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ソニー、AVCHD規格対応のビデオカメラ2製品を発表――H.264でHDDやDVDに記録

2006年07月19日 17時53分更新

文● 編集部 小林久

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ソニー(株)は19日、DVDメディアやHDDにMPEG-4 AVC/H.264形式で記録する新規格“AVCHD”に対応したハイビジョン“ハンディカム”2モデルを発表した。価格はともにオープンプライス。

本体写真
HDR-UX1(左)とHDR-SR1(右)。HDR-UX1はシルバー、HDR-SR1はブラック

発表された製品は下記の通り。

HDR-UX1
DVD-R/-RW/+RW/+R DL対応(8cmメディア)
最長1時間のハイビジョン記録(AVCHD LPモード時)
本体サイズ:幅76×奥行き165×高さ89mm、重量:約660g(本体のみ)
予想実売価格:17万円前後、9月10日発売
HDR-SR1
1.8インチ30GBのHDDを搭載
最長11時間のハイビジョン記録(AVCHD LPモード時)
本体サイズ:幅78×奥行き165×高さ84mm、重量:約640g(本体のみ)
予想実売価格:18万円前後、10月10日発売

新開発のH.264エンコーダーを採用

撮像素子や光学系など基本仕様は共通。機能面では2月に発売されたHDV対応ハンディカム『HDR-HC3』をベースとし、GUIなどを一部変更した。毎秒240コマで高速撮影する“なめらかスロー録画”や動画と静止画の同時記録といったHDR-HC3の機能は踏襲する。H.264や5.1chのドルビーデジタル録音に対応したコーデックLSIなどは新規で開発した。

手に持ったところ(1) 手に持ったところ(2)
女性が手に持ったところ。筆者は男性としては若干小さい手だが、シューティングスタイルで構えた場合、ボタン類が離れており、やや大きめに感じた
カットモデル(1) カットモデル(2)
カットモデル。ドライブと外装以外の基本的なパーツは共通化が図られている

撮像素子には1/3インチ総画素数210万画素の原色クリアビッドCMOSを採用。動画撮影時で最大1440×1080ドット、静止画撮影時で最大2304×1728ドットの出力ができる。有効画素数は動画撮影時が143万画素(16:9記録)、静止画撮影時が199万画素(4:3)。

ビットレートは4種類の選択が可能。DVDモデルのHDR-UX1はLP(5Mbps)、SP(7Mbps)、HQ(9Mbps)、HQ+(12Mbps)、HDDモデルのHDR-SR1はLP、SP、HQ、XP(15Mbps)の画質が選べる。ソニーの説明では、9MbpsのHQモードで、HDVで撮影したのとほぼ同等の画質が得られるという。

左斜めから 右斜めから
DVDドライブ搭載モデルを斜めから見た写真
レンズ脇 DVD収納部
DOLBY DIGITALやCarl Zeissのロゴが見えるDVDは前から見て左側に収納する
HDR-UX1対応メディア
HDR-UX1対応メディア。8cmのDVDに記録する

AVCHDで撮影した動画は、カムコーダー本体で再生可能なほか、付属ソフト(Picture Motion Browser)をインストールしたパソコンや、ソニーが今後発売するAVCHD対応のBlu-ray Discプレーヤー、プレイステーション 3などで再生できる。ただし、パソコンでコマ落ちなく動画を再生するためには、Pentium 4-2.8GHz以上のCPUを搭載するなど、余裕を持ったスペックが必要だ。

編集環境としては、Adobe Premiere用のプラグインが用意される。現状ではBlu-ray Discに記録するフォーマットが固まっていないため、リムーバブルメディアに出力する際は、MPEG-2形式またはAVCHD形式で12cmの記録型DVDに保存する形になる(AVCHD形式を選択した場合は、同規格に対応したBlu-ray Discプレーヤーのみで再生可能)。

AVCHDのレンダリング処理も非常に負荷がかかるもので、開発段階のテストでは、1時間のAVCHDソースをAVCHD形式にフルレンダリングした場合、17~20時間弱の時間がかかることもあるという。そのため編集箇所のみをレンダリングするスマートレンダリングと呼ばれる機能も追加される。こちらはトランジッション効果の追加など、簡単なカット編集が中心なら、ほぼコピー時間のみで済む。AVCHDカムコーダで撮影したソースは、HDR-UX1ではDVD-ROMドライブから、HDR-SR1ではUSB 2.0経由でパソコンに読み込める。

液晶パネル 端子類は内側
ディスプレーはタッチパネル方式HDMIやUSB端子などは内側にある、静止画撮影用のメモリースティックDuoにも対応
GUI(1) GUI(2)
新GUI。右上の「×」印を押すとワンタッチで消せる。タブで各機能を切り替える方式ヘルプ機能も追加された。右上の「?」を押す

年内にハイビジョン比率は50%に

本日都内で開催された発表会に出席したソニー執行役EVPの中川裕氏は、今後同社が発売を予定しているBlu-ray Discプレーヤーの1号機を、AVCHD規格に対応させると表明した。また、AVCHDの提唱社であるソニーと松下電器産業(株)のほかに、AV機器メーカーでは、キヤノン(株)、パイオニア(株)、サムスン電子(株)、シャープ(株)など4社、パソコン編集ソフト開発メーカーでは、アドビ システムズ(株)、サイバーリンクトランスデジタル(株)、インタービデオ(株)など7社が賛同している。これらのメーカーからは同規格に対応した製品が登場してくる見込みだという。

中川氏 販売比率
執行役EVPの中川裕氏(左)、ハイビジョン製品の比率は年内に50%に(右)

HDR-UX1とHDR-SR1の当初月産台数はそれぞれ3万台/2万台。ソニーでは2006年末までに、同社カムコーダー製品の50%がハイビジョン対応となると予測している(HDC-HC3など既存のハイビジョン対応製品を含む)。国内のビデオカムコーダー市場は2006年度予測で145万台で、2003年の173万台から毎年減少傾向にあるが、金額ベースでは1220億円程度とほぼ横ばいとなっている。ソニーでは、薄型テレビやハイビジョンレコーダー普及を追い風にハイビジョンをキーワードにした高付加価値な製品群を積極的に販売していく考えだ。

新製品の主な仕様
撮像素子1/3インチクリアビッドCMOSセンサー
最小被写体照度11ルクス
レンズバリオ・ゾナーT*レンズ
ズーム光学10倍、デジタル80倍
焦点距離/開放F値5.1~51mm(35mmフィルム換算で41.5~485mm)/F1.8~2.9
手ぶれ補正電子式(新アクティブイメージエリア方式)
液晶ディスプレー3.5インチTFTタッチパネル(21万1000画素、クリアフォト液晶パネル)
撮像素子1/3インチクリアビッドCMOSセンサー
ビューファインダー0.27インチ(12万3000画素)
撮像素子1/3インチクリアビッドCMOSセンサー
出力端子HDMI端子、D3/D1対応出力(特殊D端子)、コンポジット出力(特殊端子)、S映像出力(別売AVケーブル使用)
バッテリーインフォリチウム Mシリーズ
HDR-UX1の連続撮影時間(実撮影時間)付属NP-FM50利用時:1時間35分(50分)、NP-QM91D使用時:6時間(3時間15分)(HD-SPモード、ビューファインダーON)
HDR-SR1の連続撮影時間(実撮影時間)付属NP-FM50利用時:1時間40分(55分)、NP-QM91D使用時:6時間15分(3時間25分)(HD-SPモード、ビューファインダーON)

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