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【INTERVIEW】CGは、10代の女の子を保存するのに最適−−『D's Garage 21』にレギュラー出演中の桃井はるこに聞く


1999年4月30日

アスキー各誌でおなじみの“バーチャリアンコ”こと桃井はるこが、深夜番組『D's Garage 21』(テレビ朝日系列/水曜25時)にレギュラー出演している。この番組は、漫画・ゲーム・CG作品を番組で募集し発表するという、テレビ業界初の試みとなるものだ。このD's Garage 21にてTVレギュラーデビューとなった桃井はるこに、番組や出演の意気込みなどについて話を聞いた。

D's Garage 21に出演中の桃井はるこ
D's Garage 21に出演中の桃井はるこ



桃井はるこ:1977年12月14日生まれ。大学に通うかたわら、トークライブなどをこなすマルチタレントとしての活動も行なう。月刊アスキー誌上の連載ページでは、原稿の執筆はもちろんコンセプト作りまでを一手に引き受けている。『D's Garage 21』では、コメンテーター、取材レポーター、声優の3役を担当する

−−番組における桃井さんのキャラクターは、どういった位置付けになるんでしょう?

「一般の視聴者の方は、CGやマンガ制作といったクリエイティブな作業をされている人たちとは、なじみが薄いと思うんです。『オタクっぽいんじゃないのー』みたいな。だから、クリエイターの視点を持つ人が出演者側にいたらな、と自分としては思うんですよ」

「もちろん、私がその道のエキスパートという意味ではないです。マンガ雑誌の編集長さんも出演したりしてるので、私の立場はあくまでアマチュアとしてです。今、同人誌でマンガを描いている人に、『コイツはなんかわかってくれるぞ』と思わせるみたいな、橋渡し的なキャラになれればいいなと」

“萌え萌え”をわかってくれる連帯感
−−もっと濃いトークをして欲しいと期待しているファンもいると思うのですが

「テレビの中では言いたいことを全部言うことはできないので、うまく伝達できない部分は雑誌連載などで読んでいただければと思っています」

「番組のなかでは、ポッと発した一言から、“こいつはこういうヤツなんだな”みたいなことを感じ取ってもらえればと思います。深夜番組ってみんなが寝てる時間にテレビを見ているわけで、視聴者の間には一種独特な共有感があると思うんです。今日の収録では、CGを見て思わず“萌え萌え〜!”って言っちゃったんですよ。それを聞いて『オレと同じじゃん』って思う人はごくわずかでしょうけど、でもそれって大切なことですよ。草の根的なものをメジャーにできるかも、という面白さがあると感じてます」

マイマシンは東芝の『Libretto SS 1000』。ボディーにはトロピカルなシールが貼られていた。そのほか、故障中ではあるが、フロンティア神代の『チャンドラ』も所持している
マイマシンは東芝の『Libretto SS 1000』。ボディーにはトロピカルなシールが貼られていた。そのほか、故障中ではあるが、フロンティア神代の『チャンドラ』も所持している



−−“萌え萌え”がわからない人にはどう受けとめられたいですか?

「“なんだこいつは、面白いヤツ”みたいに思ってもらればイイです。今は番組を楽しんで、ポンポンと好きなことを言ってられればいい、という感じです」

「雑誌でも連載を始めたばかりの頃は、ここで何を書いたらいいんだろうと、書きたいことがわからなくなったりしましたけど、今は肩の力が抜けてきました。テレビでも余裕が出るようになったら、もっと自分なりの表現ができる場になっていくのではないかなと思います」

CGは、10代の女の子を保存するのに最適の技術
−−番組で紹介されているようなCGに、元々興味があったのですか?

「セガサターンの『デジタル ダンス ミックス 安室奈美恵』っていうソフトを見て、モーションキャプチャーに興味が出ましたね。私はアイドルフリークなんですけど、これって10代の可愛い女のコを保存するにはいい手段なんじゃないかと。CDなら歌を歌わせて声を録音するわけだし、イメージビデオみたいに決められた演技をさせて撮るとかはあるけど、“動き”そのものをCGとして保存することがこれならできる。CGは、人間の存在そのものを保存することができる新しいメディアなんだなと思いました」

−−バーチャルアイドルについてはどう思いますか?

「CGは、私達が生きている縦×横×高さみたいな三次元を表現できるところが面白いです。台湾で“アダム”っていうバーチャルアイドルが流行してるじゃないですか。番組でもそういうキャラを造って、“これはCG”とか言わずに、スタッフの1人として出演させたら面白いと思う。今、“理想の男の子、女の子”という作品を番組内で募集しているんですよ」

「アイドルって着ぐるみショーみたいなものですよ。誰かが、アイドルっていう衣装を着てそのアイドルを演じているんです。だから、アイドルを演じてる女の子と仲良くなったからといって、アイドルそのものと仲良くなったわけではないですよね。それに、その本人が“あー疲れた、タバコスパー”みたいなところは、見たくないじゃないですか。逆にCGであれば、そんな心配はいらないです」

「実際、本人に会ったことがないのにファンになるというのは、ものすごくクリエイティブな作業だと思います。アイドルを好きになるのは自分探し、みたいな。CGの女のコはそもそも実生活がないわけですよ。その子にストーリーをつけてあげられればいいんじゃないかと」

−−では、もあいはるこ(*)のファンが、桃井はるこに近づこうとしたら?

「はあー、なに言ってんの、と(笑)。そういうことが表現したくて、もあいはるこを演ってるんですよ」

注:もあいはるこ:桃井はるこがプロデュースする、バーチャルアイドル。扮するのは、桃井はるこ自身

桃井さんの携帯デジタルグッズ。上から時計回りに、文字電話、携帯電話、PHS、ワンダースワン
桃井さんの携帯デジタルグッズ。上から時計回りに、文字電話、携帯電話、PHS、ワンダースワン



−−結局、テレビに出演している桃井さんは何者なのでしょう?

「あなたは何者と聞かれると困る。編集者で、ライターで、作詞家で、ラジオに出ていて、バーチャリアンコで(笑)。結果、何になるのかわからないですけど、今は何でもやりたいので挑戦しています。アイドルと言われればまんざらでもない気はしますけど(笑)」

「でも、私がアイドルと言ってしまうと、本物のアイドルや本気でアイドルになりたがっている子に申し訳ない感じがします。私は、みんなの重い幻想を背負って生きていくことはできないですよ。悪いこともいっぱいしていますしね(笑)」

---それでは、最後に番組の視聴者に一言お願いします

「D's Garage 21を見ているテレビの前には、クリエーターに憧れる、昔の私みたいな人がいるわけです。そういう人が、夢を見てくれたら、夢を掴めるチャンスがあったらいいなって思っています」

「私がここまで来れたのは、渡辺浩弐さんとか、ネットで会った人とか、トークライブのお客さんとか、周りにアドバイスをしてくれた人がいたおかげだと思います。今度は私が、逆に何か言ってあげられる人になりたいです」

『D's Garage 21』より
『D's Garage 21』より



『D's Garage 21』とは
それでは、『D's Garage 21』とはどういう番組であろうか? 番組を企画した、(株)テレビ朝日ミュージックの吉田正夫常務取締役に同番組について解説してもらった。

『D's Garage 21』のDとはドリーム、ディレクター、デザイン、Departureのこと。番組のコンセプトとしてイメージされたのは、自宅ガレージでの作業から成長していった、米国のデジタル企業(=ガレージカンパニー)だという。

(株)テレビ朝日ミュージックの吉田正夫常務取締役
(株)テレビ朝日ミュージックの吉田正夫常務取締役


−−番組の趣旨は何でしょうか?

「オタクと言われていた人々のクリエーティビティーを、テレビを通じて発表しようというものです。特にCGに関しては、漫画にはコミックマーケットや出版社への持ち込みという手段があるのと違って、デビューするためのルートがこれまで開拓されていなかったわけです」

−−視聴者の反響は?

「『designPlex』や『ぱふ』などの専門誌で、事前に番組の告知をしてきました。現在のところ、CGとオリジナルマンガをあわせて250作品、ゲームで100作品が寄せられています(4月30日現在)。視聴率は3.1パーセントで、同時間帯内の占拠率は1位。特に、作品を流しているときの視聴率がぐんと上がる傾向があります」

−−作品の審査員は?

「『D's Garage 21』企画会議に加えて、プロの作家にも担当してもらっています」

−−今後の展開は?

「CG作品を作るクリエーターの才能は、キャラクター、ストーリー、技術、プロデュースの4分野に分けられるものだと思います。そのすべてを兼ね備える人は、まずいません。いずれかの才能が優れたクリエーターを集めてユニットを結成し、作品制作をしてもらいます。その作品を特番で紹介することを考えています。番組を1、2クール(13、26回)で終わらせるつもりはありません。日々進化しているシーンですから、続けることに意味を持つのです」

同番組のサイトは、ゴールデンウィーク明けに公開することを目指して制作中とのこと。番組中ではその一部しか紹介できなかった優秀作品については、作品全体を放映するコーナーなどを予定している。

同社には、インディーズバンド発掘番組『BREAKOUT』を成功させた実績があり、素人発掘番組には自信があるという。CG自宅クリエーターのハートにどこまで食い込めるかが、これから番組が発展できるかどうかのキーとなるであろう。

(編集部 伊藤咲子)


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