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【INTERVIEW】Jerry Yang氏に影響されてスタートした学生ベンチャーの今――インディゴ孫泰蔵氏、林竜二氏インタビュー


1999年1月7日

 インディゴ(株)は、'96年2月、当時東大生であった孫泰蔵氏を筆頭に学生ばかりで創業した企業である。代表取締役を務める孫氏は、ソフトバンクの孫正義社長の弟。“孫正義の弟が作った学生ベンチャー”として、マスコミにも多くとりあげられたインディゴだが、兄の正義氏からは金銭的な援助をいっさい受けていないという。今回はインディゴの孫泰蔵氏と林竜二氏にインタビューした。

学生バイトかと思ったら億万長者だった
「'96年1月、Yahoo! JAPAN立ち上げのために来日していたJerry Yang(ジェリー・ヤン)に会ったことが、この会社を立ち上げるきっかけとなりました。ウチの兄に『Jerry Yangが来るから会ってみないか』と言われ、そのときソフトバンクのビジネスの場に初めて行きました」

「役員会議室前の待合室に行くと、ジーパン姿のJerry Yangがいたのを覚えています。最初は学生バイトかと思っていたんですが、それがJerry Yang本人だった」

「会議が始まると、億単位の金額が動くビジネスがバンバン決まっていくスピードに、まず驚きました。『いつもこんな調子なのか』と訊いたら、『いつもこんな調子だ』と言う。しかし、最初は超人のように思えたJerry Yangも、実際に話してみるとあまり自分と変わらない一面もあった。どうしようかとあれこれ悩んだりね。で、何かは分からないけど、自分にも何かできるんじゃないかと思った」

 Jerry Yangに触発された孫泰蔵氏は、その1カ月後の'96年2月にはインディゴを設立してしまう。最初は8畳一間、秋葉原で買ってきたパソコン、学生ばかり8人でのスタートとなった。

「Yahoo! JAPANのサービスがスタートしたのが'96年4月。そのスタートに間に合わせるため100人ほどのバイトを雇い、24時間体制でずーっとウェブばかり見ていいました。インディゴとしての初めての仕事が、このYahoo! JAPANの仕事だったのです。そしてYahoo! JAPANの仕事をしながら、『こういうもの(ウェブ)が当たり前になったら世の中はどうなるのか』、『Yahoo!の仕事が終わったらいったいどうするのか』ということを考えていました」

日本で初めてのJava applet集
 Yahoo! JAPANの仕事が終了して2カ月後の'96年7月、インディゴはJava applet集『Java ROM』を発売する。これは日本で初めてのJava applet集となった。孫氏は当時“日本初”の肩書きがどうしても欲しかったという。ただ、自分たちの会社ではJavaのソースは作れてもパッケージの制作や販売まではできない。そこで制作・販売をソフトバンクに依頼することにした。

「ただし、ソフトバンクから資金面での援助などを受けたことは決してありません。兄(孫正義氏)はそういうのが嫌いなので。だからソフトバンクは、ほかの普通の会社と同じようにウチと取り引きしていたはずです」

「当時の私は“取締役”と言っても名前だけ。給料を払うわけでもなく、『もしも儲かったら山分けしよう』って約束で動いていました。正直言って、このころは会社を続けていく気はありませんでした。学生の間はこの会社をやってみて、その上でたまたま“これがやりたい”と思うものが見つかれば続けてもいいけど、そうでなければ卒業と同時にたたむつもりでした。人に迷惑を掛けなければたたんでもいいや……って気持ちでしたね」

2万本売れて本気に
 インディゴの『Java ROM』は予想以上に売れ行きが伸び、結局1万本を売り上げた。気をよくして'96年11月には『Java ROM2』を発売。このときにはサンの製品にバンドルする話などもあって、また1万本売れた。以来、Solarisを使ってのイントラネット構築などで、サンとの関係は続いている。こうした流れのなかで、孫泰蔵氏は“これがやりたい”というものをうまく見つけていったようだ。

「で、いよいよ『本気でやろう』と思い、'97年の4月に本格的に会社をスタートしました。給料を毎月社員に出すようにしたのも、このときからです。事務所も新しい部屋を借りることにしました。今と同じビルの別のフロアで、もっと狭い部屋でした。その後、このフロアに引っ越してきて、今は社員25人ぐらいでやっています」

「ソフトビジネスは世に商品を送り出してから実際にカネが入ってくるまで時間がかかる。『Java ROM』はうまく売れましたが、ソフト開発だけではやっていけないとも思いました」

 インディゴはその後、ソフト開発を続けていくかたわら、イントラネット構築などウェブまわりのサービスを手がけるようになる。

「なにか安定したことをやろうって話になったとき、真っ先に出てきたのが“イントラネット”でした。でも、実は“イントラネット”という言葉以外は何も知らなかった。ちょうどその頃、WebObjectsが出てきたんです。それまではWebObjectsのようなものを見たことがなかったので、これはすごいと思いました」

 『WebObjects』は、データソースをウェブと連携させてサーバーサイドでインタラクティブな処理をするためのツールだ。日本ではキヤノン販売(株)、伊藤忠テクノサイエンス(株)などが製品を扱っている。以前はインタラクティブなWebページを作るためにCGIを使うしかなかったが、『WebObjects』のようなツールが次第に登場してくるようになった。孫氏はこれに目をつけた。

「キヤノン販売でWebObjectsをやっている部署を紹介してもらい、製品を貸してもらいました。『300万円もするソフトなんていったいどんなものだろう』と思ってたんですけど、きてみたら無地のCD-Rが1枚だけだったことが、今でも印象に残っています。普通のホームページだったらいっぱいあるので、システムとしてデータベースを使ったり、あるいはCGIを使ったりして、人とは違うものを作りたかった。WebObjectsはそのためのキーワードでした」

ウェブにこだわりつづけるインディゴ
 WebObjectはツール自体が高価だったため、結局ビジネスとして使うことはなかったという。ただ、WebObjectが与えた影響は大きく、インディゴはその後も一貫してウェブにこだわりつづけることになる。

 1月4日に発表されたばかりの『Survey-D』も、やはりWebによるマーケティング・サービスだ。ホームページを使って15万人近い登録者を対象にアンケート調査を行ない、調査結果をクライアント企業にレポートする。ウェブサーバの管理、アンケート結果の分析などはすべてインディゴ側が行ない、クライアントからアンケート項目を受け取って3時間後にはアンケートを開始できるという。また、アンケートに答えた人には抽選でプレゼントが当たる仕組み。『Survey-D』のサービス自体は昨年12月25日から始まっている。

「インディゴのことを“ベンチャー”として取り上げられることが多いですが、我々は自分たちのことをベンチャーだとは思っていません。日本では、単なる中小企業のことをベンチャーと呼ぶ風潮がありますが、本来ベンチャーとはもっと希少なものです。商売の幹となるべき木を、最初に植えた者だけがベンチャーと名乗れるのではないか、と思います」

「そういう意味で、インディゴはまだベンチャー以前の段階です。しかし今年は、この『Survey-D』を手始めにベンチャー的なものをいろいろ手がけていきます。成功するかどうかはわかりませんが、期待してください」

(報道局 山本誠志)


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