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ATI、ワークステーション向けのウルトラハイエンドグラフィックスカード『FireGL V7350/V7300』の説明会を開催。

2006年03月29日 19時53分更新

文● 編集部 小西利明

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1GBのGDDR3メモリーを搭載するワークステーション向け“ウルトラハイエンド”グラフィックスカード『FireGL V7350』。V7300はGPUと外観は同様で、メモリー搭載量が少ない
1GBのGDDR3メモリーを搭載するワークステーション向け“ウルトラハイエンド”グラフィックスカード『FireGL V7350』。V7300はGPUと外観は同様で、メモリー搭載量が少ない

ATIテクノロジーズジャパン(株)(以下ATI)は29日、東京都内にて流通チャネル、報道関係者を集めた製品説明会を開催し、去る20日(米国時間)に発表されたワークステーション向け最新グラフィックスカード『FireGL V7350』『FireGL V7300』についての説明を行なった。国内での販売は(株)アスクが担当する。価格はFireGL V7350(1GBメモリー、PCI Express x16)が24万3250円(予価)。

カナダATI本社 ワークステーション プロダクト部門ディレクターのディネシュ・シャーマ氏
カナダATI本社 ワークステーション プロダクト部門ディレクターのディネシュ・シャーマ氏

FireGL V7350およびV7300は、同社のワークステーション向けグラフィックスカード“FireGL”シリーズの中でも、最上位に位置する製品である。カナダATIテクノロジーズ社 ワークステーション プロダクト部門ディレクターのディネシュ・シャーマ(Dinesh Sharma)氏によるプレゼンテーションと質疑応答が行なわれたが、搭載GPUコアはパソコン用のハイエンドGPU“Radeon X1800”と同様のものであるとのこと。90nmプロセスで製造され、DirectX 9およびOpenGL 2.0に対応し、Shader Model 3.0の機能を備え、バーテックスシェーダーは8基、ピクセルシェーダーは16基を内蔵する。256bit幅のメモリーインターフェースを備えており、V7350はビデオメモリーとしてGDDR3メモリーを1GB、V7300は512MBをグラフィックスカード上に搭載している。出力インターフェースとしては、デュアルリンクDVI-I出力端子を2つと、コンポーネント・ビデオ出力端子を備える。DVI-I出力では最大出力解像度3840×2400ドットが可能。高性能なGPUに大容量のメモリー、超高解像度出力などの能力を備えるFireGL V7350/7300を、シャーマ氏は“ウルトラハイエンド”のソリューションであると位置づける。



FireGL V7350の主な仕様と特徴
FireGL V7350の主な仕様と特徴
エプソンダイレクト(株)のパソコン上でデモを実行するV7350(本体内部の赤いカード) V7350/7300シリーズを含むFireGLシリーズのラインナップ。ハイエンドからエントリーのラインナップの新製品も年内に発表される予定
エプソンダイレクト(株)のパソコン上でデモを実行するV7350(本体内部の赤いカード)V7350/7300シリーズを含むFireGLシリーズのラインナップ。ハイエンドからエントリーのラインナップの新製品も年内に発表される予定

シャーマ氏はプレゼンテーションの冒頭で、過去2年の同社のワークステーション向けビジネスは、市場全体の成長率を上回る120%の成長を遂げたとし、特にモバイルワークステーション市場の伸びが効いたと述べている。市場全体の技術トレンドについて、64bit OSの登場により最大4GBのシステムメモリーの制約が取り払われたことで、データ量の大きい精密なモデルデータの活用の活用が可能となり、CADビジネスが変わるだろうと述べた。ちなみにFireGL V7350/7300では、Windows XP x64 Editionと64bit版Linux用のドライバーソフトが用意されている。Windows Vistaの3DグラフィックスUI“Windows Aero”もサポートされる。また30インチサイズで2560×1600ドット表示の液晶ディスプレーなど、超高解像度ディスプレーの価格も下がったことで、CAD/CG制作だけでなく医療分野などでも超高解像度表示へのニーズが出ているとした。また複数のGPUを1システム上で使うマルチGPU技術については、競合である米エヌビディア社(NVIDIA)のマルチGPUレンダリング技術“SLI”の特徴である1シーンを複数のGPUを使って描画する機能を活用した効率的なアプリケーションは存在しないと軽く批判したうえで、マルチGPUはマルチディスプレー環境にこそ向くとして、V7350/7300では2560×1600ドットを2画面分表示する能力があると述べた。

パフォーマンスについては、Pentium 4や競合製品であるNVIDIAのワークステーション向けGPU“Quadra FX 4500”との性能差をベンチマークテスト結果で示し、価格性能差では従来品でもNVIDIAを上回っていたが、V7350/7300の登場でさらにその差を広げたとしている。

FireGL V7300シリーズとPentium 4-3GHzの、浮動小数点演算性能およびメモリー帯域幅の比較グラフ。長い方が高速 FireGL 7300とNVIDIA Quadro FX 4500による、3D CGやCADソフトを使ったベンチマークテスト比較 FireGLシリーズとNVIDIA Quadro FXシリーズの演算性能と価格を比較したグラフ。FireGLがコストパフォーマンスで優れることを示している
FireGL V7300シリーズとPentium 4-3GHzの、浮動小数点演算性能およびメモリー帯域幅の比較グラフ。長い方が高速FireGL 7300とNVIDIA Quadro FX 4500による、3D CGやCADソフトを使ったベンチマークテスト比較FireGLシリーズとNVIDIA Quadro FXシリーズの演算性能と価格を比較したグラフ。FireGLがコストパフォーマンスで優れることを示している

そのほかの特徴についても説明された。V7350/7300はビデオ再生支援技術“Avivoテクノロジ”を備えており、Blu-rayビデオやHD DVDビデオで使われるH.264のアクセラレーションをサポートするほか、内部のディスプレーパイプラインを10bit精度とすることで、10億7000万色の出力を可能としている。1ピクセル64bitのHDRレンダリングを可能とすることで、従来の32bitでは階調表現力が不足してマッハバンド(階調変化の境界が線のように顕著に見える現象)が見えていたような画像でも、滑らかに階調が変化する自然な映像出力を可能としている。

各ピクセル32bitでレンダリングされたCG(左)と、各ピクセル64bitのCGの比較。32bitでは車体や背景にマッハバンドが顕著だが、64bitでは見えない
各ピクセル32bitでレンダリングされたCG(左)と、各ピクセル64bitのCGの比較。32bitでは車体や背景にマッハバンドが顕著だが、64bitでは見えない

またV7350/7300のほかに、2Dグラフィックスワークステーション向けのマルチディスプレーグラフィックスカード“FireMV 2200/2400”シリーズについての説明も行なわれた。FireMV 2200/2400はロープロファイルサイズのグラフィックスカードで、DVI出力とアナログRGB出力を2系統ずつ備える。それぞれの出力を2台のディスプレー用に分岐することも可能で、1枚のカードで最大4台のディスプレー出力が可能である。

2Dグラフィックス用途向けマルチディスプレーカード“FireMV 2200”のPCI Express版(下)とPCIバス版
2Dグラフィックス用途向けマルチディスプレーカード“FireMV 2200”のPCI Express版(下)とPCIバス版

V7350/7300およびFireMVシリーズの国内販売については、ATIの国内販売代理店であるアスクが担当する。従来は英語版パッケージをそのまま販売している状態であったが、今回のV7350/7300に合わせて、アスクでは販売・サポート体制を変更する。パッケージやマニュアルの日本語化、電話サポートなどを受ける専任サポート要員の用意、法人顧客向けに動作検証用カードの貸出等も行なう予定とのことだ。またFireGLのブランド知名度向上も目指して、店頭販売にも力を入れるという。

アスクが発売予定のFireGL V7350/7300およびFireMV 2400製品ラインアップと予価
アスクが発売予定のFireGL V7350/7300およびFireMV 2400製品ラインアップと予価

製品の価格については、『FireGL V7350 1GB PCIE』が24万3250円(予価、以下同)、『FireGL V7300 512M PCIE』が19万5500円。4月中旬からの出荷を予定している。またFireMVシリーズの『FireMV 2400 PCI-E Quad 256MB』は7万9750円。

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