバー『NETBRAIN』も展示していた。NETBRAINは本体サイズ幅145×奥行き240×高さ220mmで重さは約6kg、消費電力が40Wと小型で低消費電力なことが特徴。
『NETBRAIN』 |
トランスメタの担当者によると、Crusoeが登場してからほぼ1年経過したが、低消費電力・低発熱のCPUというジャンルを作り上げたことは大きいとしている。低発熱・低消費電力を求めて、NETBRAINのようなCrusoe搭載サーバーも増加している。最近では米インテル社がその分野でもシェアを拡大しているが、同社によれば「もともとの企業規模がまったく違う」ため、しかたのないことだとしている。むしろトランスメタでは、「1年間でよくここまで来た」と評価しているという。
AMDはどう?
一方、日本AMD(株)は、今回は新しいCPUの発表などは行なわない。しかし、AMDのCPUを搭載するパソコンの展示やそれを使ったデモ、Pentium IIIとの比較ベンチマークは行なっており、また今回、新たに日本で開発したベンチマークソフト『N-Bench Version2』のベータ版を出展した。
Pentium IIIとの比較ベンチマーク |
『N-Bench Version2』のベータ版 |
N-Bench Version2はCPUに負荷のかかるエフェクトをかけた3DCGを再生し、フレーム数を計測することでCPUの性能を測定する。現在はまだデモ版。メーカー製ベンチマークというのは信頼性に疑問を持たれやすいが、同社の担当者は「コードを解析してもらっても、Athlonに有利なプログラムにはなっていない」と断言した。