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ソニー、1080iでのハイビジョン撮影が可能なHDVカメラ『HDR-FX1』を発表


2004年9月9日

ソニーマーケティング(株)は7日、1080iでのハイビジョン記録が可能なデジタルビデオカメラ『HDR-FX1』を発売すると発表した。同機は“デジタルハイディフィニション(HD)”映像を“DV規格”対応のカセットテープに記録する“HDV(エイチディーブイ)規格”を採用しているのが特徴。出荷は10月15日を予定しており、価格はオープンプライス。市場予想価格は40万円前後。


今回発表された1080i対応のHDV対応カメラ『HDR-FX1』

HDV規格は、2003年にキヤノン(株)、シャープ(株)、ソニー(株)、日本ビクター(株)の4社で策定した民生用デジタルビデオカセットレコーダーの規格である“DV規格”をベースとしており、MPEG-2で圧縮されたHD信号のデータ記録仕様をHD VCR規格にしたもの。“DV規格”と同じカセットやテープスピード、トラックピッチを採用しているため、ドラムやカセットコンパートメントなどの主要メカニズムは、DV規格のものをそのまま利用できる。従来のDVカメラが採用している640iの“スタンダードディフィニション(SD)方式”と比較すると、約4倍の情報量で記録できるのが特徴。

『HDR-FX1』は、RGB各色専用のCCDをそれぞれ1基ずつ搭載する“3CCDシステム”を採用。CCDのサイズは、1/3インチ・有効画素107万画素(総画素112万)。アスペクト比16:9のワイドサイズで動画を撮影可能で、記録モードは“HDVモード(180i)”と“DV(480i)モード”の2つに対応。また、HDVモードで撮影した映像をハイビジョン対応していないテレビで再生させるためのダウンコンバート機能“高性能ダウンコンバート”も搭載。16:9のHDVモードで撮影した映像を、16:9または4:3のSDモードで出力できるため、従来のSDに対応した編集システムを使っての動画編集も可能だ。

3CCDシステムで採用されている1/3インチ・有効画素107万画素(総画素112万)のCCD。アスペクト比16:9のワイドサイズで撮影可能
3CCDのモジュール部分。内部にプリズムが内蔵されており、光をRBに分けて受光する

レンズは、独カール ツァイス社とのコラボレーションで開発したフィルター径72mmの『バリオ・ゾナーT*(ティースター)』を採用。色収差の低減化を図り、周辺解像度を高めたという。焦点距離は4.5〜54.0mm(35mm換算で32.5〜390mm)、明るさはF1.6〜2.8の光学12倍レンズを搭載。4段階で調整する“光学式・アクティブレンズ方式手ブレ補正”を内蔵する。ズーム操作は、ズームリングを使用したマニュアルズームを採用しており、ローアングル撮影のためのハンドルズームレバーも取り付けられている。

映像処理のためのエンジン“HDコーデックエンジン”を新たに開発。通常の4倍になるHDVの映像を処理するため、同社のセミコンダクタソリューションズカンパニーとデジタルイメージングカンパニーが共同開発した。ノイズリダクションや各種信号処理を行なう『ベースバンドシグナルプロセッサ』、ハイビジョン映像をMPEG-2に圧縮/伸張(MP@HLエンコード)を行なう『HD-MPEG ビデオエンコーダ』と『HD-MPEG ビデオデコーダ』、HDVに必要な記録・再生時のエラー訂正信号などを付加させる『HDV ストリームプロセッサ』など、4つのLSIが搭載されている。このLSIは最先端の半導体設備技術を用いて開発されており、『HD-MPEG エンコーダ』はプロセスルール130nm、ゲート数150万ゲート、消費電力200mWとなっている。

本体左側面に配置された液晶ディスプレーは16:9表示が可能な3.5インチのものを採用。撮影時にピントの山が確認できるように、画面の中央を2倍に拡大して表示する“拡大フォーカス”機能や、被写体の輪郭を強調して表示する“ピーキング”機能も搭載する。


3.5インチの液晶ディスプレーは16:9のアスペクト比となっている

撮影機能では、シーンの切り替えの際の映像効果“ショットトランジション”をセット可能。フォーカス、ズーム、アイリス、ゲイン、シヤッタースピード、ホワイトバランスなどの効果を撮影時に自動的に挿入できる。また、色の濃さやシャープネス、肌の質感、オートホワイトバランスなど、好みの画質を6つまでプリセットできる“ピクチャープロファイル”機能も搭載しており、天候や撮影場所に合わせてすばやく設定を変更できるのも特徴。映像効果では、フィルムのような色調で撮影できる“シネマトーンガンマ”機能や、映画やCMの撮影コマ数である毎秒24/30フレームで撮影できる“シネマフレーム”機能も備える。

入出力端子は、IEEE 1394(4ピン)/コンポーネント出力(D1/D3対応、特殊D端子)/AVミニジャック(特殊ステレオミニジャック)/S端子などを装備。本体サイズと重量は、幅151×奥行き365×高さ181mm、約2.1kg(NP-F570バッテリー装着時)。バッテリーは同梱されておらず、別途、バッテリーアダプター/チャージャー『AC-VQ850』とリチウムイオンバッテリー『NP-F970』をセットにしたアクセサリーキット『ACCKIT-D10』(価格3万2550円、本体と同日発売)を購入しなければならない。駆動時間は、NP-F970使用時にHDVモードで最大6時間25分、DVモードで6時間50分となっている。


サイズは、現在販売されているDVカメラと比べると、かなり大きい

編集ソフトは、同社のノートパソコン“VAIO”に搭載されている『DVgate Plus』が対応予定。またサードパーティーでは、米アドビシステムズ社の『Adobe Premiere Pro 1.5』が年内に、台湾のユーリードシステムズ社の『MediaStudio Pro 7』が10月末に、それぞれプラグインを提供する予定。また、同日に発表された米ピナクルシステムズ社の『Liquid Edition 6』がHDVに対応したのをはじめ、(株)カノープスはハイビジョン編集システム『HDWS-1000』『SDWS-1000』の1080i対応のアップグレードを11月上旬に開始する。米アップルコンピュータ社もアナウンスを出しており、『Final Cut Pro』や『Final Cut Express』がサポートする予定だ。

HDV対応カメラで新たな市場を開拓

都内のホテルで行なわれた発表会では、ソニーのIT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーデジタルイメージングカンパニープレジデント業務執行役員の根本 章二氏がデジタルビデオカメラの市場について言及した。まず、ビデオカメラ市場は中国、ロシア、インドなどの新興市場が成立したことにより、毎年6〜10数%の堅実な成長を見せているとし、2003年は1650万台、2004年の1750万台に達すると説明。地域別には日本が約11%、北米約36%、欧州約32%、その他の地域が約21%と、その内訳を解説した。同社の国内市場でシェアは40%に達しているとし、今回HDVカメラを投入すいたことにより、よりシェアをとっていきたいと意気込みを語った。

今回、HDVカメラを市場に投入した理由については、世界各国でハイビジョン放送が開始されたためと説明。特にアメリカ、日本、欧州というビデオカメラのシェアで約8割を占める地域での販売展開を強調した。

ソニーIT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーデジタルイメージングカンパニープレジデント業務執行役員根本章二氏。世界のビデオカメラ市場について説明した
ロシア、中国、インドなどの市場が成長しているため、年々出荷量は多くなっている
ビデオカメラの市場は、北米と欧州だけで約7割を占める
ハイビジョン放送が始まった国々の例。欧州では統一した規格で放送が開始された

国内での販売展開については、ソニーマーケティングの執行役員である鹿野 清氏が解説した。氏によれば、長期に横ばい、または下降傾向にあったビデオカメラ市場が、2002年を境にして上昇に転じ、今年は180万台ほど出荷されるという。これは団塊世代ジュニアがちょうど家庭を持つ時期になったためと説明。また団塊の世代がリタイアし、ビデオカメラの買い替えが重なっていることも原因だという。今後の同社の展開としては、DV、DVD、HDVカメラの3本柱で事業展開したいとし、とくに今回投入したHDVカメラはハイエンド向けの製品だが、「ソニーは5年ごとに8ミリ、Hi8、DVと新しい規格を広めてきた。5年後にはコンシューマーまで広げていきたい」とアピールした。

ソニーマーケティング執行役員鹿野清氏。日本でビデオカメラ市場が伸びてきた理由を解説
2002年から需要が伸びてきた。今年は180万台の出荷と予測
各ビデオカメラ方式の位置づけ。最近人気のDVDカメラはシェアが10〜15%程度と、急速に伸びているとのこと

質疑応答では、記者席から、すでに日本ビクターから発売されているハイビジョン対応DVカメラ『GR-HD1』が採用している750pで記録できない理由を問われた。これに対してソニーIT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーデジタルイメージングカンパニーパーソナルビデオ事業部長今村雅志氏は、「最高の画質ということを考えると1080iがベスト。同機では750pで記録した映像も再生できる。互換を保ちつつ最高の画質を実現する」と説明した。また、ハイエンド向けの製品としてHDDを搭載した製品の投入は考えていないのかとの質問には、高画質で安価に提供するにはテープメディアがいちばん適切とし、過去の資産との互換性を考えて、miniDVを採用したと説明した。


ソニーIT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーデジタルイメージングカンパニーパーソナルビデオ事業部長今村雅志氏。既存の多くのDVカメラと同じminiDVカセットを選択したのは、互換性を重視したためという

(編集部 美和正臣)


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