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「年末のデスクトップはCeleronとPentium 4に」──米インテル、チャンドラシーカ副社長


2001年4月23日

17〜19日に“インテル・デベロッパ・フォーラム 2001 Spring Japan”が千代田区の東京国際フォーラムで開催された。ASCII24では、18日に基調講演を行なった、米インテル社副社長兼マーケティング統轄本部ディレクターのアナンド・チャンドラシーカ(Anand Chandrasekher)氏(※1)に、単独インタビューを行ない、今後のプロセッサー戦略について尋ねた。

アナンド・チャンドラシーカ副社長
米インテル社副社長兼マーケティング統轄本部ディレクターのアナンド・チャンドラシーカ氏

チャンドラシーカ氏はインテルのパソコンおよびサーバー向けプロセッサーであるIA-32、IA-64(※2)のすべてのマーケティングを知る人物。聞き手は連載コラムでおなじみの塩田紳二氏。

※2 IA-32、IA-64:IAとは“インテルアーキテクチャー”のことで、IA-32は32bitプロセッサーであるCeleron、Pentium III、Pentium 4を指す。IA-64はItaniumを指している。

Pentium IIIはニッチ市場向けに

[塩田] Pentium 4の今後の展開はどうなるのか?

[チャンドラシーカ氏] Pentium 4の立ち上がりはうまくいっており、2001年下期からは企業向けパソコンへの展開も開始される。ただし、日本では省スペースデスクトップの需要が強いため、立ち上がりが少し遅れている。コストも重要な普及のためのポイントだが、これも下がってきている。日本でも20万円を切るシステムがいくつも登場している。今年の12月の時点で、デスクトップパソコンのプロセッサー全体の50%までPentium 4の比率を上げる予定だ。現在はデスクトップ全体のうち、30%がCeleronを使うバリューPCなので、パフォーマンスデスクトップという範囲で見れば、この割合はもう少し高くなるだろう。

[塩田] そうなると年末の時点でのPentium IIIの位置づけはどうなるのか?

[チャンドラシーカ氏] Pentium IIIは、世界全体で見れば、ニッチな市場向けとなるだろう。ただし、いくつかの地域では、少し事情が違ってくる。日本では、前述のように省スペースデスクトップが重視されており、Pentium IIIが残る割合は少し高くなるだろう。しかし、多少の時間のずれはあるにしても、いずれは、他の地域と同じようになると思う。結局、12月の時点では、デスクトップ市場は、Pentium 4とCeleronがほとんどを占めるはずだ。Pentium IIIがなくなり、Celeronを残すのは、それがバリューPC向けのブランドだからだ。ただし、名前はCeleronのままだが、機能は順次強化していく。

[塩田] 米国で開かれたIDFで、超低電圧版のPentium IIIを使った小型サーバープラットフォーム“UltraDense”を発表していたが、モバイル以外では、Pentium IIIが残るのはここになるのか?

[チャンドラシーカ氏] Pentium IIIは、今年の12月の時点でデスクトップ市場はほとんど無くなるのだが、モバイル分野では依然として残る。また、ここに対しては、6〜7月時点で0.13μmプロセス版のPentium III(Tualatin)を投入する。モバイルとサーバー分野では、Pentium IIIはまだ大きな役割を持つ。サーバーマーケットでは、Pentium IIIは、Front-endと呼ばれる分野で主に利用される。これは、サーバー分野の約80%を占める領域だ。もともと、テレコミュニケーション分野では、集積度の高いサーバーが要求されていた。

インテルによるエンタープライズ向けコンピューターのセグメント分け
インテルによるエンタープライズ向けコンピューターのセグメント分け。サーバーを“Front-end”“Mid-tier”“Back-end”の3つに分けている
エンタープライズ向けセグメントに対応するIAプロセッサー
2002年前半における、上の図に対応するIAプロセッサー。Front-endに超低電圧Pentium IIIが残っていることがわかる

[塩田] IDFで発表したUltraDenseを開発した米Ziatech社は、インテルが昨年買収した会社だ。超低電圧版のPentium IIIをサーバー分野にも使うという方向はいつぐらいから考えていたのか?

[チャンドラシーカ氏] Ziatechの買収は去年だが、UltraDenseは1年以上前から計画していたことだ。以前より、より小さいサーバーを作るために消費電力を下げた製品を要求されていた。

6〜7月登場のTualatinはモバイルとサーバー向け

[塩田] なぜ、超低電圧のCPUをサーバーに使う必要があるのか? 発熱量の関係か?

[チャンドラシーカ氏] 基本的には、サーバー全体の電力消費量を下げるためだ。この分野は、始まったばかりでまだマーケットの大きさは不明だが、顧客からの要望がある分野だ。

[塩田] 米トランスメタ社のCrusoeのサーバー利用という話が出ているが、それに対する対抗のようにも見えるが。

[チャンドラシーカ氏] たしかにTransmetaにもそういう動きがあり、そのようにも見えるが、我々は、1年以上も前から、超低電圧版の利用について顧客と検討してきた。また、サーバー分野ではパフォーマンスが重要である。たとえば、ウェブサーバーなら、パフォーマンスが応答速度として現れてしまう。Crusoeを採用したノートPCを見るとわかるように、同じクロックの我々の製品よりもパフォーマンスが低い。このため、それほどサーバー向きではないように思える。

[塩田] では開発中の0.13μmプロセスのPentium III(Tualatin)の主な市場は、モバイルとサーバー向けになるのか。

[チャンドラシーカ氏] 基本的にはそうだ。

[塩田] モバイル用とサーバー用で同じMobile Pentium IIIというブランドを使うのか? パッケージも同じなのか?

[チャンドラシーカ氏] まだ、それは決めていない。ただ、小型サーバー用ではスペースファクターも重要で、これについても顧客と協議している最中だ。

[塩田] いつぐらいからサーバー用製品を投入するのか?

[チャンドラシーカ氏] 今年の第3〜第4四半期だろう。

[塩田] ローパワーのプロセッサーをデスクトップで使うと、デザインが自由になり、ファンが不要になるが、そういう方向は考えていないのか。

[チャンドラシーカ氏] 考え方としては正しいが、日本以外では、省スペースマシンの市場が立ち上がっていない。まだ、デザインよりも価格が支配的だ。私も個人的には省スペースが好きなのだが……。注目はしているが、市場はまだという状態だ。

チャンドラシーカ氏
「世界的には省スペースデスクトップ市場はまだ立ち上がっていない」

[塩田] では、Pentium 4で、省スペースデスクトップが実現できるようになるのはいつぐらいか?

[チャンドラシーカ氏] 今年半ばには省スペースのカテゴリの入るマシンが登場しはじめる。秋にはBrookdale(ブルックデイル)(※3)チップセットが登場し、これらを採用したMicroATXマザーボードも増えてくるだろう。このあたりから、省スペースというカテゴリに入るマシンが増えてきて、2002年には、0.13μmプロセスのPentium 4を使って、現在のPentium IIIと同等のサイズにまで到達できるだろう。また、我々は、IDFで見せたコンセプトPCのようにデザインハウスやOEMと開発を続けている。

※3 Brookdale:メインメモリーとしてSDRAMをサポートするPentium 4向けチップセット。

HammerはItaniumのライバルにはなり得ない

[塩田] 64bit分野だが、AMDの“Hammer”シリーズは、かなり低価格を強調しているようだが、普及期にItaniumが不利になる心配はないのか?

[チャンドラシーカ氏] Itaniumは、企業のバックエンドでミッションクリティカルな分野に使われる製品に使われるプロセッサーであり、市場が違う。たとえていえば、ロールスロイスで、HammerはYugo(※4)だ。Itaniumは、現在メインフレームなどが使われている分野で使われる製品だ。AMDと同じやりかたなら5年前にできたが、そうした製品が使われる市場を考えると、時間はかかるが、新しい技術を採用したほうが良いと判断した。

※4 Yugo:米国で販売されていたユーゴスラビア製の小型自動車の名前。低価格が売り物だった。Zastava Automobili社製。

[塩田] となると実際のライバルは、米IBM社のPOWERプロセッサーや米サン・マイクロシステムズ社のUltraSPARC IIIなどの先行する64bit CPUになるのではないかと思うが、それに対する戦略は?

[チャンドラシーカ氏] 日本電気(株)の『AzusA』サーバーや米ヒューレット・パッカード社の『superdome』、日立製作所のマシンなど、さまざまなメーカーがItanium対応製品を開発している。また、我々はソリューションを重視している。3年ぐらい前から、さまざまなソフトウェアハウスと協力して、Itanium向けソフトウェアの開発を行なっている。たとえば、CADのソフトは、単体で使われるのではなく、より大きなシステムの一部となる。そういうシステムに対する開発が行なえるようにSolution Centerを作り、ソフトウェアハウスが、ユーザーにソリューションを提供できるように協力している。すでに400のユニークなアプリケーションを開発中で、立ち上げ時期には100〜150ぐらいのアプリケーションが揃う予定だ。

[塩田] しかし、いくつかのコンピュータメーカー、IBMやコンパック・コンピュータも開発を進めているとはいえ、彼らは自社製のプロセッサーも持っている。結局、それらを優先してしまうことはないのか?

[チャンドラシーカ氏] 市場規模がそうさせないだろう。すでにインテルは6000台以上のItaniumマシンを、顧客に出している。この台数は、(コンパックの)アルファプロセッサーベースのシステムよりも多い。つまり、ユーザーの要望がメーカーをItaniumに注力させることになる。

[塩田] 現在のデスクトップマシンが将来64bit化すると、サーバーやメインフレーム領域を狙うItaniumは向かないのではないのか?

[チャンドラシーカ氏] デスクトップマシンが64bitになるのはいつだかわからないが、ワークステーション分野では、64bitマシンがもうすぐ使われることになるだろう。たぶん、デスクトップマシンが64bitになるのにはかなり先の話になるのではないか。もし、どこかが、デスクトップ向けに安価な64bitマシンを出したとしたら、我々もそういうゲームをするだけだ。しかし、それは危険なゲームだ。実際には、64bitのアプリケーションがないわけだから。

[塩田] しかし、i386のときも実際にユーザーは16bitのアプリケーションを使っていたが?

[チャンドラシーカ氏] 386のときは、一部、本当に32bitを必要としていたユーザーがいた。しかし今回は、本当に64bitの機能、たとえば大きなアドレススペースを必要とするユーザーがいるのかどうか? また、当時といまでは状況も違う。i386は'85年に登場した。そして、今年末にようやくWindows XP(Home Edition)が出て、ようやく一般向けのOSが本当に32bitになる。つまり、アーキテクチャーが変わるには長い時間がかかるわけだ。現在、一般消費者向けの64bit OSは皆無だ。それが登場するまでどれだけの時間が必要になるかはわからない。

(聞き手/構成:塩田紳二、撮影 編集部佐々木千之)


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