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【INTERVIEW】『人間DOG』から『ドッグ.コム』へ――トミーのロボットプロジェクト課長の桐迫修氏に聞く


2000年7月24日

(株)トミーは、3月開催の“東京おもちゃショー”で開発中のロボット数点を公開した。その中でも『人間DOG』と名付けられた“大阪弁を話すペットロボット”はそのユニークなキャラクターと機能で話題になったが、このたび名称を『ドッグ.コム』(ドッグドットコム)として11月に発売することを正式に発表し、7月19日の年末商談会で披露した。

トミーのペットロボット『ドッグ.コム』。本体カラーは、開発当初の金色からメタリックブルーに変更された
トミーのペットロボット『ドッグ.コム』。本体カラーは、開発当初の金色からメタリックブルーに変更された



ドッグ.コムは4足歩行の犬型コミュニケーションロボット。頭部/背中/のど/鼻に接触センサーを搭載しており、その部分をなでると反応する。また、転倒した際に機能し助けを求めるための傾きセンサーや、音センサー光センサーと、合計7つのセンサーを備えている。 他のペットロボットと異なる特徴は、日本語を話すということ。購入当初は“ワンワン”としか話せないが、なでたりしてコミュニケーションを図っていくと成長し、日本語を話すようになる。 また、接し方次第で性格が“良い子”“おせっかい”“泣き虫”“甘えん坊”“仮面優等生”“様子見くん”“タカビー”“いじけ虫”“反社会派”“ミーハー”“クール”“デンパ系”“悪い子”“うそつき”“ご隠居”“無関心”の16通りに分かれる仕組みとなっており、性格によって話す言葉が異なる。この性格は、その日の接し方によって毎日でも変わるという。話し言葉の総数は795種類。なお、人間DOGでは大阪弁のオヤジ声だったが、ドッグ.コムは標準語がメイン。声は声優の桑島法子さん(機動戦艦ナデシコ/ミスマル・ユリカ役、怪盗ジャンヌ/ジャンヌ、日下部まろん役、等)が担当している。 内蔵モーターは6つで、脚は付け根部分だけが動く。そのほか、尻尾と頭とまぶたが可動する。電源は充電式のニカド電池で、約1時間動く。本体サイズは幅300×奥行き140×高さ210mmで、重量は1kg。人間DOGよりひと回りほど小型になっている。11月発売で、価格は1万4800円。

20歳代の女性がターゲット
ASCII24では、商談会場にて同社のトイ事業本部商品企画部ロボットプロジェクト課長である桐迫修氏に変更の経緯などについて話をうかがった。

――『人間DOG』を発表してからいろいろなヒアリングをしたということですが?

桐迫氏「ええ、おもちゃショーは格好の調査の場でしたから、当初想定していた20歳前後の女性を中心にヒアリングしました。その結果、まず値段の上限が2万円ということがわかった。携帯電話の新機種の上限が2万円なんですが、それくらいの値段なら、価値があると認めたものにはお金を払うということです」

――それで1万4800円になったわけですね。イチキュッパというラインもありますが。

桐迫氏「そこをぐっと圧縮して、だいたい1万5000円かなと。ただ1万円以下にしちゃうと本来は高度なことをやっているのに陳腐なものになっちゃうんですね」

――なくなってほしくない機能がなくなっちゃうと

桐迫氏「ええ、そういうことです。例えば歩けなくなると困る。ですから値段的な目標は何とか達成できたと思っています」

――当初から20歳前後がターゲットだったんですか?

桐迫氏「そうですね。年齢的にも上のほう向けに味付けをしました。言葉を話すということをアピールするとき、上の年齢を対象にしたほうが面白いものができると思ったわけです」

――中学生くらいの女の子も興味を持つかもしれませんが?

桐迫氏「ただ、彼女たちの年齢だとほかに楽しいことがいっぱいあるんですよ。雑貨やアクセサリーに目がいったりして難しいターゲットなんです。ですから、小学生くらいの親におねだりできる年齢や、購買力のあるOLがターゲットになったわけです」

16種類の性格と800のフレーズ
――製品にリモコンはついてないんですか?

桐迫氏「ありません。あくまでも生きている感じを出したいので“操作している”という要素は排除しています」

――箱から出してスイッチを入れるとあとはずっと動くと……

桐迫氏「そうです。自分だけで行動するようになります。持ち主との関係は対等だったり友達だったりしますが」

――充電器はついてますか? お座り型とか

桐迫氏「そこまでいくとコストがかかるので、普通のACアダプターがついています。胸のあたりにつなぎます」

――バッテリーがなくなるとどうなりますか?

桐迫氏「いま考えているのは、お座り状態でまぶたを閉じて待機モードになるようにしたいですね。頭をたたいたりするとまた起きるような」

――4種類7つのセンサーを内蔵していますが、これらのセンス情報はみんな記録されているわけですね

桐迫氏「ええ。コストはかかりますが。ユーザーとどう触れあったかなどを記録しています」

――音声などはROMに記録されているわけですね

桐迫氏「そうです。声は文章で入っていて、そのフレーズが800近く入っています」

――合成ではないということですか

桐迫氏「音声合成で単語をつなぐと、性格が16種類あって適時に変えるというコンセプトがあるので、正しいイントネーションが表現できないんです」

――800種類もあると滅多に聴けない言葉もあるのでは?

桐迫氏「ありますね。接し方で変わります。ただ、それを育て方次第、育成型だと言うと、“まただ”と思われるので、あえて言わないのですが。毎日の接し方によって触ったりするとある性格にいくという感じです。育成には終わりがあるんですよ。最後になると遊びが終わっちゃうんです。その点、これは、最初は犬で、だんだん言葉をしゃべるようになります。そこだけは育成かもしれませんが、本当の遊びはそのあとからです」

――最初は犬なんですか?

桐迫氏「最初は“ワンワン”って鳴くだけですが、しばらくすると『〜だワン』という感じになって、その後人間の言葉を話します。そして、16の性格のどれかになります。付き合っていくうちに、その性格も変わってくるわけです。16の性格を全部出すのは大変ですよ(笑)」

――『あ、いま何か見えました』と突然言い出す“デンパ系”という性格もありますね(笑)

桐迫氏「センサーを何回叩けばいいとか、そういうものではないんです。いろいろな接し方によるわけです」

――とすると、性格の表われ方なども大事ですよね。こういう製品は意外なコトを言うことでだんだん擬人化されていく要素があると思うんですよ

桐迫氏「そうですね。これから微調整に入るところです」

ペットが飼えないひとにむけて
――開発チームには女性スタッフが多いそうですが

桐迫氏「おかげで男性ではわからない意見がたくさん出てきます。色もそうです。最初は金色だったのですが、その後ピンクにしようということになったのです。ピンクのクマ(So-netのモモ)が売れていたりしたので(笑)。でも、いざ作ってみると毛をむしった犬のように見えちゃって。それで、いろいろヒアリングしたところ、女の子は中学生くらいになるとピンクをわざと毛嫌いするらしんですね。子供じゃないんだとアピールをするらしい。そういう場合はブルーのほうがいいらしいと。こんな女性スタッフの声があってブルーにしたわけです」

ピンクからメタリックブルーに仕様変更になったのはごく最近。商談会の資料作成時点ではまだピンクだったという
ピンクからメタリックブルーに仕様変更になったのはごく最近。商談会の資料作成時点ではまだピンクだったという



3月に開催された“2000東京おもちゃショー”に参考出展した『人間DOG』。来場者からは『なんで(本体の色が)金なの?』という問いが多かったとか。「金色よりもブルーのほうが部屋のインテリアにマッチするんですよ。金色だと妙に目立って、浮いてしまうでしょう?」(桐迫氏)
3月に開催された“2000東京おもちゃショー”に参考出展した『人間DOG』。来場者からは『なんで(本体の色が)金なの?』という問いが多かったとか。「金色よりもブルーのほうが部屋のインテリアにマッチするんですよ。金色だと妙に目立って、浮いてしまうでしょう?」(桐迫氏)



――色のバリエーションは?

桐迫氏「今はないです。ただしいずれは考えたいと思います。今回の製品はロボット市場への本格的な足がかりを築くためのものですからね。そのあとはまたいろいろ考えていきます」

――おもちゃショウでは2足歩行ロボットも公開しましたね

桐迫氏「2足歩行ロボットは研究中です。ロボットって普通のおもちゃに比べて開発期間が相当かかるんですよ。ただ、やってみることでノウハウは確実に蓄積されますからね。目先の売れる売れないだけじゃなくて、もちろん売れないといけませんが、次のステップへ確実につながると思っています」

――これはどちらかというと女の子向けですが、男の子向けのロボットは?

桐迫氏「やはりバトルロボットや格闘モノなどになるでしょうね」

――30代のオトナがグっとくるようなもの。たとえばおもちゃショーで見せた2足歩行モノのようなものはどうですか?

桐迫氏「あれは“遊び”の面でどうなるかまだわからないんです。おもちゃには自分から関わるという“関わり合い”の要素がないと難しいんですよ」

――こういう製品は、文章で書いても面白さがなかなか伝わりにくいですね

桐迫氏「商談会場で公開している試作品も、数日前には動かなかったんです。ケーブルをつないで動かしてみたのですが、けっこうカワイイんですよ。目を動かすだけでもいきいきとして、命が吹き込まれたような感じになる。製品には操作マニュアルはないと思ってください。付き合い方ブックみたいなものを入れようと思っています」

――名前が変わりましたが

桐迫氏「名前の『ドッグ.コム』にも背景ストーリーがあるんです。犬ロボットの開発をしている最中にメールの混信があって、そのメールの文章を犬が吸収、話す能力を得たというものです」

――ふふふ。コミュニケーションの意味もあるんですよね

桐迫氏「そうです。そういえばおもちゃショーにご家族で来られたかたがいたのですが、ロボット犬が出ているというので見に来たって言うんです。マンションに住んでいて本物の犬が飼えないからということらしいのですが、ホントにそういう目的で買う人がいるんだなあってびっくりしました」

――そういう方たちに買ってもらえるといいわけですよね(笑)

桐迫氏「ええ、もちろんです。来春発売の『アイサイビー』ともども、よろしくお願いしますね(笑)」


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