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日立、ブレード型クライアント『FLORA bd100』など“セキュアクライアントソリューション”の新ラインナップを発表

2005年05月23日 23時51分更新

文● 編集部 内田泰仁

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(株)日立製作所は23日、情報漏えいに対する抜本的な対策を実現するという“セキュアクライアントソリューション”の新ラインナップとして、クライアントパソコンの機能をブレード型のハードウェア“クライアントブレード”に集約した『FLORA bd100』と、“クライアントブレード”を利用した“セキュアクライアントソリューション”の新構成“ポイント・ブレード型”などを発表した。『FLORA bd100』と“ポイント・ブレード型”による“セキュアクライアントソリューション”の提供開始時期はいずれも6月3日。

従来製品(2月発表)による利用イメージと構成従来製品のクライアント端末『FLORA Se210』

“セキュアクライアントソリューション”は、データセンターなどに設置されたサーバー上の仮想マシンやオフィス自席などのパソコンに、HDDを持たないクライアント端末でアクセスしてクライアント環境として利用するリモートアクセスシステム。フラッシュメモリーカードにセキュリティー機能を実装する“Mc-EX(モバイルコマース拡張)規格”に則ったICカード“KeyMobile”による認証や、クライアント端末にHDDを搭載しないことにより、高いセキュリティーを確保できることが特徴。2005年2月に第1弾ラインナップとして、携帯性を重視したノート型クライアント端末『FLORA Se210』と、サーバー上の仮想マシンにアクセスする“ポイント型”および自席パソコンにアクセスする“ポイント・ポイント型”の2構成を発表し、製品の提供を行なっている。

新ソリューションの“ポイント・ブレード型”構成の利用モデル新製品の概要を説明した情報・通信グループ プラットフォームソリューション事業部長の松縄正人氏

今回発表された“ポイント・ブレード型”構成は、データセンターなどに設置した“クライアントブレード”『FLORA bd100』に各個人が持つクライアント端末でリモートアクセスし、クライアント環境として利用するというもの。サーバー上の仮想マシンにアクセスする“センター型”と異なり、1ユーザーに対して1台(枚)の“クライアントブレード”が割り振られるため、サーバーのリソースを複数ユーザーで共有することがなく、“センター型”構成や一般的なシンクライアントでは制限されるケースが多いクライアントユーザーによるアプリケーション導入や設定の変更も可能となっている。

『FLORA bd100』のベースユニット(左側のラック)とクライアントブレード(右)クライアントブレード。ブレード上には、CPU、HDD、メモリーなど、一般的なクライアントパソコンを構成するパーツの大部分が搭載されている

“クライアントブレード”は、1枚のブレードに、CPU(Celeron M-1.40GHz)、メモリー(512MB)、HDD(40GB、Ultra ATA/100接続の2.5インチタイプ)、OS(Windows XP Professional Blade PC Edition)などを搭載する、一般的なパソコンに近い構造。これを1ユニットあたり最大14枚の“クライアントブレード”を搭載できるベースユニット(3Uサイズラック、幅426×奥行き702×高さ128.8mm/シャーシ重量17.4kg)に収容して設置する。

価格は、“クライアントブレード”が13万5975円、ベースユニットが21万円。クライアント端末と『FLORA bd100』で構成される“ポイント・ブレード型”ソリューションの概算価格は、100ユーザーで約3300万円から(税別。その他のハードウェア/ソフトウェア/ライセンス費用やネットワーク敷設/サポートなどは別途)。なお、同じく100ユーザー規模の“ポイント・ポイント型”ソリューションは約1800万円(税別)、“センター型”では約3300万円(税別)。

『FOLRA Se270』『FOLRA Se310』

また今回の発表では、クライアント端末“セキュリティPC”のラインナップ追加が発表されている。新端末は、A4サイズノート『FOLRA Se270』と、液晶一体型デスクトップ『FLORA Se310』の2機種。いずれもHDDを持たない端末で、OSとしてWindows XP Embeddedを搭載する。主なスペックは以下のとおり。

FLORA Se310
CPU:Celeron D-2.40GHz、メモリー:256MB、ディスプレー:15インチ/XGA表示または17インチSXGA表示のカラーTFT液晶ディスプレー、本体サイズ:幅386×奥行き218×高さ401mm/約10kg(15インチ液晶ディスプレーモデル)/幅394×奥行き218×高さ431mm/約11kg(17インチ液晶ディスプレーモデル)
FLORA Se270
CPU:Celeron M-1.40GHz、メモリー:256MB、ディスプレー:15インチ/XGA表示カラーTFT液晶ディスプレー、本体サイズ:幅332×奥行き294×高さ38.6mm/約3.3kg

価格と提供時期は、FLORA Se310が13万200円で7月15日、FLORA Se270が13万5450円で8月9日。なお、価格には、認証装置の“KeyMobile”と通信制御用ソフトウェアは含まれない。

『FLORA bd100』の概要“セキュリティPC”のラインナップと今後投入予定の製品同社では今後、“セキュアクライアントソリューション”のアウトソーシング展開も行なっていくという

同社では今後、スリム筐体を採用したセパレートタイプのデスクトップ型クライアント端末『FLORA Se330』(2005年度第3四半期予定)や、指静脈認証装置(USBタイプは7月15日提供開始、『FLORA Se210』に内蔵するタイプは2005年度第3四半期に投入予定)、IP電話(USBタイプの通話端末、7月15日提供開始予定)などの端末/周辺機器を、“セキュアクライアントソリューション”関連製品として提供していく予定だという。

執行役員副社長 情報・通信グループ長&CEOの古川一夫氏現代社会が抱えるさまざまな“脅威”同社における情報セキュリティー事業の取り組み

この日行なわれた記者発表会では、新製品の発表に加え、同社のセキュリティーに対する取り組みや、同社および日立グループのセキュリティー対策についての説明も行なわれた。発表会の冒頭に登壇した執行役員副社長で情報・通信グループ長&CEO(最高経営責任者)の古川一夫氏は、同社の全般的なセキュリティー対する取り組みを説明。この中で同氏は、電気/ガス/水道から、都市/交通/情報通信にいたるまでの幅広い社会インフラを支える事業を展開してきた同社の姿勢として、「技術やノウハウを駆使してあらゆるシーンで“安心”を広げていく」と述べ、同社全体の取り組みとして、ビジネスの情報、毎日の暮らし、社会の安全を守るための取り組みを行なっているとした。さらに、これらのセキュリティー事業における同社の“強み”として、

  • 先行研究開発の取り組み
  • グループ総力での製品/ソリューション提供
  • 先行ユーザーとしての市場開拓

の3点を挙げている。また、社内展開を行なっている“セキュアクライアントソリューション”を実際に利用していての感想についても触れ、海外出張に持って行った際の使用感について「アクセスなどでストレスがあるかと思っていたが、そのようなことはなく非常に快適に使える」として、「自信を持ってお勧めできる製品」だと述べた。

情報・通信グループ 情報システム本部長の中島史也氏同社における“セキュアクライアントソリューション”の利用イメージ同社が整備を進めるセキュアーなユビキタス環境の構造イメージ

続いて登壇した情報・通信グループ 情報システム本部長の中島史也氏は、同社における“セキュアーなクライアント環境”の展開について、その事例を紹介した。日立グループは世界的に見ても有数の巨大企業であり、2007年度までの展開台数は、“セキュリティPC”(クライアント端末)と“クライアントブレード”が各2万6000台に及ぶという。

中嶋氏によると、情報セキュリティーの強化を進める同社では、より強固なセキュリティー対策の方向性として「情報を操作する場所に情報がない」という状態の実現と導入を目指したといい、その過程で、媒体(紙やリムーバブルなディスクメディアなど)の削減/廃止、情報の拠点集約化が進み、さらには“セキュアクライアントソリューション”のようなクライアント環境の集約化に至ったとしている。さらに、2月に発表した“セキュアクライアントソリューション”の第1フェーズの社内展開の結果、ワイヤレス通信やインターネット経由での接続時のレスポンス性能や再接続機能の高速化など、多くのフィードバックが得られたといい、これらの改善要望は、今回の製品発表の中に多数盛り込まれているという。

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