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三洋、ニッケル水素電池用の新電極材料“超格子合金”を実用化!まずは携帯電話に採用!


2003年11月28日

三洋電機(株)は27日、ニッケル水素電池用の新しい電極材料“超格子合金”の実用化に成功したと発表、28日に都内で説明会を開催した。超格子合金は、ニッケル水素電池の負極を構成する希土類元素とニッケルに加えてマグネシウムを採用することで、より多くの水素原子を吸収できうるようにしたもの。今後発表される製品は超格子合金タイプの製品に置き換わっていく予定。なお、超格子合金タイプはハイブリッド車、電動工具、携帯電話機などに採用が計画されている。手始めに携帯電話機向けに1月に実用化される予定で、量産体制も整っているようだ。

コンポーネント企業グループ モバイルエナジーカンパニーR&Dユニットのビジネスユニットリーダー兼エナジー研究所長工学博士の米津育郎氏
コンポーネント企業グループ モバイルエナジーカンパニーR&Dユニットのビジネスユニットリーダー兼エナジー研究所長工学博士の米津育郎氏

説明会では同社のコンポーネント企業グループ モバイルエナジーカンパニーR&Dユニットのビジネスユニットリーダー兼エナジー研究所長工学博士の米津育郎氏が説明にあたった。米津氏はまず、従来のニッケル水素電池の特徴について、デジタルカメラ“Xacti”『DSC-S1』(単3形電池2個使用)での連続撮影実装テストの結果を提示しながら、ニッケル水素電池(HR-3UB)はアルカリマンガン乾電池に対して約2.6倍の枚数が撮影可能(1回の充電)で、約500回の繰り返し充放電が可能などの特徴を挙げた。同社は、1996年に市販用単3型ニッケル水素電池を発売して以来容量をアップしてきたが、10月には2300mAhといったニッケル水素電池を発売した。

ニッケル水素電池の構造。負極の組成を独自に行なうことによって容量アップを図ってきた
ニッケル水素電池の構造。負極の組成を独自に行なうことによって容量アップを図ってきた
三洋電機は1996年以来、ニッケル水素電池の容量アップを行なってきた。最近では2300mAhの製品を発売したばかり
三洋電機は1996年以来、ニッケル水素電池の容量アップを行なってきた。最近では2300mAhの製品を発売したばかり

これら従来のニッケル水素電池の原理は下図のようになっており正極(+)はニカド電池と同様水酸化ニッケルの酸化還元反応を行ない、負極(-)は水素吸蔵合金が水素原子 の出し入れを行なう。正極と負極の間には電解液としてアルカル水溶液が入っている。充電は水素が水素吸蔵合金に入っていき、逆に放電は水素が電解液に出ていくことによって行なわれる。水素吸蔵合金がいかに多くの水素を吸えるかどうかがニッケル電池の容量・性能を支配するところとなる。

ニッケル水素電池の充電・放電反応。負極(-)の水素吸蔵合金の構造がカギとなる
ニッケル水素電池の充電・放電反応。負極(-)の水素吸蔵合金の構造がカギとなる
従来の負極材料。希土類元素とニッケルによる1種類のユニットX(AB5型)で構成される
従来の負極材料。希土類元素とニッケルによる1種類のユニットX(AB5型)で構成される

したがって、水素吸蔵合金の性能をアップすることが電池の性能をアップする上で重要だ。従来はランタンなど希土類元素とニッケルが1:5の構造で集まった格子状の合金で、LaNi5(ランタンニッケル5)をベースに数種類の元素で構成されていた。同社では1990年以来この構造を利用していたという。

今回開発した超格子合金と呼ぶ結晶構造は、従来の水素吸蔵合金でとられていた構造内のユニットX(AB5型)のほかに、マグネシウムをプラスしたユニットY(AB5型)を加えたもの。実は2000年の10月に(株)東芝が超格子合金を発表しているが、2001年に東芝電池(株)から三洋電機へニッケル水素電池事業が譲渡され、三洋電機が超格子合金の実用化研究を引き継いだ。「当時は基本構造から水素吸蔵量は大きいということがわかっていたが、サイクル寿命はほとんど実際のニッケル水素電池に使えるレベルにはなかった。この基本構造をベースに三洋電機でいろいろな元素を加えていき、組成を最適化して今回の実用化にこぎつけた」と氏は経緯を説明した。

超格子合金の結晶構造。マグネシウムが加わったユニットY(AB2型)と従来のユニットX(AB5)との組み合わせが一定のパターンでならぶ

氏は「従来のAB5型の水素吸蔵合金は水素を安定し吸収し充放電の繰り返し面ではいいが、吸蔵量は限界にきている。一方Yに使っている新しくマグネシウムが入ったAB2型は水素吸蔵量が多いということは分かってが吸収放出が難しい。いったん水素が入ってしまうと、なかなか放出が難しく500回充電放電を繰り返すことが難しかった。これを、超格子に組み合わせることによって、水素吸蔵量が大きくて、しかも安定して吸放出できるようになった。これによって高性能化ができるようになった」と解説した。また、この結晶構造を採用することで低コスト化が可能になるとしている。従来の水素吸蔵合金では充電・放電の性能劣化を抑えるためにコバルトを使っていたが、今回は全体の構造そのもので微粉化現象を小さくし充放電を安定した状態で行なえるようにしたという。氏は「コバルトを大幅削減、あるいは最終的にはコバルトフリーまでできる。貴重な資源を消費しないということで低価格化が実現できると考えてろいる」と話した。

(編集部 小板謙次)


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