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【詳報】ウィルコム、Windows Mobile採用のコミュニケーション端末『W-ZERO3』を発表──マイクロソフトも新市場開拓に意欲

2005年10月20日 19時35分更新

文● 編集部 小林久

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(株)ウィルコムは20日、国内初のWindows Mobile 5.0 for Pocket PC対応の携帯情報端末『W-ZERO3』(ダブリューゼロスリー、型番:WS003SH(B))を12月上旬に発売すると発表した。価格はオープンプライス。5万円を切る実売価格となる見通し。

W-ZERO3
W-ZERO3。左上がスライドキーボードを利用した横位置利用のほか、PDA的な縦位置利用も可能

PHSと無線LANのデュアル端末、液晶パネルはVGA表示に対応

URL入力も簡単
キーボードを装備したことで、URL入力なども快適に行なえる

W-ZERO3の開発はシャープ(株)が担当。ディスプレーに3.7インチで解像度640×480ドットのモバイルASV液晶パネルを搭載。昨日発表されたウィルコムの“W-SIM”(ウィルコムシム関連記事)にも対応しており、PHSによる音声通話やデータ通信(最大128kbps)を行なえる。



訂正とお詫び:初出時にデータ転送速度が最大64kbpsという記述がありましたが、最大128kbps(4xパケット方式)の誤りです。お詫びして訂正いたします(10月21日)

本体は縦位置・横位置両方での使用が可能となっており、スタイラスを使ったペン操作のほか、横位置使用時にはQWERTY配列のスライド式キーボードを利用したテキスト入力が可能。VGAの解像度に加え、Internet Explorerのサブセットとなる『Internet Explorer Mobile』(Flash対応)、IEEE 802.11b対応の無線LAN機能なども装備するため、パソコンに迫る快適さでウェブブラウジングを行なえる。メールに関してはウィルコムの提供する“Eメール”や“直送メール”などPUSHタイプのサービスのほか、POP3やSMTPに対応したメールクライアントを持つため、ISPなどを利用した一般的な電子メールの送受信も可能。

背面にはデジタルカメラ機能も装備。撮像素子は1/3インチ有効画素数133万画素のCMOSイメージセンサーを採用。最大1280×1024ドットの静止画撮影(JPEG形式)のほか、WMV形式での動画撮影にも対応する(解像度やビットレートなどは未公開)。

カメラ部分 Windows Mobile
背面のカメラ部分、133万画素のCMOSイメージセンサーを採用パソコンライクな操作性を持ったWindows MobileのGUI

内蔵するCPUは米インテル社のPXA270-416MHzで、容量128MBのフラッシュメモリー(システム領域など)と64MBのSDRAM(ワークエリア)、mini SDカードスロットなどを搭載。縦位置使用時の本体サイズは幅約70×奥行き26×高さ130mm。重量は約220g。電源はリチウムイオン充電池で、連続待ち受け時間は約200時間、連続通話時間は約5時間。パソコンとの接続はUSB経由で行ない、ActiveSyncを利用したパソコンとの同期が可能。パソコンにドライバーをインストールすることで、W-ZERO3を外付けの通信モデムとして利用できる。

無線LAN対応 音声通話
無線LANとPHSのデュアルワイアレス対応音声通話ももちろん行なえる
バッテリー 厚さ
W-SIMカードとバッテリーは背面の裏ブタを外して装着する、バッテリーはかなり大型だ本体は26mmと若干厚みがある

ワープロソフトの『Word Mobile』、表計算ソフト『Excel Mobile』、プレゼンテーションソフト『PowerPoint Mobile』が付属し、パソコン用の『Microsoft Office』の文書ファイルを直接編集できる。また、WMV/WMA/MP3の各形式に対応したAVプレーヤー『Windows Media Player 10 Mobile for Pocket PC』、英Picsel Technologies社のPDFビューアー『Picsel PDF Viewer』、XMDF形式の電子書籍を閲覧できる『ブンコビューア』などをプレインストールする。

また、(株)エイチアイとバンダイネットワークス(株)も共同展開している3Dエンジン“MascotCapsule V3”の供給をW-ZERO3向けに開始すると発表している。これにより(株)アプリックスのJava VM『JBlend』(W-ZERO3にも搭載)上でリッチな3Dゲームのコンテンツが楽しめるようになるという。

サイズ比較 ゲーム
シャープ製のFOMA端末と大きさを比較してみたW-ZONE上で動作する3Dゲームのひとつ『SDガンダムバトルSD』。詳細はウィルコムのウェブサイトで確認できる

W-ZERO3にマッチした新料金プランも提供

ウィルコムはW-ZERO3の発表に合わせて、新料金プラン“ウィルコム無線LANオプション”も発表した。これは、月額700円の追加料金でエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)の公衆無線LANサービス“HOT SPOT”が定額で使い放題になるというもので、正式サービス開始は2006年6月1日を予定。W-ZERO3のユーザーに対しては2006年5月末まで試験サービスとして無料で利用可能にする。

ウィルコム無線LANオプションを利用するためにはW-ZERO3または無線LAN対応のパソコンやPDAが必要。初期登録料が1500円。月額のオプション料金は契約している料金コースによって異なる。料金体系は下記のとおり。

AIR-EDGE[PRO]専用料金コース
対応サービス名:つなぎ放題[PRO]、ネット25[PRO]
無料
AIR-EDGE向け料金コース
対応サービス名:つなぎ放題[4x、1x]、ネット25、パケコミネット
月額700円
ウィルコム定額プラン+各オプションサービス
対応サービス名:データ定額、リアルインターネットプラス[1x]
月額700円
そのほか料金コース
対応サービス名:ウィルコム定額プラン、スーパーパックLL・L・S
標準コース、昼得コース、データパック、データパックmini
TWO LINK DATA、安心だフォン
月額1600円

既存のウィルコム定額プランやデータ定額サービスとあわせた月額料金の合計は10万パケットまで3950円、従量課金上限金額で6700円となる。W-ZERO3のユーザーは2006年5月末まで無線LANオプションが無料となるので、合計6700円(2006年6月以降は7400円)で、音声通話、データ通信、公衆無線LANサービス(HOTSPOT)が使い放題になる計算となる。なお、パソコンにW-ZERO3を接続して使用した場合は上限金額がプラス2500円。基本料との合計で最大9200円の月額利用料金となる。

W-ZERO3は潜在市場を喚起できるか?

発表会風景
W-ZERO3を手にした出席者。左からシャープの松本雅史氏、ウィルコムの八剱洋一郎氏、マイクロソフトのダレン・ヒューストン氏

発表会には、ウィルコム代表取締役社長の八剱洋一郎氏、マイクロソフト(株)の代表執行役社長で、米マイクロソフト社のコーポレートバイスプレジデントを務めるダレン・ヒューストン氏、シャープ(株)代表取締役専務情報通信事業統轄の松本雅史氏、インテル(株)取締役事業開発本部の町田栄作氏などが出席した。

八剱氏はプレゼンテーションで、W-ZERO3を“ケータイの機動性”と“PCの高性能”を両立する新しいコミュニケーションツールと位置づけ、チャンスを秘めたカテゴリーであるとした。同氏はモバイルマーケットに対するウィルコムの予測として、PDA市場が17万5000台(PDAの約50%)、A4ノート以下のモバイルパソコンで約52万1000台(モバイルパソコンの販売台数全体の約30%)などを中心に、約173万台の潜在需要があると述べた。これに携帯電話機のうち特に多機能な端末(POPメール機能やフルブラウザー搭載)の270万台を加えると約400万台の市場規模拡大が見込めるとした。

同氏は発表会終了後の質疑応答でも「マーケットとしては400万台以上。W-ZERO3は新分野となり、W-ZERO3の販売を予測することは難しいが、まず今年度は10万台を生産してその売れ行きを見る」と2004年度に35万台といわれる国内のPDA市場の規模を考えるとかなり強気の発言を行なった。また、今後の機能追加に関しても「このバージョンだけで終わるつもりはまったくない。ユーザーから持ち上がった希望を元に、GPSやFeliCaといった新機能もプライオリティーをつけて開発していきたい」と抱負を述べた。

また、マイクロソフトのヒューストン氏はプレゼンテーションの最後で「これが国内におけるWindows Mobileの第一歩となる」と発言。このW-ZERO3を足がかりに、閉鎖的といわれる国内の携帯電話マーケットに何とかして食い込んでいきたいという思惑をのぞかせた。同氏は「Xbox 360同様クリスマス前に製品を投入することができる。発売日にはぜひXbox 360と一緒にこのW-ZERO3も買いにいきたい」と語り、マイクロソフトが積極的に展開している新市場のアピールも欠かさなかった。



掲載しているW-ZERO3の写真は試作段階のものです。外観などに変更の可能性があります。

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