SO902iを手にする、NTTドコモ執行役員 プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野 剛氏 |
(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモは19日、第3世代携帯電話サービス“FOMA”対応の端末“902iシリーズ”を発表した。ラインナップは、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)による初のFOMA対応携帯電話機『SO902i』など6機種。これらとともに発表された主な新サービスは、902iシリーズの携帯電話機同士でグループ通話が可能な“プッシュトーク”と、1台のFOMAで複数の電話番号が利用できる新サービス“マルチナンバー”の2つ。これらをはじめ、FeliCaチップによる電子決済/認証サービス“おサイフケータイ”および“トルカ”、“701iシリーズ”が導入したプッシュ型情報配信サービス“iチャネル”などに全機種が対応する。
これが902iシリーズだ! 左からP902i、N902i、F902i、D902i、SO902i、SH902i |
ここでは新サービスを中心に述べるが、端末のラインナップは以下のとおり。冬商戦に向けて発売する予定で、日程の詳細は未定。価格はオープンプライスだが、前機種の“901iSシリーズ”は東京23区で3万円~3万5000円程度で店頭に並んだので、同程度と予想される。
- D902i:三菱電機(株)
- F902i:富士通(株)
- N902i:日本電気(株)
- P902i:パナソニック モバイル コミュニケーションズ(株)
- SH902i:シャープ(株)
- SO902i:ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ
D902i | F902i | |
N902i | P902i | |
SH902i | SO902i |
記者発表会に出席したNTTドコモ執行役員 プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野 剛氏によると、10月中旬現在のFOMAの契約数は1722万人で、そのうち90Xiシリーズの累計販売数は1550万台。FOMAシリーズはサービスの立ち上げから普及にまで時間がかかったが、「(第2世代サービスのmovaと比べて)すでにFOMAが主流になった」と、もはやそれが当然のように紹介されたのが印象的である。一方、10月中旬現在のおサイフケータイの契約数は675万で、「iモードを上回るペースで広がっている」という。こうした流れを一層加速するために市場投入するのが、902iシリーズである。
9月末現在のFOMAおよび90Xiシリーズの契約数 | 9月末現在のおサイフケータイの契約数 |
1050円で使い放題! コンシューマー向けのPush to Talk機能
新サービスのプッシュトークは、いわゆる“Push to Talk”と呼ばれるサービスで、パケット通信網を使い、携帯電話機をトランシーバーのようにして複数人が一緒に通話できるというもの。Push to Talk機能を実装している携帯電話機はすでに欧米の市場にあるが、「欧米では、同じ機種同士で(Push to Talk機能が使えるサービスが)一部あった。しかし902iシリーズのように、(製造メーカー)6社が相互乗り入れする形のサービスは世界でも例がない。 (中略) 欧米のサービスは法人向けにチューンされているものがほとんどで、一般のコンシューマーが使えるものは発見できなかった」と、夏野氏は違いを強調する。
プッシュトークは、学生サークルやファミリー層などの一般コンシューマーから、法人までを幅広くターゲットにしている。記者発表会では、女性にもてない“A大学広告研究部”の部長の告白を、4人の部員がプッシュトークを使って応援するという、“電車男”にあやかったストーリーの寸劇が行なわれた。
プッシュトークを利用するにはまず、対応機のユーザーが(以下、親)、対応機を持つ通話相手最大4人を電話帳から指定し(以下、子)、端末の“プッシュトークボタン”から呼び出す。この場合、通話相手をあらかじめグループ登録しておけば、一度に発信できる。子ユーザーは、着信音がなったら参加/不参加の設定を行なう。
発言中の端末。発声してから相手の端末で聞こえるまでのタイムラグは1~2秒程度 |
通話に参加するユーザーが2人以上になったところで、親/子ユーザーはプッシュトークボタンを押して“発言権”を獲得し、プッシュトークボタンを押しながら最大30秒通話する。発言は、発言権を獲得したユーザーのみが行なえ、他の参加者が発言している間は、それをさえぎったり、発言をかぶせたりすることはできない。プッシュトーク中に音声通話の着信があった場合は、ユーザーの設定により音声通話を優先にすることができるが、TV電話やメールの着信、iモードの操作などは一切できない。
通話の終了は、親が終了を指定した場合、もしくは30秒間誰も発言しない状態が続いた場合のみ。なお、子ユーザーは、通話の途中で参加を中止しても、その後、自分が招待された通話が続いていれば、着信履歴などをたどって復活できる。
利用料金は、1プッシュ(すなわち発言1回)につき5.25円。キャンペーンとして、12月31日までの期間はプッシュトーク機能が無料で利用でき、1月1日以降は、オプション料金プランの“カケ・ホーダイ”に契約すれば月額1050円で利用できる。
メンバー管理機能を強化した上位サービスも用意
NTTドコモは、プッシュトークの上位サービスとして、最大20人まで同時に通話できる“プッシュトークプラス”を用意しており、サービス料金は1回線あたり月額2100円。法人向けには、専用のウェブサイト(パソコン/携帯電話機向け)を使って代表者がメンバー/グループの編集ができる機能や、メンバーの会議中/移動中などのプレゼンスを登録/確認できる機能を加えて提供するコースもあり、こちらは代表回線(代表者)が月額1万5000円支払えばよい。
なお、国内の他キャリアからPush to Talk対応携帯電話機が発売された場合の連携について夏野氏は、「他社がやるサービスは、スペックが分からない段階では可能性を言えないが、現在のところNTTドコモのプッシュトーク対応機種同士でやることを想定している」という。
1台で複数の電話番号が利用できるマルチナンバー
マルチナンバーは、FOMAの基本契約電話番号に最大2つの付加番号(音声のみ)を追加し、プライベート専用電話番号、ビジネス専用電話番号などと、1台の携帯電話機を使い分けられるのが特徴。通信/通話の請求書を番号ごとに分けて発行し、最大2ヵ所に送付することも可能だ。利用料金は付加番号1件ごとに500円で、請求書の分割送付を希望する場合は別途月額150円がかかる。