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【INTERVIEW】国際大学対抗プログラミングコンテストアジア地区予選――開催者の立場から


1999年12月7日

12月の3、4日に、京都リサーチパーク(KRP)で行なわれた、ACM国際大学対抗プログラミングコンテストアジア地区予選京都大会。その実行委員長を務めた京都大学大学院情報学研究科の湯淺太一教授、現場の総指揮にあたった同大学の垂水浩幸助教授、そして、審判長を務めた東京大学新領域創成科学研究科の近山隆教授の3名に、今大会についてインタビューさせていただいた。

京都大会実行委員長、京都大学の湯淺太一教授
京都大会実行委員長、京都大学の湯淺太一教授



―――今回の大会はいつ頃から準備をはじめられたのですか?

湯淺教授:京都大学を中心に実行委員会を結成する前から、オンライン上でやりとりしはじめていたのですが、会場見学も兼ねて委員が全国から集まって、顔を合わせたのは6月頃です。それ以降は、またすべてメールでやりとりしていました。ですから、今日までずっと会議をしていたような感じです(笑)。コンテストの部は、大きなトラブルもなく、とりあえず無事終了して少しほっとしています。

―――京都で開催するにあたって苦労されたことはありますか?

湯淺教授:特に大きな苦労というよりも、プレッシャーがありましたね。昨年開催された、早稲田大学の先生方にアドバイスをもらったんですが、会場が2つに分かれて苦労したとかいう話を聞いて、今年は1ヵ所にしようとか、いろいろ考えました。運良く今回のような場所(KRP)が借りられたのですが、それが結果的にどうだったのかは、これから委員のメンバーとも検討していきたいところです。

しかし、(この京都大会は)ほとんど手作りで行なわれたわけですが、コンピューターのセッティングなどで企業に協力いただいたり、ボランティアの先生たちや学生たちもがんばってくれました。

―――今後の大会に期待されることは?

湯浅教授:今回は、昨年よりも学生たちのレベルが一気に上がっていて、我々も驚かされました。これからもっと参加者が増えるように、大学単位で力を入れていくといった流れが出てくるといいですね。

実施委員長、京都大学の垂水浩幸助教授
実施委員長、京都大学の垂水浩幸助教授



―――垂水教授、司会進行役おつかれさまでした。今回の大会の感想はいかがでしたか?

垂水教授:今回は参加者の3分の1が海外チームということもあり、国際的な雰囲気で開催できたのがよかったと思います。大会はアジア地区予選といえども本選と同じルールで、司会進行から問題提出、会場内の会話もすべて英語が基本。アジアの学生たちにとってはハンデでもありますが、それを乗り越えて、お互いに交流を深め、いい意味でのライバル意識を燃やしていってほしいですね。

アジア圏でもだんだんと(世界大会での)上位入賞チームも増えてきていますし、こうした大会は、大学の伝統行事みたいになって、学校全体でチャレンジするというムードも必要なので、今回の大会経験は貴重なものになったと思います。

―――次回への課題はありますか

垂水教授:ACM国際大学対抗プログラミングコンテストは'70年から開催されており、スポーツのように、学生たちがプログラミングの技術を競える数少ない大会なのです。海外では、このコンテストの優勝を目指してチームを組んだり、コーチングをしている大学もあるぐらいなのですが、日本ではまだまだマイナーな存在。もっと認知されるようになれば、国際大会の出場を目標にする学生や大学も増えてくるでしょう。それが、プログラミングという世界全体のレベルを引き上げることにもなっていくと思います。

あと、もう1つ上げるとすれば、混成チームも含めて、もう少し女性も増えてきてほしいですね。今回は予選では結構女子大の参加もあったのですが、たまたま予選に残らなくて、残念でした。

―――今回、気になるチームなどはありましたか?

垂水教授:昨年はシンガポールのチームが優勝したのですが、今年は、韓国のチームがかなり力をつけていると聞いていました。韓国の大学はPascalの教育に力を入れているみたいですね。その他は、驚異的にタイピングが速いとか、コーディングが得意だとか、個人の実力みたいなものもあります。そうした特質を見たうえでチームを組んでくるところもあり、優勝した中国のTsinghua大学なども含め、海外のコーチは熱心でしたね。

あと、6ヵ所で開催されるアジア地区大会のうち、どこでも出場できるので、自分に合った場所や、あえて海外で参戦するということも、これから増えてくるでしょう。質問の相性もありますが、プログラム言語の選び方や作戦の組み方など、勝つためのポイントはいろいろあるので、来年の筑波大会では、さらにレベルの高い勝負になると期待しています。

京都大会審判長、東京大学の近山隆教授
京都大会審判長、東京大学の近山隆教授



―――審判員は何名で構成されているのですか?

近山教授:全員で13名です。そのうち出題を担当した先生が8名いますが、その選出は実行委員会が行ない、最終的には、メールで調整しながら内容を決めていきました。万が一のためにメールのやりとりはすべて暗号化して行なうなど、国際大会だけにいろいろ気を使いました。

―――実際の審判はどういう方法で行なわれたのですか?

近山教授:集計そのものは、米国カリフォルニア州サクラメント市にあるカリフォルニア州立大学が作った「PC*2」(PC二乗)というシステムを使って行ないます。これは、今回のようなコンテストでよく使われているツールで、Windowsベースの場合はこのツールを選択する場合が多いようです。

サブミットされた問題の番号が叫ばれると、担当の先生が端末にアクセスして、答えを確認する
サブミットされた問題の番号が叫ばれると、担当の先生が端末にアクセスして、答えを確認する



具体的には、学生からサブミット(送信)された問題をネットワークで受け取り、あらかじめ用意されている答えと照らし合わせて確認し、正解であればポイントがに加算されていきます。プログラムはすべてきっちり合っていなければ正解というのではなく、ある程度、正解の幅がありますので、最終的な確認は問題を作った先生が担当します。とはいえ、同じ問題への答えが一斉にサブミットされる場合もあり、その場合は、きちんと分担できるようにしています。すべてにおいて、コンテストのルールがあるので、それを基本にしています。

端末だけではなくホワイトボードも使って再確認も行なう
端末だけではなくホワイトボードも使って再確認も行なう



―――インターネットへの中継もここで行なわれているのですね

近山教授:中継は学生たちが中心になってやってくれました。ただし、結果報告と言っても、中継用の端末とネットワークは、審判が使っているものとは完全に切り離して行なわれます。先日の国内予選でも同じように、手作業で中継が行なわれました。

会場をデジタルカメラとビデオで取材するスタッフたち
会場をデジタルカメラとビデオで取材するスタッフたち



―――審判の内容についてはいかがでしたか?

近山教授:制限時間内に全問解答するチームが3つもあって、レベルが上がってきたと感じました。地味な作業ながらも、ドラマもありますし。審査中は何番のチームがどこの大学かがわからないようになっていますが、このチームはタイピングが速いとか、プログラミングにどう特徴があるとかはわかりますしね。中にはすごいプログラミングをしてくるチームもあって、我々も勉強になっています。審判もだんだんと慣れてきて、出題ももっと工夫できるようになってくるといいですね。

(野々下裕子 )


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