富士写真フイルム(株)は9日、デジタルカメラ機能内蔵の携帯電話機で撮影した画像を印刷する小型のデジタルプリンター『NP-1』(仮称)の開発を発表した。価格、発売日は現在のところ未定。これに合わせて同日、アスキー社内において、開発中の試作機、携帯電話機用アプリを用いたデモンストレーションが行なわれた。
『NP-1』(仮称) |
『NP-1』は、カメラ付き携帯電話機で撮影した画像を“いつでも、どこでも、簡単に、すぐに”プリントできることを目指した製品で、携帯電話機の赤外線ポート(IrDA)から転送されたデータを受信し、即座にプリントを開始するというもの。『NP-1』上の操作ボタンは、電源ボタンのほかには、直前に印刷した画像を再プリントするためのボタンしかなく、印刷する写真の選別や印刷開始(=携帯電話機から『NP-1』にデータを転送する)はすべて携帯電話機側で操作する。
プリントには、同社のインスタントカメラ『チェキ』シリーズ用のフィルム『instax mini』を使用する。このフィルムはISO800の高感度フィルムとなっており、一般的なデジタルカメラに比べて明るさの足りない携帯電話機で撮影した画像のプリントに適しているという。また、1度のLCD走査で3原色を露光させる“線順次露光方式”を採用しているため、フィルムプリントの完了まで約15秒程度と高速な印刷が可能となっている。さらに、高感度フィルムを利用しているために露光に必要なLCD光量が低く抑えられ、カメラ用リチウム電池(CR2)×2で約100枚の印刷が行なえるという。
撮影とデータ送信を行なう携帯電話機側には、あらかじめ専用ソフトをダウンロードしておく必要があり、撮影や転送はこのソフト上から行なう。デモに用いられた開発中のソフト(NTTドコモの“iアプリ”。他のプラットフォームに関しては現時点では未定)では、、撮影後、ワンタッチで赤外線送信が可能な構造となっており、一般的なカメラ付き携帯電話機の赤外線送信に比べると、撮影→送信の手順が単純化されている。また、機種ごとの画像解像度の相違も、このソフト上で自動処理することで吸収するという。
プリント解像度は10ドット/mm(254dpi)、プリント階調はRGB各256階調、プリント可能な画像フォーマットはJPEG。本体サイズは幅117.5×奥行き105.5×高さ41.5mm、重さは250g(電池、フィルムを除く)。
『NP-1』開発担当スタッフショートインタビュー
デモンストレーションの終了後、電子営業事業部開発部技術主席兼営業部新規ビジネス統括主席の羽田典久氏、インスタント写真部業務課主査の中台薫氏、インスタント写真部技術グループ主任技師の青崎耕氏にお話をうかがった。
左から、中台薫氏、羽田典久氏、青崎耕氏 |