このページの本文へ

ZMP、携帯電話で操作可能な小型の2足歩行ロボット“nuvo”と15のカメラを持つ全方位カメラ“nuvo_sensor”を発表

2004年03月02日 22時36分更新

文● 編集部 佐久間康仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
発表会に列席したZMPの代表取締役社長の谷口氏ら
発表会に列席したZMPの代表取締役社長の谷口氏(左端)、アートディレクターの原氏、デザイナーの奥山氏、ウェアとシューズを共同開発したミズノの副社長の水野明人氏(右端)

(株)ゼットエムピー(ZMP)(※1)は2日、東京・六本木の多目的スペース“umu(ウム)”で記者説明会を開催し、携帯電話などから操作が可能な小型の2足歩行ロボット“nuvo(ぬーボー)”と、15個のCMOSカメラと24bitフルカラー表示が可能なLEDライトを搭載したネットワーク制御可能な全方位カメラ“nuvo_sensor(ぬーボーセンサー)”を開発したと発表した。nuvoは本日より受注開始し、大学や研究機関、公共施設向けに1体300万円で販売、公共性の高いイベントへの貸し出しも1日35万円で開始する予定。nuvo_sensorは店舗や学校、病院などの施設向けに今秋販売開始予定で、価格は17万円程度。なお、nuvoは現在量産化に向けた準備も進めており、年末には1体50万円程度で量産モデルの販売を予定しているという。

※1 ZMP ZMPは、文部科学省管轄の科学技術振興事業団(ERATO) 北野共生システムプロジェクトによる研究成果を技術移転し、人間と共生するロボットを開発するベンチャー企業として2001年1月30日に設立された。ヒューマノイド(人間型ロボット)『PINO』の企業・研究機関への販売およびレンタル、キャラクターのパテント(使用権利料)ビジネス、ロボット開発分野の教育などの事業を行なっている。



谷口氏 奥山氏
ZMPの谷口氏nuvoを手にしながらデザインコンセプトを説明する奥山氏
原氏 水野氏
カラーリングイメージを、レインボー(虹)、LOVE(愛)、ジャパニズム(和)の3つでデザインしたという原氏ウェアとシューズの開発に当たったミズノの代表取締役副社長の水野明人氏

nuvoは身長(全長)39cm、体重(重量)2.5kgで「アタッシュケースなどに収納して携帯可能」(代表取締役社長の谷口 恒氏)という、小型の2足歩行ロボット(ヒューマノイド)。人間の頭にあたる部分に27万画素のCMOSカメラを内蔵し、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)の第3世代携帯電話サービス“FOMA”対応端末のTV電話機能を使って、ロボットの視点での映像を遠隔地から確認できるほか、移動や腕/足の動作を電話(数字と*#キーの組み合わせ)で操作可能。足首に2ヵ所、股関節に3ヵ所、膝と肩に各1ヵ所の関節(モーターにより駆動)が左右対称に配置され、合計14ヵ所の関節が動作可能で、倒れた場合にも自律的に立ち上がることができるという。バッテリーはリチウムイオンタイプ(12V3000mAh)で、両わき腹部分に配置されており、現在の仕様では連続歩行で30分程度、通常使用では1時間程度の動作が可能。また、カメラ脇にはRGB各100階調の色表現が可能なLEDライトが装着され、表情や反応の表現が可能。(株)アドバンスト・メディアが開発した音声認識エンジン“AmiVoice(アミボイス)”を搭載し、音声による操作も行なえる(開発者向けの初代機は認識可能な語数はカスタマイズ可能で、量産品では数百から1000語程度を目指しているという)。

コンセプトデザインその1 コンセプトデザインその2 コンセプトデザインその3
開発途中のコンセプトデザイン(案)

nuvoの本体デザインは“フェラーリ エンツォ”などのカーデザインを手がけた奥山清行氏、カラーリングはグラフィックスデザイン事務所“RICE”のアートディレクターを務める原 神一氏が担当し、本体の上半身および足裏を保護するプロテクター(ロボットウェアとロボットシューズ)をスポーツウェアメーカーのミズノ(株)と共同開発。説明会に列席した、奥山氏は「研究用ではなく、家庭に入ることを考えて、ネジやワイヤーなどの“部品”を関節の中に仕込むようにした。量産するためにはコストが重要なので、モーターなどの数を必要最小限に抑えて、最終的にノートパソコン程度まで下げられるように設計した。キャラクターとしては、いわゆる“ヒーロー”然としたものではなく、長く親しまれるように人間が本能的に親しめる“丸”を基調にデザインした。当初は、デブとのっぽの2種類が漫才コンビを組むという“今いくよくるよ”のようなコンセプトも検討したが、時期尚早ということでボツにした」「スポーツウェアのミズノとの協業により、今後は水やほこりの中でも正常に動作し、スポーツや介護、レスキューなどに活躍できるロボットに必要な性能、機能を模索して共同開発を進めていく」と、将来の開発計画について語った。

シューズの開発にあたって、ダミーロボットを圧力センサーの上を動かした
シューズの開発にあたっては、ロボットの原型を実際に圧力センサーの上で歩かせ、移動時の加重分布などを調べたという

同時に発表されたnuvo_sensorは、「トンボの複眼をモチーフに、死角がなくて監視されている意識をさせないカメラを作りたかった」(谷口氏)という、遠隔操作対応の全方位カメラ。FOMAのTV電話送受信システムを組み込んでおり、内部にFOMAカードを装着することで、カメラとFOMA端末間の遠隔監視およびカメラ切り替え操作が可能。操作は専用iアプリから行ない、事前に登録した電話番号からのアクセスのみを可能にするなど、セキュリティー機能も備える。

本体は直径10cm/高さ6.5cm、重さ500gの半球形で、11万画素のCMOSカメラと脇に24bitフルカラーでの点灯が可能なLEDライトを各15個備える。こちらもデザインは奥山氏が、カラーリングは原氏が担当し、奥山氏は「お気に入りの車をしまったガレージに置いたり、ペットを飼っている部屋にセットすることで、車にいたずらされていないか、ペットが元気でいるか、などを携帯電話から気軽に確認できる」と、カーデザイナーらしい意見を述べた。

全方位カメラ“nuvo_sensor”
nuvoのカラーリングに合わせてデザインされた全方位カメラ“nuvo_sensor”。LEDライトとCMOSカメラがセットで15組配置されている。nuvoの手前にあるミニチュアは、現在開発中のnuvoデザインの防犯ブザーだという

ちなみに、nuvoの1次試作モデル(初期型)と量産型の違いについて記者から質問されると、谷口氏は「1次試作モデルは研究用として、ソフトウェア/ハードウェア開発用に各種インターフェースを備えている。また部品も削り出しなどコストのかかるものが多く使われる。量産型は、自社生産ではなくメンテナンスも含めて担当できる製造元と現在交渉を進めているところで、インターフェースやカスタマイズ可能な機能の省略によって、少しでも省コスト化、低価格化を目指す。販売目標台数は3000台で、1年から1年半かけてこの台数を売っていき、その後は定期的にモデルチェンジしたい」と、ソニーの愛玩犬型ロボットAIBO(アイボ)のような展望を話した。

会場では、FOMA携帯電話による遠隔操作や音声による操作デモが行なわれた nuvoが手を振っているところ nuvoのバックショット
FOMA携帯電話による遠隔操作や音声による操作デモnuvoが手を振っているところnuvoのバックショット。奥山氏が話したとおり、ネジやケーブル類は一切露出しないデザインになっている
nuvoのダンスやしぐさ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン