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【インタビュー】「“.com”の歴史は終わり、“.info”の時代が始まる」Afilias取締役会長リチャード・リンゼイ氏


2001年8月7日

2000年11月16日、ICANN(※1)は7つの新しいトップレベルドメイン(TLD)を決定した。新TLDのひとつ“.info”を管理するレジストリ(※2)が、“Afilias”だ。Afiliasは、2000年9月に18社のレジストラ(※3)が出資して設立した企業。

※1 The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers。IPアドレスの割り当てや、DNS(Domain Name System)の管理、新しいTLD(Top Level Domain)の決定など、インターネットの基本的なスキーム、システムを管理する非営利の法人

※2 TLDの登録・削除などを管理する機関。 各TLDに対して、原則として1社が選定される。ただし、“.com”“.org”“.net”については米NSI(Network Solution)社が管理している。

※3 ICANNによって認定された、商用ドメイン名登録機関。

Afiliasは“.info”の登録受付を7月25日に開始した。8月27日までは商標登録者からの登録を受け付ける“サンライズ期間”で、その後120日間は“サンライズ・チャレンジ期間”として、異議申し立てに応じる。一般の登録は9月12日から受け付け、実際の運用は9月19日に開始する。

ASCII24編集部では、そのAfiliasのリチャード・リンゼイ(Richard Lindsay)取締役会長に、“.info”やTLDの現状と将来の展望について、インタビューを行なった。

Afiliasリチャード・リンゼイ取締役会長
Afiliasリチャード・リンゼイ取締役会長

[ASCII24編集部(以下編集部)] Afiliasは、株主として大手のレジストラが集まっているが、株主以外のレジストラが不利になるのでは?

[Afilias取締役会長リチャード・リンゼイ氏(以下リンゼイ氏)] 従来のTLDである“.com”“.net”“.org”は、米NSIがレジストリ業務を独占していた。しかし、Afiliasは(実際にエンドユーザーと接している)レジストラが株主であり、よりユーザーに近い形でのサービスが行なえる。

現在Afiliasの株主は18社のレジストラだが、そもそも出資者を募集したときも、“どこでもウェルカム”だった。まもなく追加の募集も行ない、現在の株主が40%、新規の株主が60%という比率に持っていく。レジストラであれば、どこでもAfiliasに参加できる。

また、レジストリには公平で中立という義務がある。実際、現在“.info”のレジストラとして登録している企業は19ヵ国の56社に上る。

[編集部] 来月に運用を開始する“.info”は、どのくらい利用されると予想しているのか?

[リンゼイ氏] 新しいTLDを立ち上げるということは、まだ誰もやったことがないため、予想がつかない。50%の確率で、初年度には500万ドメインの利用があると考えているが、楽観的なシナリオでは2000万ドメインとなる。

[編集部] “.info”は汎用性という面で、“.com”と並ぶTLDになると思うか?

[リンゼイ氏] インターネットは情報を発信する場であり、“infomation”の略である“.info”は意味としては非常に汎用的なものだ。

“.com”はもともとCompanyかCommercialなどの意味でビジネス関連のTLDであり、“.net”は通信関連、“.org”はNPOなどを扱うものだった。しかし、“.com”はいつの間にか汎用的なものになったが、どうしても“アメリカ”というイメージが強い。日本の企業がドメインを取得する際に、“.co.jp”でなく“.com”でもいいのだが、“.com”には抵抗を感じる人々が多い。その点、.info”なら、まったくゼロからのスタートとなり、アメリカに有利に、などといったことはない。また、“.info”は個人でも法人でも、関係なく取得できる。

まったくゼロからのスタートだ
“.info”はまったくゼロからのスタートだ

[編集部] “.info”はどの地域・国で最もニーズがあると思うか?

[リンゼイ氏] 現在、“.com”の6〜7割はアメリカの企業・団体が取得している。“.info”も当初はアメリカが多いだろうが、いずれはアジア・ヨーロッパで多く登録されると思う。たとえば、最近韓国のドメイン取得数は急激に伸びている。すでに大半の企業・団体がドメインを取得しているアメリカとは違って、アジアなどは伸び率がまったく違うことになるだろう。

[編集部] ドメイン取得の平等性についてはどうか?

[リンゼイ氏] 完全先願制のドメイン登録が、はたして本当に平等なのか。“.info”の場合、たとえばアメリカから応募するのと日本から応募するのとでは、同時にアクセスしても回線の短いアメリカのほうが有利になる、といったことが考えられる。Afiliasでは商標登録者の登録期間や異議申し立て期間を設けて、スタートアップが平等になるようにしている。

[編集部] 今回TLDは7つ増えたが、今後どうなると思うか?

[リンゼイ氏] 汎用的なTLDは“.com”と“.info”程度だろう。しかし、個々の分野のTLD、たとえば書店なら“.book”といったようなものはもっと増えていいのではないか。TLD=コンテンツという時代になるかもしれない。

[編集部] 多言語対応については?

[リンゼイ氏] 今後、TLDまでマルチリンガルになる可能性はあると思う。たとえば、“.info”を“.情報”のようにそれぞれの国の言語で表示するといったことが実現するかもしれない。中国などは、そういったことをやっているようだ。だが、私はASCIIコードのTLDが、最もリーチが長い、限界のないものだと考えている。

[編集部] いわゆる代替ドメイン、オルタネート・ルート(Alternate Roots)(※4)についてはどう思うか?

※4 ICANNの管理するTLDとは別に、ユーザーのブラウザーにプラグインを導入させて、あるいは別にルートサーバーを設置して、独自のTLDを設定する方法。

[リンゼイ氏] 代替ドメインはインターネットではない。一部の人だけアクセスできる、いわばイントラネットだ。

[編集部] だが、そのイントラネットが大きくなれば第2のインターネットになるのでは?

[リンゼイ氏] インターネットを構築する側には、責任がある。だが、そういったものを作っている人々には責任というものがない。人々は利用しなくなるだろう。

[編集部] 代替ドメインによって、数多くの独自のTLDが広まっているようだが?

[リンゼイ氏] それら、さまざまなTLDに、本当にニーズがあればICANNも対応するべきだ。だが、急ぐことはない。インターネットでは、安定性が最も重要なのだ。

[編集部] ICANNはもっとTLDを増やすべきだと?

[リンゼイ氏] 今回の7つのTLDも、いわばテストケースのようなものだ。AfiliasもICANNに対してニーズがあるかどうかについて、細かいレポートを提出している。ニーズは十分にあると思うが、成功するかどうかは誰にも分からない。だが、歴史を作っているという感覚がある。

[編集部] “.info”の今後についての感想は?

[リンゼイ氏] これから、ドアを開いてどうなるか。不安よりも楽しみのほうが大きい。“.com”の時代は終わって、これからは“.info”の時代が始まるのだ。

“.info”の時代が始まる
“.info”の時代が始まる

“.info”や“.biz”などのTLDへのニーズがはたしてどのくらいあるのか、現段階ではリンゼイ氏でも、正確には把握しきれていないという。だが、ICANNには詳細なレポートを提出している、という発言からして、実際にはある程度のめどはついているのだろう。

“.com”“.org”“.net”と、それぞれの国ごとのTLDだったこれまでのインターネットが、7つのTLDが加わることでどう変化するのか。大半のドメイン名が“.info”になる、リンゼイ氏のいう「“.info”の時代」は、はたして到来するのだろうか。(※5)

※5 ちなみに、下記のリンクを見ていただければ分かるが、Afiliasのウェブサイトは、すでに“.info”の時代になっている。

リンゼイ氏の答えはこうだ。「“.com”は崩壊した。縁起が悪い」

(編集部 中西祥智)


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