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NVIDIA、“GeForce 6800”の普及版“GeForce 6600”の説明会を開催――1.87倍の性能を発揮する“SLI”もデモ!!

2004年08月23日 23時25分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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エヌビディアのPCビジネス シニアマネージャの東 正次氏が手にする『GeForce 6600 GT』搭載カード
エヌビディアのPCビジネス シニアマネージャの東 正次氏が手にする『GeForce 6600 GT』搭載カード。中指のところにある切り欠きがSLI用端子

米エヌビディア(NVIDIA)社は23日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルにプレス関係者およびハードウェアレビュアーなどを集めて、今月12日に米国で発表した普及タイプの2D/3Dグラフィックスアクセラレーターチップ『GeForce 6600 GT』『同 6600』の説明会を開催した。GeForce 6600シリーズは、今年4月に発表したパソコン向け2D/3Dグラフィックスアクセラレーターチップのハイエンドモデル“GeForce 6800シリーズ(GeForce 6800 Ultra/同 6800 GT/同 6800)”の廉価版。9月下旬に出荷を予定しており、搭載グラフィックスアクセラレーターカードの予想実売価格は、グラフィックスメモリー128MB搭載のGeForce 6600 GTで199ドル程度(約2万2000円弱)になるとみられる。



壇上に登場した説明会出席者の面々
壇上に登場した説明会出席者の面々

説明会にはデスクトップGPUプロダクトマネージャのジェイソン・ポール(Jason Paul)氏、アジア・パシフィック テクニカルマーケティングマネージャのオング・ツェー・リン(Ong Tze Lin)氏、エヌビディア(株)のPCビジネス シニアマネージャの東 正次(ひがしまさし)氏らが出席。新チップの概要説明や、GeForce 6800 Ultra/6800 GTおよび6600 GTがサポートする、2枚の同一グラフィックスアクセラレーターカードを並列動作させることで高速処理を実現する“SLI(Scalable Link Interface)”のデモンストレーションを行なった。

デスクトップGPUプロダクトマネージャのジェイソン・ポール氏
デスクトップGPUプロダクトマネージャのジェイソン・ポール氏。GeForce 6600シリーズおよびGeForce FX 5700のグラフィックスプロセッサー製品を担当

GeForce 6600 GT/同 6600は、開発コードネーム“NV43”と呼ばれるグラフィックスアクセラレーターチップで、GeForce 6800シリーズ(NV40)と比べて内部アーキテクチャーを簡略化したほか、コアクロック/メモリークロックなどを低く抑えることで低価格化、外部電源供給の省略、ならびに1スロット幅での装着を実現したもの(従来はPCI Express x16スロットに隣接するスロット部分に大型空冷ファンがはみ出していた)。また、内部設計を改良して、従来はAGP(ネイティブインターフェース)⇒PCI Express(ブリッジチップ)とインターフェースを変換してPCI Expressに対応していたが、PCI Expressにネイティブ対応となった(ブリッジチップは不要)。GeForce 6800シリーズからの主な変更点は以下のとおり。

  • 内部アーキテクチャーを簡略化し、グラフィックス処理用パイプラインを16(6800 Ultra/GTの場合、6800は12)を8に削減
  • メモリーインターフェースを256bitバスから128bitバスに変更
  • コアクロックを600MHzから500MHz(6600 GTの場合、6600は350MHz)に変更
  • メモリークロックを550MHz(DDR3メモリー対応で1100MHz相当)から500MHz(6600GTの場合、DDR3対応で1000MHz相当)もしくは275MHz(6600の場合、DDR対応で550MHz相当)に変更

これまでのNVIDIA製2D/3Dグラフィックスアクセラレーターの製品と、その3D画像表示能力を端的に表すキャラクターたち GeForce 6600 GT(左)および同 6600(右)を搭載したグラフィックスカード
これまでのNVIDIA製2D/3Dグラフィックスアクセラレーターの製品と、その3D画像表示能力を端的に表すキャラクターたちGeForce 6600 GT(左)および同 6600(右)を搭載したグラフィックスカード。従来にくらべてはるかに小型のヒートシンク&ファンのみで動作し、さらに外部電源供給を必要としない点にも注目

画像表現に関わる部分、DirectX 9(Direct3D 9.0)に実装された高精細なピクセルシェーダー“Shader Model 3.0”はフルサポートしており、GeForce 6800シリーズと同様のリアルな3D CG表示が可能と説明。また、GeForce 6800シリーズに搭載されたビデオアクセラレーション機能についても、同様の機能を実現するという。具体的には、MPEG-1/-2/-4およびWindows Media Video形式のハードウェアエンコードをサポートするほか、エンコードと並行してビデオデコード機能を利用可能で、録画しながらの再生や“タイムシフト視聴”などが可能。また、動きの激しいシーンで目立つブロックノイズを極力低減するという“モーション・エスティメーション機能”を搭載するという。

GeForce 6600 GTのサンプルカードを使ってDOOM 3を動作させたところ GeForce 6800シリーズから新たに実現可能となったリアルタイムシャドー生成機能“NVIDIA UltraShadow II”にも対応
GeForce 6600 GTのサンプルカードを使ってDOOM 3を動作させたところGeForce 6800シリーズから新たに実現可能となったリアルタイムシャドー生成機能“NVIDIA UltraShadow II”にも対応
“モーション・エスティメーション機能”なしの場合 “モーション・エスティメーション機能”を効かせた場合
MPEG圧縮の動画によく見られるブロックノイズを極力低減するという“モーション・エスティメーション機能”のデモ。こちらはなしの場合“モーション・エスティメーション機能”を効かせた場合。丸の中を見比べると差は歴然!

パフォーマンスについてポール氏は、「現在チップ/ドライバーともに開発途中だが、米id Software社の最新3Dアクションシューティングゲーム『DOOM 3』を使った同社のテストでは、GeForce FX 5700やカナダATIテクノロジーズ社の『ATI RADEON X600 XT』を使った場合と比べて2.5~3.5倍のパフォーマンスを発揮する」と説明した。

DOOM 3を使ったパフォーマンステストの結果。右端の黒っぽいバーがGeForce 6600 GTの結果
DOOM 3を使ったパフォーマンステストの結果。右端の黒っぽいバーがGeForce 6600 GTの結果

アジア・パシフィック テクニカルマーケティングマネージャのオング・ツェー・リン氏
アジア・パシフィック テクニカルマーケティングマネージャのオング・ツェー・リン氏

続いて、リン氏がGeForce 6600 GTおよびGeForce 6800 Ultra/同 6800 GTがサポートするSLIについても、詳細な説明とデモンストレーションを行なった(デモでは、GeForce 6800 Ultra搭載カード2枚と米SuperMicro社製Dual CPU対応マザーボードを使用)。

リン氏はまず、NVIDIAが2000年に買収した米3dfx社が『Voodoo 2』で実現していたSLI(Scan Line Interleave)と、今回のSLI(Scalable Link Interface)が異なる方式であることを強調した。Voodoo 2カードを2枚利用する3dfxのSLIは、PCIバスを利用して、画面表示の奇数ライン/偶数ラインの映像を交互にアナログ出力し、合成して表示していた。これは、PCIバスが各スロットで帯域を共用するため、ほかのデバイスの影響を受けること、さらにアナログ合成の限界から色味のずれによる縞模様が現われる場合があったことなど、デメリットがあることを説明した。



GeForce 6600/6800シリーズのコアに標準搭載されたマルチIOユニットを図示したもの GeForce 6800 Ultraを2枚、2つのPCI Express x16スロットに装着して、SLI環境を実現したところ
GeForce 6600/6800シリーズのコアに標準搭載されたマルチIOユニットを図示したものGeForce 6800 Ultraを2枚、2つのPCI Express x16スロットに装着して、SLI環境を実現したところ。GeForce 6600 GTでは手前に見える外部電源供給のためのケーブルも不要になる

これに対してGeForce 6600 GTやGeFore 6800 Ultra/同 6800 GTのSLIは、2つのグラフィックスチップの処理性能のバランスをとりながら並列演算して、最終的に1枚の画像としてアナログ出力する。2枚のGeForce 6x00カードは専用コネクターで接続し、“インターGPU通信プロトコル”による高速データ通信を行なうという(転送速度などの詳細は未公表)。ただし、まったく同じメーカー/搭載GPU/搭載メモリーの2枚のGeForce 6x00カードが必要で、上記以外のグラフィックスチップ(GeForce 6600もしくはGeForce 6800)を使ったカードは専用コネクターを持たないため、SLIは利用できない。

GeForce 6800 UltraによるSLI環境で、米Futuremark社のベンチマークプログラム“3Dmark03”を実行している画面 左側のゲージは、2枚のGeForce 6800 Ultraカードの処理中のデータ量をリアルタイムに表示しているところ
GeForce 6800 UltraによるSLI環境で、米Futuremark社のベンチマークプログラム『3Dmark03』を実行している画面左側のゲージは、2枚のGeForce 6800 Ultraカードの処理中のデータ量をリアルタイムに表示しているところ。画面によっては片方の処理が重くなるため、バランスをとって処理を分散するように機能し、ゲージが中央に戻るように動くのがわかる

SLIを利用するには2つのPCI Express x16スロットが必要だが、デモンストレーションに使われたSuperMicro製マザーボードは、一方がPCI Express x4スロット(4レーンのみ動作可能)になっている(スロット形状はPCI Express x16と同一)。リン氏によると、SLIの動作にはPCI Express x16用グラフィックスカードを装着できる2つのスロットが必要だが、インターフェースとしては一方がPCI Express x4もしくは同 x8でも十分動作可能という。ただし、現在はこうしたマザーボードが高価なサーバー向け製品しかなく、NVIDIAではマザーボードベンダーに働きかけて、より安価なSLI対応マザーボードの開発/出荷を促したい、としている。


SLIをごく簡単に示したの模式図
SLIをごく簡単に示したの模式図。PCIスロットのような全体の帯域をシェアするバスアーキテクチャーではなく、1つずつのスロットが独立した帯域を持つPCI Expressだからこそ、こうした機能を実現できたという

一通りの説明が終わった後のQ&Aセッションでは、特にSLIに関する質問が活発に行なわれた。まず「SLIを行なう条件は?」という質問には、「同一のカード2枚でなくてはならず、GeForce 6800 Ultraと同 6800 GT、同 6600 GTといった組み合わせでは動作しない」と改めて説明。「GeForce 6600 GTを2枚使ったSLIでは同 6800シリーズのどの製品に匹敵するのか?」、という質問に対しては「現在ドライバーもカードも開発中なので、製品版が出た際にはぜひレビュアーの皆さんにそのあたりを評価してもらいたい」とするりとかわした。また、「2枚のカード(2本のPCI Express x16スロット)を必要とするのは敷居が高すぎるのではないか。1枚のPCI Express x16カードで実現(2組のGeForce 6x00チップとメモリーを1枚に搭載)できないのか?」という質問には、「過去に他社から同様のソリューションが出ていたし(編集部注:ATIテクノロジーズが『ATI RAGE FURY MAXX』という2チップ構成のグラフィックスカードを発売したことがある)、NVIDIAとしては今回発表しないが、カードベンダーが開発する可能性はあるだろう。チップの機能としては不可能ではない」と意味深な発言を行なった。

一方、GeForce 6800シリーズの目玉機能のひとつとして期待を集めていたビデオアクセラレーション機能についても、厳しい質問が飛んだ。「GeForce 6600シリーズにも、GeForce 6800と同じくビデオアクセラレーション機能が搭載されているというが、いくら試してもGeForce 6800シリーズではビデオアクセラレーション機能を確認できなかった(ビデオエンコードなどのパフォーマンスが上がらない)。これはいつ“アベイラブル”(利用可能)になるのか?」という質問に対し、ポール氏は苦笑いしながら、「(現在開発中の)最新ドライバー“ForceWare Release 65”で、ビデオアクセラレーション機能は利用可能になる。このドライバーはGeForce 6600シリーズと同時に公開予定だ」とスケジュールを明らかにした。



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