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松下電器産業、記録メディアにSDメモリーカードを使用するビデオカメラを発表──DVカム登場後10周年の節目になる製品

2005年09月15日 20時43分更新

文● 編集部 小林久

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松下電器産業(株)は15日、SDメモリーカードに動画を記録するデジタルビデオカメラ『SDカードムービー SDR-S100』と『同SDR-S300』を発表した。価格はオープンプライス。予想実売価格はSDR-S100が13万円前後。アクセサリーキットが付属するSDR-S300が16万5000円前後。発売はSDR-S100が先行して10月15日。SDR-S300が11月15日。

SDR-S100とS300
SDR-S100(左)とSDR-S300(右)

また、容量2GBで毎秒最大5MBの転送が可能なSDメモリーカード『RP-SDQ02GJ1A』も発表された。価格はオープンプライスで想定実売価格は2万5000円前後。発売は10月15日。この製品はSDR-S100とSDR-S300に同梱される。



保存に耐えうる高画質をSDメモリーカードに記録

今回発表された2製品の基本仕様は同等。本体色はSDR-S100がシルバー、SDR-S300がブラックとなる。付属品が異なり、SDR-S100はSDメモリーカードとバッテリーパックなど。SDR-S300はこれに加え、カーアダプターやバッテリーチャージャー、キャリングケースといった追加のアクセサリーが付属する。

SDR-S100 SDR-S100とカード
SDR-S100と新発売となった2GBのSDメモリーカード

SDメモリーカードを記録媒体にするビデオカメラとしては“D-Snap”シリーズがあるが、D-Snapがメモ用途などで気軽に撮れる点を重視しているのに対し、SDR-S100とS300は保存に耐えうる高画質な動画を記録できる点を主眼に開発した。画質面ではDVカムの『NV-GS250』がベースとなっており、3つの撮像素子を利用する“3CCDカメラシステム”の採用や“光学式手ぶれ補正機能ジャイロ”、“第二世代クリスタルエンジン”の搭載など、ワンランク上を目指した設計となっている。

松下電器産業ではSDメモリーカードを採用する利点として、テープローディングやDVDドライブなどが必要ない“メカレス”設計のため衝撃や粉塵に強く、頭出しも容易であること、撮影した動画をDIGAでカンタンに記録型DVDに記録できる点などをアピールしている。

こだわり こだわり
製品の特徴を示すスライド

記録形式はMPEG-2(SD-Video規格)で、記録解像度は704×480ドット。付属する2GBのメディアを使用した場合、ビットレート10Mbpsの“XP”モードで約25分、5Mbpsの“SP”モードで約50分、“LP”モードで約100分の撮影ができる。HDDレコーダーの“DIGA”シリーズに搭載されている“バーチャルマルチエンコーダー”(LPモード録画時でもSPモード並みの垂直解像度で記録できる機能)と同じ技術を用いており、低ビットレートでも画質劣化の少ない動画記録が可能だという。

MPEG-2ではフレーム間処理をどう行なうかで大きく画質が変化するが、今回MPEG-2エンコードチップを新開発した。

信号処理回路には昨年9月に技術発表が行なわれた“UniPhier”(ユニフィエ)を初めて搭載した。UniPhierは信号処理を担当するプロセッサー部分と各種アルゴリズムを管理するマイクロコード部分からなり、LPモードで高解像度記録するための信号処理や動きの検出処理などを担当する。具体的な数値は公開されていないが、UniPhierの採用で「高性能と低消費電力を両立できた」と同社では説明している。

背面 SDカード収納部
背面SDカード収納部

SDR-S100の本体サイズは幅49.9×奥行き80.4×高さ96.7mmで重量は約242g(本体のみ)/約282g(装備重量)。SDR-S300が幅49.9×奥行き80.4×高さ97.2で約245g(本体のみ)/約285g(装備重量)。NV-GS250(容積560cc、装備重量600g)との比較では容積比で約53%、重量も半分以下となっている。レンズユニットはNV-GS250より小型となり、これに合わせた手ぶれ補正ジャイロも新開発したという。

操作画面 操作画面
操作画面。必要な機能をカンタンに呼び出せる“ワンタッチナビゲーション”(左)とメニュー画面(右)

撮影した画像は付属ソフトの『MotionSD STUDIO』でパソコン上で編集できるほか、MPEG-2動画対応のDIGA(EH53/66/73V/100H/200H/500H)でDVDメディアに最大8倍速でダビングすることもできる。

カットモデル カットモデル
カットモデル。小型のレンズ用に手ぶれ補正ジャイロを新開発した

撮像素子は1/6インチ総画素数80万画素のCCDを3つ使用(有効画素は動画64万画素、静止画71万画素)。レンズは光学10倍ズームで8群12枚構成の“ライカディコマー”レンズ。開放F値は1.8。マルチコートの採用でゴーストやフレアを低減できるという。液晶ディスプレーのサイズは2.8インチで画素数は約21万画素。最低照度は12ルクス(カラーナイトビューモード時で1ルクス)。最大2048×1512ドットの静止画記録にも対応。アスペクト比16:9での動画/静止画の撮影やウェブカメラ機能(320×240ドット)なども持つ。電源はリチウムイオン充電池(VW-VBE10、760mAh)で、連続撮影時間は約1時間20分、間欠撮影時間は約45分、フル充電時間は約1時間30分となっている。

ロードマップ 世界シェア
SDメモリーカードのロードマップ(左)と世界シェア(右)


新市場開拓で、市場拡大を狙う
──SDメモリーカードは32GB製品投入も予定

吉川成雄氏
パーソナルAVビジネスユニットムービーカテゴリー カテゴリーオーナーの吉川成雄氏

発表会にはパーソナルAVビジネスユニットムービーカテゴリー カテゴリーオーナーの吉川成雄(よしかわ なるお)氏などが出席した。

ビデオカメラの販売金額は全世界で1000億円規模。SDカードムービーに関してはこれからの市場だがそれにアドオンする形での成長を期待しているという。DVカムやDVDカムを含めた国内のビデオカメラ市場では30%のシェアを獲得していくことを目標とするという。なお、ハイビジョン対応商品の投入に関しては検討しているが、商品化の時期に関してはここで公表できる段階にはないとした。一方で、吉川氏は「DIGAのようにHDとSDが共存していくだろう」という見解を示した。

また、SDメモリーカードのロードマップに関しては、2006年に4GB、2007年には8GBの製品を投入する予定で、32GBまでの容量拡大を計画しており、4GBから上の製品では毎秒20MBの転送速度にも対応していくという。なお、大容量化の過程では「既存製品の上位互換」という形で、若干仕様変更も行なわれるようだ。





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