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シャープ、“ザウルスシリーズ”の新モデルを発表──「それでもノートパソコンを持ち歩きますか?」


2002年11月12日

新Linuxザウルスを2機種同時発表!

シャープ(株)は12日、同社のPDA“ザウルスシリーズ”の新製品2モデルを発表し、同社の東京市ヶ谷ビルで記者発表会を行なった。

発表したのは、640×480ドット(VGA)で6万5536色表示が可能な、3.7インチ透過型“CGシリコンシステム液晶”パネル(※1)とキーピッチ10.75mmのキーボードを搭載した『SL-C700』と、240×320ドット(QVGA)表示の反射型(フロントライト付き)TFT液晶パネルとスライドキーボードを搭載し、1700mAhの大容量バッテリーで最大約18時間の表示が可能な『SL-B500』。『SL-C700』は、ディスプレー部分を180度回転させて裏返すことが可能で、キーボードを利用した文字入力のための“インプットスタイル”と、ビューワーとして縦長の画面で利用する“ビュースタイル”を切り替えることができる。

※1 単結晶シリコンに近い性質を持つ連続粒界結晶シリコン(CGシリコン)をベースにした液晶ディスプレーパネル。連続粒界結晶シリコンは電子移動特性が高く、液晶パネルと同じガラス基板上に、液晶ドライバーICの周辺駆動回路などを形成することができ、部品点数の削減や消費電力の低減が可能になるという。

また、無線LANカードやCFカード型PHSなどの通信カードを装着し接続操作を行なうと、自動的に接続先を選択して通信を開始する“スマート接続”機能が新たに追加された。

『SL-C700』インプットスタイル
3.7インチVGAディスプレーと、キーピッチ10.75mmのキーボードを搭載した『SL-C700』。写真は両手で挟んだり机に置いてキーボードから文字入力することを想定した“インプットスタイル”だ
『SL-C700』ビュースタイル
ディスプレーを回転させて裏返すと、片手で持っての操作や、ファイルのブラウズを想定した“ビュースタイル”に切り替えられる
『SL-B500』
スライドキーボードと18時間動作が可能な大容量バッテリーを搭載した『SL-B500』

液晶や外観以外のハードウェアやソフトウェアの基本構成は両機種とも同じで、CPUは米インテル社のXscale PXA250-400MHz、64MBのフラッシュメモリーと32MBのSDRAM(ワークエリア)を搭載する。OSは、(株)リネオが提供している組み込みLinuxディストリビューション『Embedix』で、Linuxカーネル 2.4.18を採用している。

搭載されるアプリケーションは、『SL-A300』同様の“カレンダー”“アドレス帳”“ToDo”といった機能を持つPIMツールや、“メモ帳”“イメージノート”“メール”の機能のほか、Microsoft Wordのファイルの編集に対応した日本語ワープロソフト『HancomMobileWord』、Microsoft Excelのファイルの編集に対応した表計算ソフト『HancomMobileSheet』、Java実行環境『Jeode』のほかに、新たにウェブブラウザー『NetFront 3.0』や、MP3やMPEG-1/-2に対応した『メディアプレーヤー』、『ボイスレコーダー』などが追加された。また、パソコンで表示中の画面を付属のUSBケーブルで接続したザウルスにそのまま取り込める“ザウルスショット”機能が強化され、画像を印刷イメージとして取り込むことにより、ディスプレーに表示されていない部分の取り込みにも対応した。なお、これらの新機能を『SL-A300』でも利用できるように、ソフトウェアの有償アップデートサービスが提供される予定だ。

『SL-B500』の本体サイズは、幅74×奥行き138×高さ25.3mm(液晶保護カバー取り付け時)、重さは223g(液晶保護カバー取り付け時)。バッテリーは3.7V、1700mAhのリチウムイオン充電池で、約18時間の連続表示が可能(フロントライト消灯時)。インターフェースはコンパクトフラッシュカードスロット(Type II)、SDカードスロット(SD/IO非準拠)、パソコン接続用USBケーブルを接続するI/Oポート、赤外線通信ポート、ACアダプター端子が用意される。『SL-C700』の本体サイズは、幅120×奥行き83×高さ18.6mm(突起部除く)、重さは225g(タッチペン、充電池、保護カード含む)。バッテリーは3.7V、1000mAhのリチウムイオン充電池で、約4時間50分の連続表示が可能(バックライト輝度最小時)。インターフェースはコンパクトフラッシュカードスロット(Type II)、SDカードスロット(SD/IO非準拠)、パソコン接続用USBケーブルを接続するI/Oポート、赤外線通信ポート、ステレオイヤフォンマイクジャック、ACアダプター端子が用意される。対応するパソコンのOSは、両製品ともWindows 98/98 SE/2000 Professional/Me/XP。なお、Windows 95からアップグレードした環境には対応していない。

製品の位置づけとしては、『SL-B500』はビジネスに対応したベーシックモデル、『SL-C700』はキーボード入力の利用が多いユーザー向けの製品となる。

『SL-B500』と『SL-C700』はいずれも12月14日に発売される。価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格は『SL-C700』が5万円台後半、『SL-B500』は4万円台後半になる見通し。同時に『SL-B500』用クレードル『CE-ST9』も発売される。『CE-ST9』の希望小売価格は5000円。


周辺機器、アプリケーションも続々登場

記者発表会では、最初にシャープ常務取締役通信事業統括の御手洗顕氏が挨拶した。

シャープ(株)常務取締役通信事業統括の御手洗顕氏
シャープ(株)常務取締役通信事業統括の御手洗顕氏

御手洗氏は、無線LANの普及や携帯電話の高機能化、ノートパソコンの小型化など、モバイル環境の現状を紹介し、そのうえで、今回発表された2製品について、「ザウルスこそがもっとも求められる携帯ツール」であると紹介した。

引き続き、通信システム事業本部モバイルシステム事業部長の宇野裕史氏が、新しい“ザウルスシリーズ”の事業戦略を紹介した。

シャープ通信システム事業本部モバイルシステム事業部長の宇野裕史氏
シャープ通信システム事業本部モバイルシステム事業部長の宇野裕史氏

宇野氏によると、モバイルツールでよく利用される機能を調査した結果、以下の5つの機能がよく使われるものであることが分かったという。

  • プレゼンテーションを行なう
  • 議事録をとる
  • メールで連絡する
  • インターネットで調べものをする
  • 在庫管理や見積書を作成する

これまでは、このような機能を利用するためにはノートパソコンを持ち歩かなければいけなかったが、『SL-C700』を利用すれば、ここにあるすべての機能を実現できるとし、「それでもノートパソコンを持ち歩きますか?」と問いかけた。

『SL-C700』でプレゼンテーションを行なう宇野氏
宇野氏のプレゼンテーションは『SL-C700』を用いて行なわれた

また、ソフトウェア開発コミュニティーの現状にも触れ、全世界で3万3000人が開発者として登録しており、すでに550本あまりのアプリケーションが開発されていると紹介した。なお、日本語に対応したアプリケーションはそのうち50本程度で、現在シャープが動作を確認した20本が、シャープの“ザウルスシリーズ”向けウェブサイト“ザウルス宝箱”を通じて提供されているとのことだ。

最後に、通信システム事業本部商品企画部長の藤原齋光氏が、『SL-C700』の機能について、デモを交えながら紹介した。

シャープ通信システム事業本部商品企画部長の藤原齋光氏
シャープ通信システム事業本部商品企画部長の藤原齋光氏

デモでは、藤原氏自身が出張して客先でプレゼンテーションを行なうことを想定し、“ザウルスショット”による地図取り込みや、“イメージノート”を利用したプレゼンテーションなどを紹介した。

ザウルスショットのデモその1
パソコン上で“F10”キーを押すと、印刷メニューが現われ、『SL-C700』に印刷イメージを送ることができる
ザウルスショットのデモその2
『SL-C700』に取り込んだPowerPointのプレゼンテーション資料。“イメージノート”を利用してプレゼンテーションを行なうこともできる
『HancomMobileWord』を利用して報告書を作成
出張の最後には『HancomMobileWord』を利用して報告書を作成する。そのままメールに添付して会社に送信すれば、移動中にすべての業務を完了できる

藤原氏に今後の製品ラインナップについて伺ったところ、現在販売されている『SL-A300』と、今回発表された『SL-B500』、『SL-C700』をベースに、基本コンセプトは大きく変えることなく展開するとの回答が得られた。

記者発表会場には、現在サードパーティーによって開発が進められている周辺機器やアプリケーションも展示されていた。

ザウルス上で動作するGUI環境『式神』
(株)アックスが開発している、組み込みLinux向けGUI環境『式神 2.0』。“ザウルスシリーズ”に標準で搭載されているGUI環境『Qtopia』と異なり、Linuxのフレームバッファーを直接操作するのではなく、X Window System上で動作する。“式神プロジェクト”として、オープンソースで開発されている製品だ
ブラザー工業(株)のプリンター
ブラザー工業(株)が展示していたモバイルプリンター『MW-100』。Pocket PCに対応した製品がすでに販売されており、ザウルス向けのモデルは現在開発中
(株)シーイーシーのPowerPoint圧縮ソフト
(株)シーイーシーのPowerPointファイル圧縮ソフト『Impactica for PowerPoint』。PowerPointファイルを、動画や音声も含めて10分の1程度のサイズに圧縮できる。来年夏頃にリリース予定だ
デジタルカメラカード
シャープが販売中の35万画素のデジタルカメラカード『CE-AG06』

(編集部 阿蘇直樹)




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