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サン、Opteron搭載のサーバーおよびワークステーションを発売――x86プラットフォームの強化プロジェクトを創設

2004年08月19日 11時48分更新

文● 編集部 内田泰仁

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サン・マイクロシステムズ(株)は18日、AMD Opteronを搭載したラックマウントサーバー『Sun Fire V40z』およびタワー型筐体のワークステーション『Sun Java Workstation W1100z』『Sun Java Workstation W2100z』の3製品を同日付けで発売すると発表した。出荷開始は8月下旬予定。この日開催された製品発表会では、3製品の概要のほか、x86プラットフォーム製品を中心とした製品戦略などに関する説明も行なわれた。

『Sun Fire V40z』

『Sun Fire V40z』は、2月に発売したOpteron 200シリーズを2基搭載可能な『Sun Fire V20z』の上位機種にあたり、CPUに2または4基のOpteron 844/848/850を搭載可能な3Uサイズのラックマウントサーバー。最大32GB(1CPUにつき8GB)のメモリーが搭載可能で、動作状態の遠隔からの制御と監視が可能な“サービスプロセッサ”を標準搭載するなどのリモート管理機能を持つ。また、モジュール化によるコスト低減や、冗長構成の電源と冷却ファンやデータ保護機能による可用性の向上が図られている。このほか、73.4~880GBの内蔵HDD(最大6台内蔵可能、Ultra320 SCSI)、7基のPCI-Xスロット、10/100/1000BASE-T対応のEthernetポートを2基を搭載する。

同社によると、暗号化/復号化の計算処理を伴うウェブサーバーとしてのシステム性能を測定する“SPECweb99_SSL”ベンチマークテストでは、AMD Opteron 850を4基搭載したシステムでは、 Xeon MP-3.0GHzを4基搭載した他社製サーバーよりも76%優れた性能を記録するなど高いパフォーマンスを持つ製品だとしており、データベースやウェブサーバーのほか、EDAや科学技術演算などの大規模メモリーが必要な計算性能指向のアプリケーションにも適した汎用サーバー製品だという。

対応OSは、Solaris 9 x86版(32bit版)、Red Hat Enterprise Linux 3(32bit版)、Red Hat Enterprise Linux 3 for AMD64(64bit版)、SUSE LINUX Enterprise Server 8 for AMD64(64bit版)、SUSE LINUX 9 Professional for AMD64(64bit版)、Microsoft Windows Server 2003, Enterprise/Standard/Web Edition(32bit版)。今年後半にリリース予定のSolaris 10 x86版(64bit版)にも対応予定。価格は101万9000円から。

なお本製品の発売と同時に、『Sun Fire V20z』に、Opteron 250を搭載した高速モデルを追加するという。

『Sun Java Workstation W2100z』。筐体デザインはW1100zも同一

『Sun Java Workstation W1100z』(以下W1100z)は、 Opteron 144/150を採用したミニタワー筐体のワークステーション。同一の筐体を採用している『Sun Java Workstation W2100z』(以下W2100z)はOpteron 244/246/248/250を最大2基搭載可能となっている。いずれも、ソフトウェア開発、 EDA 、機械系CAE(MCAE)、機械系CAD、デジタルコンテンツ制作などの用途に向けた製品と位置付けられている。

メモリーはPC3200のDDR SDRAM(ECC DIMM)に対応し、搭載可能容量はW1100zが最大4GB(近日中のバージョンアップにより8GBまで対応予定)、W2100zが最大8GB(同じく16GBまで対応予定)、内蔵HDDは、W1100zが80~160GB(Ultra ATA/100接続、7200回転/分)、W2100zが73.4~146.8GB(Ultra320 SCSI接続、1万回転/分)。購入時に選択可能なビデオカードは

  • 2Dグラフィックス向き『NVIDIA Quadro NV S280』搭載カード
  • 3Dグラフィックス向きエントリークラス『NVIDIA Quadro FX 500』搭載カード
  • 3Dグラフィックス向きミドルレンジ『NVIDIA Quadro FX 1100』搭載カード
  • ハイエンド3Dグラフィックス向き製品『NVIDIA Quadro FX 3000』搭載カード

の4種類が用意され、W1100zでは1と2、W2100zでは1と4が標準搭載、残りがオプション扱いとなる。このほかのスペックは、光ディスクドライブがCD-R/RW&DVD-ROMコンボドライブ(オプションでDVD±R/RWドライブも選択可能)、インターフェース類は10/100/1000BASE-T対応Ethernetポート×1、USB 2.0ポート×5、IEEE 1394ポート×2、シリアルポート、パラレルポート、PCI-Xスロット×5、AGPスロット×1、オーディオ入出力。

対応PSは、Solaris 9 x86版(32bit版)、Red Hat Enterprise Linux 3 WS(32bit版)、Red Hat Enterprise Linux 3 WS for AMD64(64bit版)、Windows XP Professional。今年後半にリリース予定のSolaris 10 x86版(64bit版)にも対応予定。また今後、Linuxベースの統合デスクトップ環境“Sun Java Desktop System”搭載モデルも提供予定だとしている。価格は、W1100zが26万3000円から、W2100zが62万円から。

なお本製品以降、同社のワークステーション製品のブランド名は、SPARC搭載製品が“Sun Blade”、Opteron搭載製品は“Sun Java Workstation”になるという。

常務取締役営業統括本部本部長の末次朝彦氏同社の戦略の3本柱とそれを支える取り組み、提携関係

この日行なわれた発表会では、同社常務取締役で営業統括本部本部長の末次朝彦氏が戦略に関する説明を行なった。これによると、同社は

  • コスト削減と複雑さの排除
  • ネットワークサービスの迅速な展開
  • 機密性を確保した機動性の実現

の3つを戦略の柱とし、投資の保護やオープン化、相互運用性や互換性の向上、セキュリティーの強化、デスクトップの生産性向上、サービス指向アーキテクチャーの確立、RFIDの開発などの各目的に向け、マイクロソフトやAMD、インテルなどとの戦略的提携による投資の効率化とそれに伴う自社製品開発の強化などを進めていくとしている。

x86プラットフォーム製品拡大に向けたこれまでの取り組みの流れ
また、今後RFIDなどの普及により、ネットワークに接続されるデバイスの数が1兆を超えると見られていることから、非常に大量のネットワークに接続されたデバイスの情報を大量に処理できる製品の投入が急務だとしており、同時に複数/大量のデータを処理するプラットフォームにはSPARC、単体の計算処理を高速に処理するプラットフォームにはOpteron、という製品ラインナップ構成を取り、より進化の方向性をはっきりさせた形での次世代SPARCの開発に取り組んでいくという。なお、同氏は「一部の報道で、サンはハードウェアやチップの開発を止め、ソフトウェアに特化した製品開発を行なっていくのではないか、とするものもあるが、今後もハードウェアの開発は従来どおり継続していく」と述べている。



SolarisとLinuxのTCO比較x86版Solarisの導入/運用例導入の目安となるSolarisおよびLinuxの特徴

一方、Solarisの展開については、エンタープライズ市場での20年以上にわたる実績、互換性を維持して当市を保護する費用対効果の高さ、WindowsやLinuxといった競合OSを下回るTCOを実現するコストパフォーマンスを強調。金融サービス、テレコム、エンターテインメント、研究開発など、多数の分野にx86版のSolarisが導入されているとして、ハードウェアおよびソフトウェアのx86プラットフォーム製品の強化を今後も継続するとしてる。また、顧客のシステム導入時におけるSolarisまたはLinuxの選択についての同社の基本姿勢としては、「商用Linuxアプリケーションを使う必要があるという場合にはLinuxのシステムを、そうでなければSolarisをお勧めする」という。この理由としては、

  • Linuxは水平方向のスケーラビリティーに優れているのに対し、Solarisは水平だけでなく垂直方向へのスケーラビリティーも考慮されている
  • Linuxはコミュニティーによるバージョンアップが基本となるため予定の見通しが付きにくいが、Solarisは同社が計画的にバージョンアップを行なう
  • Solarisはサポートやセキュリティー、信頼性について同社が責任を持って対応している

といった点を挙げている。

執行役員・デスクトップ&モビリティ・ソリューション本部長の植松裕次氏同社のx86プラットフォームのハードウェア製品群

また、同社執行役員でデスクトップ&モビリティ・ソリューション本部長の植松裕次氏は、製品の概要に加えて、末次氏も一層の強化方針を挙げたx86プラットフォーム製品の今後の展開に関連し、同社に新設された“x86推進プロジェクト”の説明を行なった。

同プロジェクトは、営業/SE/PS/サービス/マーケティング/開発の各部門にx86製品先任者を配置、さらに案件の立案/推進/管理などを組織的に統合する“水平・垂直統合プロジェクト”と、パートナーや顧客、開発者向け、および開発/移行/導入向けの“推進プログラム”からなる。ローコスト・コンピューティング環境におけるSolaris/Linux混在環境(水平拡張が求められるサーバー分野や演算性能が求められるエンジニアリング分野)実現要求の高まりと、Solarisが得意とする信頼性/安定性/高セキュリティーが求められるエンタープライズ環境の構築を背景に創設され、EDAやサービスプロバイダー、通信、金融、MCAD/MCAE、教育/研究機関などの市場に向けて、x86ハードウェアや対応するOS、アプリケーションなどを提供していくことが目的だという。

同氏はこの日の発表会で、推進プログラムの一環である個人開発者向けプログラムを紹介。このプログラムでは、同社のオンラインストアで個人開発者を対象として、Solaris x86アプリケーション開発用パッケージを9月中旬から年内一杯まで販売するという。販売されるパッケージは、W1100z一式とSolaris 9のセット(19万9500円)と、これに『Sun Studio 9』を追加したもの(30万4500円)の2種類。

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