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【詳報】キヤノン、一眼レフ入門機の最新モデル『EOS Kiss Digital X』を発表

2006年08月24日 18時38分更新

文● 編集部 小林久

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キヤノン(株)とキヤノンマーケティングジャパン(株)は24日、レンズ交換式一眼レフデジタルカメラの入門機『EOS Kiss Digital X(イオス キス デジタル エックス)』を9月8日に発売すると発表した。価格はオープンプライス。

EOS Kiss Digital X
EOS Kiss Digital X。色はブラックとシルバーが選べる

製品パッケージと予想実売価格は下記の通り。

EOS Kiss Digital X ボディ
9万円前後(ボディーのみ)
EOS Kiss Digital X レンズキット
11万円前後、『EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM』を同梱
EOS Kiss Digital X ダブルズームレンズキット
13万円前後、レンズキットに『EF55-200mm F4.5-5.6 II USB』を同梱

従来機種『EOS Kiss Digital N』との変更点は既報のとおり、撮像素子の変更とホコリ除去機能の装備、背面液晶パネルの大型化、バッファーメモリーの増加などが挙げられる。

また、EOSシリーズ用の交換レンズ2製品も同時発表された。F1.2と明るい単焦点レンズと、レンズ内蔵型の光学式手ぶれ補正機構を内蔵した望遠ズームレンズで、製品名と価格は下記の通り。11月下旬に発売する。これにより、EFレンズのラインアップは61本となった。

新レンズ2本
新たに追加されたEFレンズ。左が50mmの単焦点、右がIS付きの望遠ズーム

キヤノン レンズ EF50mm F1.2L USM
焦点距離50mmの単焦点相当(APS-Cサイズでは80mm相当)
標準価格18万5000円、月産1000本
キヤノン ズームレンズ EF70-200mm F4L IS USM
焦点距離70~200mmのズームレンズ(同112~320mm相当)
標準価格15万8000円、月産6000本



10世代目と10メガという2重の意味を込めた製品名

芦澤氏と岩下氏
キヤノンマーケティングの芦澤氏(左)とキヤノンの岩下氏(右)

EOS Kiss Digtal Xは、1993年に登場したフィルムカメラ『EOS Kiss』から数えて10世代目となる記念すべき製品。製品発表会に出席したキヤノンマーケティングジャパンの専務取締役・芦澤光二(あしざわ こうじ)氏は、製品名の“X”(エックス)に「“10世代目と10メガピクセル”という2重の意味をこめた」と話す。

芦澤氏は、Kissという名称に関しては社内で大きな議論があったと回想する。「恥ずかしくて口に出せないのでは?」という反論を押し切る形で、「赤ちゃんの顔にキスをするのだ」という賛成派の意見が通った。初代KissのCFには“愛はキスで残す”というキャッチフレーズが掲げられていた。“子供の成長を高画質に残す”というKissのコンセプトは、最新のEOS Kiss Digital Xでも変わらない。

EOS Kiss Digital Xの改良点に関して、キヤノン取締役イメージコミュニケーション事業本部 事業本部長の岩下知徳(いわした とものり)氏は、新製品の開発に当たって、画質の向上と快適さの追求を目指したと話す。

まず画質面では、有効1010万画素のCMOSイメージセンサーを内製した。このセンサーでは、マイクロレンズの間隔を1/2にするなど集光効率を高め、感度など従来の性能を落とさず高画素化を実現したという。ノイズに関しては第2世代のオンチップノイズ除去機能で、ランダムノイズと固定パターンノイズの低減も行なっている。



10MのCMOS
ついに1000万画素超えしたCMOSイメージセンサー。マイクロレンズの間隔を1/2にして集光効率を高めた

撮影機能に関しては、AF測距点を上位機種の『EOS 30D』と同等の9点に増やし、中央センサーの精度も従来のF5.6相当からF2.8相当に1段分高めたという。連写性能に関しては、JPEG撮影時で毎秒3コマと変わらないが、バッファーメモリーの増量により連続撮影枚数をJPEG撮影時で14コマから27コマ、RAW撮影時で5コマから10コマに増やしている。

セルフクリーニングセンサーユニット。ローパスフィルター部分に設けられており、超音波振動する

また、快適さの追求の部分に関しては、背面の液晶パネルを2.5インチ(23万画素)に大型化。CMOSイメージセンサー前面のローパスフィルターには、超音波振動を利用したホコリ除去機能“セルフクリーニングセンサーユニット”を搭載した。特に、撮像面に付着するホコリに関しては“出さない”“付けない”“残さない”の3つに注力し、ホコリの原因となる削れが発生しない部材の調達や機構の開発、静電気を発生しないための除電(回路部分のアース)、それでも付いてしまったホコリを落とすための超音波振動という対応を行なった。さらに、付属アプリケーションの『Digital Photo Professional 2.2』(以下DPP 2.2)にホコリ除去用のフィルター機能も追加している。

歴代EOS Kiss
会場に展示されていた歴代のEOS Kiss
カットモデル
EOS Kiss Digital Xのカットモデル


マイナーチェンジながら、オールNewの新設計

外観に関しては、一見するとEOS Kiss Digital Nと変わらないが、ペンタ部分のデザインや背面の指がかりなど細かな変更が加えられている。内部に関しても同様で、信号処理部分はほぼ1から設計した形になるという。また、ファームウェアの改良も行なわれており、撮影後のプレビューで拡大ズーム表示を行なう機能や、縦位置撮影した画像の表示方法を細かくカスタマイズできる機能、撮影画像をフォルダー分けせずに最大9999枚までメディアに保存できる機能などが加わった。

背面
背面。操作感に関しては基本的にEOS Kiss Digital Nを踏襲しており、大きな変更点はない
指がかり
EOS Kiss Digital Nに比べて厚みが若干増えているが、その理由のひとつに指がかりの改善がある

フィルム感覚で絵作りを変えられる“ピクチャースタイル”に関しても、デフォルトの6種類に加え、最大3件のユーザー設定が追加されたほか、パソコンでダウンロードしたプロファイルを転送して利用できる機能も用意されている(9月上旬以降、“紅葉”や“ノスタルジア”など、5種類のプロファイルが提供される予定)。

最高1/4000のシャッター速度やE-TTL II自動調光システム、35分割の評価測距、ISO 100~1600相当の感度設定、2軸方向(ブルーとアンバー、マゼンタとグリーン)/9段階のホワイトバランス補正機能などは従来機を踏襲している。

本体は女性にも持ちやすい女性でも持ちやすい軽量コンパクトな本体はEOS Kiss Digital Xでも健在だ

本体サイズは幅126.5×奥行き65×高さ94.2mmで、重量は約510g(本体のみ)。バッテリーは専用のリチウムイオン充電池(NB-2LH)で、EOS Kiss Digital N用のバッテリーグリップにも対応する。CIPA測定法による撮影枚数はストロボなしで500枚、50%ストロボ撮影で360枚(常温)。

また、RAW現像とレタッチ機能を搭載したDPP 2.2のほか、パソコンへの画像取り込みやリモート撮影機能を搭載した『EOS Utility 1.1』、撮影画像の閲覧と整理を行なうための『ZoomBrowser EX/ImageBrowser』などを収録した『EOS DIGITAL Solution Disk』を同梱。これらのソフトは、Windows XP/2000/Me/98 SE、Mac OS X 10.2~10.4に対応する。

EOS Kiss Digital Xの主なスペック
レンズマウント キヤノンEFマウント
撮像素子 有効約1010万画素CMOSイメージセンサー(APS-Cサイズ、22.2×14.8mm)
シャッター速度 1/4000~30秒、バルブ
連写速度 毎秒3コマ、最大27枚(JPEG形式)、約10枚(RAW形式)
液晶ディスプレー 2.5インチTFT(約23万画素)
記録メディア コンパクトフラッシュ TypeI/II(マイクロドライブ対応)
サイズ 幅126.5×奥行き65×高さ94.2mm
重量 約510g(本体のみ)

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