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【INTERVIEW】「ウェブ制作者の半数を占めるテキストエディター派に朗報」--『Macromedia Dreamweaver 2 日本語版』マーケティングマネージャー阿部成行氏に聞く

1999年02月04日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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 マクロメディア(株)は、1月29日より『Macromedia Dreamweaver 2 日本語版』(以下DW2)の販売を開始した。価格はMacintosh版、Windows版ともに3万9,800円。DW2は、外部HTMLソースエディターとの統合やHTMLソースレベルの詳細なコントロール機能を備える。これにより、テキストエディターを主にウェブページ制作を行なっているユーザーにとって作業効率の向上が見込めるツールとなった。発売にあたって、同社マーケティングマネージャーの阿部成行氏にお話を伺った。聞き手は、フリーランスの編集者/ライターである千葉英寿氏。

DW2のマーケティングを担当するマーケティングマネージャーの阿部成行氏 DW2のマーケティングを担当するマーケティングマネージャーの阿部成行氏



ウェブクリエイターの半数はテキストエディター族

----今回、Dreamweaverのはじめてのメジャーアップグレードとなります。DW2ではどういったユーザーをターゲットとしているのですか?

「Dreamweaverはさまざまなアワードを総なめにしている状況でして、米国では大変好調です。プロフェッショナル向けのHTMLエディターツールとしては、Dreamweaverの他にはCyber Studioがある程度です。それもあって、特にプロフェッショナルのユーザーの方に好評です」

「プロのウェブクリエイターの半数がテキストエディターを使っています。それはレイアウトをウェブデザインソフトで実行していながら、最終工程でテキストエディターでいじるのでは効率が悪くなるからです。プロはHTMLソースをいじらなければならない宿命にあるといっていいでしょう。それがテキストエディターとの親和性が高いDW2で解消されたのです。国内でもそうしたテキストエディターを使用するプロのウェブクリエイターの方に使っていただきたいと考えています」

ページ表示での操作が即エディター画面に反映

----「テキストエディタとの親和性が高い」というのは具体的にはどういうことですか?

「はい。DW2は、HTMLのソースを表示する“HTMLソース”画面を備えているのです。このドキュメント画面での操作が、リアルタイムにHTMLソース画面上のソースに反映されます。逆にHTMLソース画面で操作したこともドキュメント画面に反映されます。このHTMLソース画面のテキストエディター以外にも、自分好みのエディターが使える“外部エディタ”の機能があります」

「自分のエディターで作ったソースコードを壊されたり、自分の読みにくいコードに書き換えられるのはプロの方でなくても嫌なことです。DW2ならコードの構造を変更せずに編集することが可能です」

HTMLソース画面にドキュメント画面の操作がリアルタイムに反映される
HTMLソース画面にドキュメント画面の操作がリアルタイムに反映される



----機能の意義はわかりますが、これで操作が重くなったりしないのですか?

「いいえ、そういうことはありません。Mac版は多少重いと感じられるかもしれませんが、さらに最適化が進んでいますので、前バージョンに比べれば十分実用レベルになったと言えると思います。実はこの“重い”というのが、前回のMac版ユーザーの方からの指摘が最も多かった点です。今回はこうした問題を解消することに努力しました」


全体でも部分でもサイトマップを表示

----他の製品に対するDW2のメリットはどこですか?
「やはり、“サイト管理機能”でしょう。ウェブデザイナーの中には、数千というオーダーのページを管理する方も多くいらっしゃいます。こうした作業はデザイナーにとっては最も向かない作業といわれています」

「サイト全体をツリー構造で表示し管理するのは、よくある機能です。しかし、こうした巨大なサイトの構造を表示し、確認したりする作業は大変なものです。いったいどれを基準に見るかわけがわからなくなったりするのです。DW2では、見たい部分にフォーカスして確認することができます」

“ルートとして表示”を選択すれば、見たいサイトの一部分だけ確認できる(図は英語版)
“ルートとして表示”を選択すれば、見たいサイトの一部分だけ確認できる(図は英語版)



HTMLタグも検索置換の対象にできる

「この他にもサイト全体に渡る大規模な検索置換機能や自動リンクチェック機能があります。検索置換機能では、テキストやHTMLに対しててすばやく、簡単に高精度な操作が実行できます。タグも対象にできるのは他にはないと思います」

「また、自動リンクチェック機能により、サイト上のファイルの名称や、場所を変更した場合、自動で検知し、リンクを修正・更新します。 これまで、こうした自動更新ができなかったのですが、DW2はサイトの構造を変えた瞬間にリンク更新ができるようになりました。こうした作業は、全文検索で非常に速く実行します。サイトコードをキャッシュしているのですが、Javaの中も見ているのに速いという点に着目していただきたいですね」

“ファイルの更新”ダイアログでリンクが更新できる(図は英語版)
“ファイルの更新”ダイアログでリンクが更新できる(図は英語版)



テンプレートでデザインとコンテンツとを分離

----これからのウェブサイト制作にはコラボレイティブな部分がますます重要になると思うのですが、ワークフローへの配慮はいかがですか?

「“テンプレート機能”というものがあります。この機能を使えば、ウェブサイトの更新と作成を効率的に行なうためにデザインとコンテンツとを分けることができます。編集可能領域が設定できるHTMLテンプレートを作成することで、ウェブサイトのデザインはそのままでコンテンツだけをすばやく作成し、更新することができます。これはコラボレーションに最も有効な機能でしょう」

編集可能領域を容易に設定したり、解除したりできる。ハイライトされている領域以外は、ロックされる。コンテンツ作成者は、ページのデザインには影響を与えずに、テキストや画像を追加できる
編集可能領域を容易に設定したり、解除したりできる。ハイライトされている領域以外は、ロックされる。コンテンツ作成者は、ページのデザインには影響を与えずに、テキストや画像を追加できる



----XMLへの対応はどうなっていますか?

「XMLはまだ海にものとも山のものともわからないものではありますが、もちろん対応しています。先ほどのテンプレートに XMLコンテンツを読み込んだり、書き出したりできます。これなら今後予想されるインターネットのトレンドにも十分に対応できるはずです」

「以上のように今回のアップグレードでは地味なものが多いように感じられるかも知れません。しかし、プロフェッショナルの現場で役に立つ機能が満載です。なお、統合的なウェブオーサリング環境をお試しいただくCD-ROMを日本独自でバンドルいたします。バンドルするCD-ROMには、『Macromedia Flash 3J Trial版』、『Macromedia Fireworks J Trial版』と、各プロダクトを使用していただくためのチュートリアルを用意しました。使用期限を30日間に制限していますが、製品版とまったく同じ機能を提供しています。統合的なウェブページ制作が実現できます。ぜひ、お試しいただきたいと思います」

 阿部氏の言うように確かに地味目なアップグレードと言える。しかし、その地味さの中に光るものがある、意味深いアップグレードだと筆者(千葉)は感じとった。デザインとインターネットをよく研究しているマクロメディアならではの製品だと言えるだろう。

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