日本電気(株)は12日、仮想化技術/サーバー資源最適化技術/高速インターコネクト技術などを組み合わせてサーバーおよびストレージを統合した統合プラットフォーム“シグマグリッド”(※1)を発表した。製品は同社製サーバーおよびストレージやネットワーク機器などを収納するインテリジェントラック『シグマフレーム』と、統合運用管理ソフトウェア『WebSAM SigmaSystemCenter』で構成される。価格は『シグマフレーム』が100万円から、『WebSAM SigmaSystemCenter』の基本ライセンスが120万円から(価格はいずれも税抜き)。
※1 名称の由来は、統合を意味する“シグマ”と、リソース最適化を意味する“グリッド”の合成“シグマグリッド”のインテリジェントラック『シグマフレーム』。説明会場では2基構成で稼動しており、左のラックには同社製サーバーが収納されていた | 『シグマフレーム』の構造と特徴 |
会場に設置されていた2基のうち、右のラックに“マネジメントモジュール”や“CPU-I/O間クロスバスイッチ”などといった“シグマグリッド”の収納 |
“シグマグリッド”は、同社のIPF(Itanium Processor Family)搭載サーバー“NX7700i”シリーズやx86サーバー“Express5800”シリーズ、ストレージ“iStorage”シリーズ、同社およびサードパーティー製ネットワーク機器をインテリジェントラック『シグマフレーム』に収納し、統合運用管理ソフトウェア『WebSAM SigmaSystemCenter』で一元的に管理するという統合プラットフォームソリューション。
“シグマグリッド”のハードウェア部である『シグマフレーム』には、リソースの自動検知や稼働状況の監視を行なう管理/運用ハードウェア“マネジメントモジュール”、“フローティングI/O”と呼ばれるCPUおよびI/Oリソースの仮想化技術を盛り込んだ“CPU-I/O間クロスバスイッチ”、ラック内のケーブリングの手間を軽減するプラグイン構造を採用した高速インターコネクト“シグマハイウェイ”(標準では1重、オプションで2重化が可能)、電源ユニットを標準で搭載する。
『WebSAM SigmaSystemCenter』の構成 | 『WebSAM SigmaSystemCenter』の機能のひとつ、“フローティングI/O”の仕組み | 同じく“ダイナミックプール”の機能 |
『WebSAM SigmaSystemCenter』の管理画面 |
一方、ソフトウェア部の『WebSAM SigmaSystemCenter』は、マルチOS(Windows/Red Hat Enterprise Linux/HP-UX)/マルチサーバー環境の統合管理が可能で、『シグマフレーム』の“マネジメントモジュール”と連携したモジュールの着脱状況や構成の監視、“フローティングI/O”と連携したサーバーリソースの最適な配分(I/O仮想化による柔軟なハードウェア構成の変更、自動配分など)、“ダイナミックプール”機能を用いたポリシーベースのリソース最適化(業務に応じたリソース割り当てが可能)などを実現するという。
執行役員常務の山本正彦氏 |
この日行なわれた記者説明会で製品の概要を説明した同社執行役員常務の山本正彦氏によると、現在の企業情報システムは、既存システムの維持コスト削減による競争力強化、市場環境の変化や業務変更への即応力強化に向けた戦略的投資や、リアルタイムマネージメント/リスクマネージメント/ライフサイクルマネージメントの実現を要求されているという。同社では、これに答えるソリューションとして、サーバー統合の実施に向けた調査/設計の統合サービス“ALCHEMIX(アルケミクス)”を今年8月に発表、それに続く製品として、今回のサーバー/ストレージ統合プラットフォーム“シグマグリッド”を投入するものとしている。
“シグマグリッド”によるコスト削減効果 | 今後の強化の方向性 |
また山本氏は、“シグマグリッド”の導入によるコストメリット例を紹介。これによると、300台のサーバーを統合した場合、単純なサーバーおよびストレージの統合化では14%のトータルコスト削減が可能なのに対し、“シグマグリッド”では、保守/運用管理費の大幅な削減を中心に合計で25%の削減が可能だとしている。今後の進化の方向性としては、広域対応のサービス提供インフラの実現を挙げており、現在の製品で実現している物理集約/論理統合という方向性を発展させ、広域分散/論理統合の実現を目指していくという。
なおNECでは、今後2年間で500システムの販売を目標に展開を進めていくとしている。
『WebSAM SigmaSystemCenter』の説明を行なった執行役員常務の伊久美功一氏 |