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ソニー、“バイオノート505エクストリーム”と“バイオP”を発表――ソニーの技術力とプライドを結集した505 エクストリーム

2003年11月12日 16時31分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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ソニーマーケティング(株)は12日、モバイルノートパソコンの“バイオノート505エクストリーム”2機種と、一体型デスクトップパソコンの“バイオP”1機種を発表した。また、“バイオノートGR”シリーズの秋モデルに、最上位機種を追加することを発表した。



“モノ作り伝統の復権”――バイオノート505エクストリーム

今回発表された製品の中で特に注目されるのが、ソニー自らが“ソニーの技術力とプライドを結集した究極のバイオノート”と呼び、“モノ作り伝統の復権”をうたう、バイオノート505エクストリーム(以下、505エクストリーム)。“バイオノート505”シリーズは、1997年10月に発表した初代モデル『PCG-505』以来、外観が変更されたりスペックアップされた新モデルが続々と登場したが、今回の505エクストリームは、ソニーが505の原点とする“持つ喜び”を追求したモデルだという。ラインナップは、一般店頭モデルの『PCG-X505/P』と、ソニーマーケティング(株)が運営する直販サイト“ソニースタイル”専用の『PCG-X505/SP』の2機種となっている。

505エクストリームシリーズ 左からPCG-X505/P、PCG-X505/SP
505エクストリームシリーズ左からPCG-X505/P、PCG-X505/SP

シリーズ名の“エクストリーム”とは“極限”を意味し、“Extreme Mobility”(究極のモバイルノート)をコンセプトに開発したという。このコンセプトを支えるポイントとして、(1)本体の薄型化・軽量化による“スマーテスト・モバイル”、(2)ステータス感のある美しい外観の“プライドスタイル”、(3)専用アクセサリー群による“コーディネート”の3本柱を挙げている。



薄型・軽量を実現するMDサイズのマザーボード

505エクストリームの外観は、凹凸を排除したシンプルで滑らかなフォルムになっている。本体底面も凹凸がなく、ネジ等の穴や蓋などを目立たなく処理しているほか、製造番号シールなどのシール類は、可能な限りバッテリーと本体の間に隠されている。DC入力端子はヒンジ部の左側面に、電源ボタンは右側面に備え付けられているなどデザイン性を追及している。液晶背面には鏡面仕上げによる“VAIO”の“ブラックルミナスロゴ”が、本体底面には“シルクプリントロゴ”が、キーボード脇には“ステンレスミラーロゴ”があしらわれている。

本体のサイズは、2モデル共通で、幅259×奥行き208×高さ21(最薄部は9.7)mm。初代バイオノート505、PCG-505と同等のフットプリント(幅259×奥行き208mm)で、重さはPCG-505より約500g軽い約825g(PCG-X505/Pの場合、PCG-X505/SPはさらに軽い約785g)、最薄部はPCG-505より14.2mm薄い9.7mmをとなっている。マザーボード、HDD、キーボード、PCカードスロット(TypeII×1)などの部品を、本体内部で重ならないようにレイアウトすることで薄くしたという。

新たに開発されたマザーボードは、6層ブラインドビア(※1)と両面2段ビルドアップ(※2)からなる、“高密度実装10層基板”を採用、ミニディスク(MD)のメディア(幅72×高さ8×奥行き68mm)とほぼ同等の大きさに小型化されている。マザーボードの基板のうち、高密度実装10層基板部分の厚さは0.95mm。

※1 マザーボードなどの多層プリント配線基板には“ビアホール(Via Hole)”、“スルーホール”などという、各層の間で電気信号をやり取りすための“通し穴”(ビア)が設けられている。通常ビアは、同じ場所に1つしか作れないので、その経路を必要としない層ではデッドスペースとなってしまう。ブラインドビアは、基板を貫通せずに途中の層をつなぐ技術で、配線をより高密度化できる

※2 ビアがところどころにある通常の基板では、構造上、電子部品が置けない場所が出てくる。そこで、多層基板の表面に部品を置くための部品実装層を設ける(ビルドアップする)ことで、より自由に部品を実装することが可能になる

高密度実装10層基板のイメージ
高密度実装10層基板のイメージ

電子部品は、携帯電話で使用するような超小型のチップ部品を使用している。例えば、抵抗やコンデンサーは0.6×0.3mmの部品を、トランジスターは端子のピッチが0.35mm、パッケージが1.0×0.8mmのものを、ロジックICは端子のピッチが0.35mm、パッケージが1.0×0.8mmのものを、いずれもバイオとして初めて採用している。

他のバイオノートでは、基板の面積に対する部品の実装面積(部品占有率)が40~70%であるのに対し、これらの技術を採用した結果、505エクストリームが採用する基板では部品の部品占有率が片面換算で約90%にもなる超高密度実装を可能にしたという。

なお、505エクストリームは冷却ファンやヒートシンクを搭載しておらず、グラファイト熱拡散シートがCPUやチップセットの熱を拡散してキャビネットに放出する。ユーザーは、ユーティリティーソフトを使い、温度上昇抑制モード/処理速度優先モードを切り替えて使うことができる。



本体強度と美しい外観を実現するカーボンファイバー積層板

液晶背面と本体底面には、PCG-X505/Pではニッケル強化カーボンモールド、PCG-X505/SPではカーボンファイバー積層板が採用されている。ニッケル強化カーボンモールドは、プラスチックに繊維径7μm/繊維長0.1~0.2mmというカーボン繊維を加えて(カーボン繊維混入率は10%)成形した厚さ0.8mmのカーボンモールドに、厚さ20μmのニッケル強化コートを施したもの。プラスチックをベースに成型したカーボンモールドは、しなやかで折れにくいという特徴がある。さらにこれをニッケルコーティングすることにより、マグネシウム合金と同等の耐衝撃性を持たせたという。また、この新しい外装素材の採用により、低い体感温度となめらかで美しい表面も実現したとソニーは説明している。2機種とも、本体内面2面は、マグネシウム合金を採用している

PCG-X505/SPが採用したカーボンファイバー積層板は、厚さ0.1mmのカーボンシートを6枚重ねたもの。繊維の方向は単方向で、シートを重ねる際に各シートの繊維の方向をずらすことで強度を高めたという。平均的な強度はニッケル強化カーボンモールドの約2倍以上で、重さはその8割程度しかない。そのためPCG-X505/SPの重さは、PCG-X505/Pよりも40g軽い、785gとなっている。

キーボード(87キー)は、キーピッチが17mm、キーストロークが1.5mm。キートップを支えるベースプレートには、厚さ0.4mmのマグネシウム合金を採用している。ポインティングデバイスとして、スクロール機能対応スティック式ポインティングデバイスを搭載する。

以下は2モデル共通で、CPUは超低電圧版Pentium M-1.0GHz(“拡張版インテルSpeedStepテクノロジ”搭載)。約20GBの1.8インチHDD(Ultra ATA/100)、512MBのメモリー(DDR266対応DDR SDRAM、最大512MB)を搭載する。チップセットは、インテル855GMチップセットで、グラフィックスアクセラレーターはチップセットに内蔵、ビデオメモリーは最大64MB(メインメモリーと共有)。10.4インチXGA対応のTFTカラー液晶ディスプレー(1024×768ドット/1677万色)を装備する。販売中のバイオノート505秋モデルはCD-RW/DVD-ROM一体型ドライブを搭載するが、505エクストリームは光メディアドライブを内蔵しない。

外部接続端子は、USB 2.0×2、i.LINK(IEEE1394、S400、4ピン)、ステレオヘッドホン出力(ステレオミニジャック)、ディスプレー/LANアダプター『PCGA-DLA1』(後述)用コネクター、バイオ関連製品専用DC OUT(電源供給)コネクターも利用できる。PCカードスロットはTypeII×1(CardBus対応)。そのほか、カラーやデザインを505エクストリームにあわせた、下記の専用アクセサリーが付属する。

USB光学式マウス『PCGA-UMS505』
メモリースティックスロットを装備。メモリースティックPROに対応し、128MBを超えるメモリースティックも利用できる。マジックゲートに対応するが、メモリースティックPROではマジックゲート非対応
ワイヤレスLAN PCカード『PCGA-C300S/B』
IEEE 802.11b/g準拠の2.4GHz無線LAN機能を搭載
ディスプレー/LANアダプター『PCGA-DLA1』
外部ディスプレー出力(ミニD-Sub15ピン)、ネットワークインターフェース(10/100BASE-TX)を装備。マグネシウム合金製
クリーニングクロス
洗濯して繰り返し使える超極細繊維のソフト起毛クロス
キャリングケース『PCGA-CK505』
内側のクッションで本体を傷から守るバリスティックナイロン製
アクセサリーケース
付属アクセサリー群を収納できる
本体と付属アクセサリー PCG-X505/Pとキャリングケース
左上から時計回りに、PCGA-CK505、クリーニングクロス、バイオノート本体、PCGA-C300S/B、PCGA-DLA1、PCGA-UMS505、アクセサリーケースPCG-X505/Pとキャリングケース

電源はACアダプターまたはリチウムイオンバッテリーで、バッテリー駆動時間は約3時間(JEITA測定法1.0)。主な同梱ソフトは、以下のとおり。OSはともにWindows XP Professional。

  • DV動画/静止画入出力および簡易編集ソフト『DVgate Plus Ver.1.1』。DV機器からのキャプチャーや書き出し、簡易編集ができる
  • インタービデオジャパン(株)のドルビーバーチャルスピーカー/ドルビーヘッドホン対応DVDビデオ再生ソフト『WinDVD 4 for VAIO』
  • 手持ちの音楽CDやインターネット上で配信される音楽をハードディスクに記録して管理/再生するためのソフト『SonicStage Ver1.6』
  • デジタルカメラ等からの静止画の取り込み、その管理と簡易編集、アルバム・ラベル作成、出力がひとつの流れの中で行なえる静止画管理/加工/プリント統合ソフト『PictureGear Studio Ver.2.0』
  • 『VAIO Media Ver.2.6』。VAIO Mediaのサーバーにためこまれた静止画/音楽/ビデオや受信中のテレビ放送をネットワーク経由で見ることができる
  • ファイル同期ツール『VAIO Synchronizer Ver.1.1』。ネットワークでつながったバイオと他のパソコンとの間で、フォルダーの同期が自動的に行なえる
  • ネットワーク切り替えツール『Smart Network Ver.2.2』。複数の異なる環境のネットワーク接続の設定を登録、管理し、自働的に切り替えられる
  • (株)シマンテックのウイルス対策ソフト『Norton AntiVirus 2003』

PCG-X505/Pは12月6日の発売予定で、価格はオープンプライス。編集部による予想実売価格は約30万円。PCG-X505/SPは、ソニースタイルで購入希望者を対象とした“予約エントリー”を12日から受付け、19日に受注を開始する予定。販売予定価格は34万9800円。なお、次期シーズンに505エクストリームシリーズの後継機種を発売するかどうかは、現時点で未定という。



オリジナルアタッシュケースとのセットモデルも用意

そのほか505エクストリームの関連製品として、バッテリーパック『PCGA-BP505』(12月6日発売予定、オープンプライス、編集部による予想実売価格は2万6000円)と、24ヵ国対応のグローバルカードモデム『PCGA-CM100』(ソニースタイル専売、12月6日発売予定、価格予定価格は1万6980円)が発売される。

またソニースタイルでは、PCG-X505/SPと、オリジナルのモバイルアタッシュケース、グローバルカードモデムPCGA-CM100、プライバシーフィルターをセットにした『PCG-X505/SP エグゼクティブモバイルパッケージ』を505台限定で販売する。モバイルアタッシュケースは、ソニーと国内鞄メーカー(非公開)が共同で制作したもので、PCG-X505/SP本体とアクセサリー類を収納できる。外装はPCG-X505/SPと同色のアルマイト塗装が、バックルやダイヤルロックなどの金属のパーツはブラックニッケル加工が施されている。12日から予約エントリーを受付け、受注開始は19日の予定。販売予定価格は40万円。

PCG-X505/SP エグゼクティブモバイルパッケージ アタッシュケースに収納
PCG-X505/SP エグゼクティブモバイルパッケージアタッシュケースにはPCG-X505/SP本体とアクセサリー類を収納できる

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