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【INTERVIEW】「世界中の仲間と、チャットを楽しめます」--GOOEYの開発元、Hypernix社のYaron Zilberman氏に聞く

1999年07月08日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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『GOOEY』(グーイー)というチャットツールをご存知だろうか。6月14日に発表されたばかりのGOOEYは、同じサイトにアクセスしているユーザー同士でチャットができるというコミュニケーションツール。フリーウェアとして、自由にダウンロードすることができる。

GOOEYの特徴は、インターネットに接続さえしていれば、いつでもチャットが楽しめるというところにある。同じサイトに集まっているユーザー全員とチャットができるので、似たような趣味を持つ仲間を見つけるのに最適のツールだ。

GOOEYのデモ画面。チャットは下のウインドーに表示される。右下のウインドーには、同じサイト内にいるGOOEYユーザーが表示される
GOOEYのデモ画面。チャットは下のウインドーに表示される。右下のウインドーには、同じサイト内にいるGOOEYユーザーが表示される



GOOEYの開発元は、イスラエルに本社を置くHypernix(ハイパーニクス)社。GOOEYの開発を目的として、今年1月に設立されたばかりの若い会社だ。設立メンバーには弁護士、映画台本作家、金融専門家が名を連ねており、同社がコンセプト先行型のベンチャー企業であることを匂わせている。

今回は、Hypernix社のCFOであるYaron Zilberman氏に、日本市場での展開を中心に話を聞いた。


毎日1000人以上の新規ユーザーを獲得

--6月14日からダウンロードによる配布を開始したそうですが、現在の登録ユーザー数は?

「最初の2週間で、2万1000人のユーザーが登録を行ないました。私がイスラエルを出発した先週までに、ユーザー数は3万人を突破しています」

--現在は英語版のみの提供ですが、日本人の登録ユーザーはどれくらいいますか?

「GOOEYの登録者は16ヵ国に広がっており、日本のユーザー数は全体で10番目となっています」

Zilberman氏は今回、イスラエル→ロンドン→東京→サンフランシスコ→ニューヨークと、世界一周ベースで営業活動を行なっているという Zilberman氏は今回、イスラエル→ロンドン→東京→サンフランシスコ→ニューヨークと、世界一周ベースで営業活動を行なっているという



--GOOEYでは日本語でもチャットを楽しむことができますが、日本語版を開発する予定は?

「2週間後を目処に、開発を始める予定です。当社では日本を重要なマーケットと捉えており、日本語版の開発ではインターフェースや登録メニューなど、すべての部分を日本語化する予定です」

--日本語版の開発は自社で行なうのでしょうか?

「いえ、日本でのパートナーにお願いする予定です。実は、日本でのパートナーとしては、アスキーと話を進めているところなんですよ」

--ユーザーの登録データを管理するサーバーも、日本に設置するのでしょうか?

「登録サーバーはニューヨークにありますが、セキュリティーに万全を期すために当面はこれ1台でいく予定です。日本には、ダウンロード用のサーバーを置こうと考えています」

英語版でも、ユーザー登録の際には日本(Japan)と入力することが可能だ
英語版でも、ユーザー登録の際には日本(Japan)と入力することが可能だ



満を持したアップデートを実施!

--現行バージョンのGOOEYにはファイアウォールを超えることができないという致命的な欠陥があります

「当社でもその点は認識しており、最優先で解決すべき問題だと捉えています。ファイアウォールに対応していないのは、決して技術的に困難だからではありません。次期バージョンで、この問題は解決されます」

--次期バージョンは、いつごろのリリースを予定しているのでしょうか?

「次期バージョンのVer1.0は1ヵ月後を目処に開発しており、どんなに遅くなっても3ヵ月以内には必ずリリースします。また、マック版の開発も並行して進めています。こちらは3週間後くらいからダウンロードできるようになると思います」

ちなみに、現行バージョンは“1.0 Beta”。開発中のマック版はこの1.0 Betaがベースとなっている。


--Ver1.0では、ほかにどんな点がアップデートされるのでしょうか?

「ほとんどすべての面で、グレードアップするとお考えになって結構です。ユーザーからのフィードバックを元に、多くの機能を付け加えました」

「まず、ICQのように、各ユーザーが固有のIDを持てるようになります。具体的には、ユーザーが登録するニックネームのあとに、Hypernixのサーバーがユニークな名前を付け加えるのです。この方法を使うことで、各ユーザーが一意性のある名前を持てるようになります」

「現行のBeta版では、同じニックネームを持つユーザーがチャットする場合、ウインドーには同じ名前が表示されてしまい、それぞれを区別することができません。そこでVer1.0では、同じ名前のユーザーがいた場合、自動的に通し番号を付け加えるようにします」

--GOOEYが普及していくと、人気の高いサイトでは何百人ものGOOEYユーザーが接続していることになり、大変なことになるのではないですか?

「ユーザーがたくさん増えることは、当社にとっては嬉しいことなんですけどね(笑)。もちろんその点も当社では認識しており、Ver1.0でクリアーしていきます」

「Ver1.0では、ユーザー名を表示するウインドー1つあたり、100人程度の表示にとどめます。そしてそのウインドーを10個まで、切り替えて利用できるようにします。もし、あるウインドー内でのチャットがつまらなかったら、別のウインドーでのチャットに移ることができるというわけです」

「また、最初に登録したユーザープロフィールを応用することで、特定のグループでセグメントを分けることも考えています。たとえば、日本人だけが表示されるようなウインドーを設定すれば、日本語だけでのチャットが楽しめるというわけです」

ユーザー名を表示するウインドー。右上にある“縦棒”のボタンをクリックすることで、デスクトップの右側に常駐させることができる ユーザー名を表示するウインドー。右上にある“縦棒”のボタンをクリックすることで、デスクトップの右側に常駐させることができる



仲間うちのチャットにも、見知らぬ人とのチャットにも対応したツール

--GOOEYでは、チャットウインドー内で日本語が使えるのが便利です。ですがこの場合、他の国のユーザーにとっては、チャットウインドーに文字化けが表示されることになりますよね?

「GOOEYは、各国の文化を尊重するツールになり得ると思います。たとえば、日本語で書かれたサイトを見に行くのは、ほとんどが日本のユーザーでしょう。そういったサイトでは、全員が日本語でチャットを楽しむといいと思います」

「そして、今度はアメリカのサイトに行ったとしましょう。そのときは、みんなが英語でチャットしていることにスグ気づくはずです。そのときは、日本の方も英語でのチャットに参加すればいいのです。GOOEYはこのように、特定の言語で書かれたサイトにはその言語を理解できる人たちが集まるという法則を、コミュニケーションに活かすことができるのです」

「たとえば、GOOEYのユーザーには、アラブ首長国連邦(UAE)の人たちがいます。彼らはあの独特なアラビック文字で、チャットを楽しんでいるんです。アラビア語に対応したソフトはまだ数少ないですが、GOOEYなら問題なく対応できるのです」

--見知らぬ人とチャットをすることに抵抗感を感じるユーザーもいますが、そういったユーザーでもGOOEYを楽しむことは可能でしょうか?

「GOOEYには、2つの利用法があると思います。ひとつは、インターネット上で見知らぬ人たちと出会うためのツールとして使うことです」

「そしてもうひとつは、特定の友人たちとチャットを楽しむことです。この方法は簡単で、時間を決めて特定のサイトに集まればいいんですよ。自分で立ち上げたサイトのURLを友人に教えることで、インターネット上に待ち合わせ場所を作ることもできると思います」

「Ver1.0では、チャット中に新しいメンバーが入ってきたとき、ツールバーのアイコンを点滅させるという機能を追加する予定です。また、チャット内の任意のメンバーにメッセージを送る機能も追加します。これを利用すれば、気のあった仲間に集合場所のURLを教えて、別のサイトに集まってもらうということができるようになるでしょう」

開発のキッカケは日本のサイト

--では、GOOEYを開発するに至った経緯について教えてください

「GOOEYのコンセプトを考えたのは、Hypernix社のメンバーでもある2人の映画関係者でした。彼らはアート関係のドキュメンタリーフィルムを作るために世界中のサイトをチェックしていました。そのうち、日本にあるおもしろいサイトを見つけたのです」

「それは、画面上に電球が並べられていて、しかもそれらを自由に点灯させたり消したりできるというものでした。そのサイトを見ていた2人はそのうち、その点滅を利用してコミュニケーションを取っているユーザーがいることに気がついたのです」

「そこで2人は、特定のサイトに集まったユーザーが互いにコミュニケートできるツールがあればいいと考えたんです。そのアイデアが、GOOEYのベースとなりました」

このサイトは、岐阜県にある情報産業団地のソフトピアジャパン内にある“Light on the Net Project”のこと。慶應義塾大学の藤幡正樹助教授が中心となって開設された。

--そのアイデアをビジネスモデルにするために、Hypernixを設立されたのですか?

「当初はあくまで、“ユーザーにとってベストなツールを作りたい”という一心で開発を始めました。“ネット上で、見知らぬ人たちとコミュニケーションを取る”ことが実現できれば考えたのです。今でも、ユーザーのことを第一に考えて開発を進めています」

--では、実際のビジネスプランについて教えてください

「ご存知の通り、GOOEYを利用するにあたって、ユーザーは登録料などを払う必要はありません。Hypernix社の収益は、おもにGOOEY上に表示する広告バナーでまかないます。現在はクライアントやスポンサーを探していうrところです」

チャットウインドーの右側に広告バナーが表示される
チャットウインドーの右側に広告バナーが表示される



--その広告バナーは、登録者の国別に違うものが表示されたりするのでしょうか?

「当社としてはユーザーの国籍にではなく、訪れるサイトに応じてバナーを変えていくつもりです。そもそもインターネットはワールドワイドなものですし、GOOEY自体、国境や言語の壁を超えてコミュニケーションを取ることを目的としています」

「ですから、当社が注目したいのは、“どこの国の人が使っているか”ではなく、“どこの国のサイトを楽しんでいるか”なのです。クライアントもできるだけ、ワールドワイドで共通なバナーを利用できるところを探しています」

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