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トランスウェア、ノルウェーのOpera SoftwareのCEOを招いて『Opera日本語版』に関する記者会見を開催
2002年2月26日
マルチプラットフォーム戦略がこれからは有利に働く
(株)トランスウェア(※1)は25日、ノルウェーのOpera Software社のヨン・フォン・テツナー(Jon Stephenson von Tetzchner)CEOを招いて、2月8日に発表し、ダウンロードサービスを開始したウェブブラウザー『Opera 6.0 日本語版』に関する記者会見を開催した。現在はWindows版のみが用意されており、バージョンは6.01Betaとなっているが、正式版となるOpera 6.02 日本語版を3月末にリリース予定としている。
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トランスウェアはウェブメールシステムソフトウェア『Active! Mail』の開発・販売や、電子メール環境構築を手がける企業。
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ノルウェーのOpera Software社のヨン・フォン・テツナーCEO。ニックネームは“ミスター・バイキング”だそう |
ノルウェーのOpera Software社は、1995年に現CEOのフォン・テツナー氏らが創立した、ウェブブラウザー専業メーカーで、そのウェブブラウザーである『Opera』は1996年の発表以来、Internet ExplorerやNetscape Navigatorよりもファイルサイズが小さく、ウェブの表示が高速であることから“地上最速のブラウザー”として知られているという。現在の最新バージョンはOpera 6.0で、Windows版、Mac OS版、Linux版、Solaris版、EPOC版(※2)、QNX版(※3)を用意している。Operaは基本的には無償で利用できるが、ブラウザーウインドー内に広告バナーを表示する。この広告はレジストキーを購入(※4)することで、表示されなくなる仕組み。
※2
英シンビアン社が開発している、PDA/スマートフォン向けのOS。
※3
米QNX(キュニックス)ソフトウェア システムズ社が開発している組み込み機器向けリアルタイムOS。
※4
Opera日本語版のレジストキーは4800円だが、現在キャンペーン期間として3800円で販売している。。アカデミックライセンスは2800円。
Opera Softwareは2001年11月に、初の日本語版であるOpera 6.0日本語版を11月末にリリースするといったんアナウンスしたものの、その後リリーススケジュールを2002年1月末に延期していた。日本語版が最終的に公開されたのは2月8日で、この公開にあたって、Opera Softwareはトランスウェアと日本語版の販売についてライセンス契約を結んだことも発表している。
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トランスウェア代表取締役社長の木下陽代志氏 |
トランスウェア代表取締役社長の木下陽代志氏は「“Operaといういいソフトがある”という話を(ウェブサーバーソフト)Apacheのユーザー会で聞き、11月に連絡を取ってオスロに飛び、扱わせていただけるようお願いした。ダウンロード販売という販売形態だが、毎月1000本として年間1万2000本売り上げたいと考えている」という。また、トランスウェアの社業であるウェブメールとの連携に関して「Internet ExplorerにHotMailというウェブメールサービスがあるように、Opera日本語版にActive! Mailによるウェブメールサービスを提供していくことも検討したい」としている。なお、トランスウェアとOpera Softwareとの契約はパソコン用のOperaの販売に限ったものだが、今後は携帯電話などパソコン以外のプラットフォームに向けたものや開発に関しても協力していきたいとしている。
記者会見でフォン・テツナー氏は「Opera Softwareを1992年に設立以来、(巨大な力を持つ)米マイクロソフト社と競合する形でビジネスを行なってきたので、非常に変わった会社だと言われてきた」と切り出した。
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フォン・テツナー氏が示した、Opera Softwareとパートナーシップを結んでいる企業 |
フォン・テツナー氏はOperaの特徴として、ウェブブラウジングの高速性や、マルチウインドー(MDI)形式のサポート、マウスのみあるいはキーボードのみでほとんどのブラウザーの操作ができることなどを挙げた。また、Internet ExplorerやNetscape Navigatorと比較して、W3Cなどによるウェブ技術のスタンダードに厳密に対応していることなどを強調した。
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Operaのクロスプラットフォーム戦略。コアとなるのはプラットフォームに依存しないブラウザーエンジンだ |
また「(マイクロソフトがWindowsにInternet Explorerを添付している状況では)Opera Softwareは不利ではないかといわれるが、実は利点であり、これからますます有利になっていく」と述べた。
マイクロソフトではWindows用のInternet ExplorerとPocket PC用のInternet Explorerはまったく別に開発しているのに対して、OperaはWindows、Mac OS、UNIX(Linux、Solaris)、EPOCなど各種のプラットフォームで、ブラウザーのエンジン部分についてはプラットフォームに依存しない1つのコードで対応しており、携帯電話やセットトップボックスなども含めたすべてのデバイス上でOperaを動作させたいというOpera Softwareの戦略を進める上で“非常に有利な点”であるという。
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ドイツの“Chip Online”のテストによる、3台ブラウザーの速度比較。Internet Explorerに劣っているのは、起動速度だけ。Internet Explorerが速いのはWindowsに組み込まれているため |
フォン・テツナー氏は「非マイクロソフトプラットフォームにおける最大で最良のブラウザーを目指す」と述べ、OperaがWindows版からリリースされる形にはなっているが、マイクロソフトの脅威の少ないLinuxやEPOCなどでビジネスを展開していくという姿勢を明らかにした。
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Operaのユニークな機能の1つ。マウス操作だけ、あるいはキーボードショートカット操作だけで、ほとんどの操作が行なえるという |
フォン・テツナー氏に続いて、Opera Software社Business Developer for Asiaの冨田龍起氏がOpera日本語版のデモと今後の計画について説明した。冨田氏によると、Beta版でない正式版の日本語版は6.02となる見込みで、3月末にリリース予定。また、Mac OS版については夏頃のリリースを予定しているという。Linux版に関してもリリース時期は明らかにしなかったものの日本語化作業には着手していることを明らかにした。
2月8日に公開した日本語版(6.01Beta)は、約2週間で予想の2倍にあたる20万ダウンロードを記録し、レジストキーの購入も2500を超えているという。
質疑応答の際には、Pocket PCへの対応についての質問が出たが「Pocket PCについてはサポートの予定はない。マイクロソフトが開発しているOS上で競合するブラウザーを提供するのは、マイクロソフトからデバイスメーカーへの圧力もあり非常に難しい。むしろPocket PCと対立するようなプラットフォーム向けに開発していきたい」と答えた。Palm OSについては「現在のPalm OSは英シンビアンのEPOCなどと比べると時代遅れであり対応は難しい」としながらも「今後チャンスがあれば提携していく可能性はある」と、非マイクロソフトとして大きなシェアを持つPalm OSプラットフォームに対しては含みを残した。
(編集部 佐々木千之)
速度とスタンダードのサポートがポイント
記者会見後ASCII24では、フォン・テツナー氏に対して報道関係者による共同インタビューの機会を得た。Operaの速さの理由や、互換性に対する考え方などをうかがった。
[プレス]
日本市場への進出の理由は? また、日本語版への対応が遅かったようにも思えるが?
[フォン・テツナーCEO]
日本にはコンシューマー向け製品を手がける、ユーザーベースの大きな企業が多く、非常に重要な市場だ。そういう意味でどうしても日本語バージョンを出したいと考えていたのだが、Windows 98の2バイトコードのサポートが十分でなかったために、Windows 98でUnicodeをサポートするのに開発パワーを取られてしまった。
日本市場は、Opera Softwareにとって、まったく新しい市場への参入ということで、マーケットをよく知っている企業と提携するのがよいと考えて、トランスウェアと提携した。Active! Mailなどとのバンドル戦略も含めて協力していきたいと考えている。市場としては、教育機関などがターゲットであると考えている。教育機関ではさまざまなプラットフォームがあるが、Operaならばこれらのプラットフォーム向けに、同じクオリティーのウェブブラウザーを提供できる。これはユーザーにとっても管理者にとっても大きなメリットだ。
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インタビューに答えるフォン・テツナー氏。非常に真摯な態度で質問に答えてくれた |
[プレス]
Operaは“史上最速のブラウザー”と謳っているが、なぜ速いのか?
[フォン・テツナーCEO]
Internet ExplorerはActiveXなどのコンポーネントをそのまま利用する形になっているが、これらのコンポーネントはウェブブラウジングするユーザー向けに最適化してあるものではない。さまざまなコンポーネントが別々のユーザーを対象としており、コンフリクトする部分もある。Operaでは、速度を最優先としてコードを書いている。
また、パソコンの性能は向上しており、ほかのブラウザーはスピードに対してそれほど注意を払わなくなっている。Operaは開発にあたって、非常に遅いマシンでもテストするなど、常に速度に対して注意しながら開発している。Operaは私が(ノルウェーの通信会社である)Telenor社にいたときに始めたプロジェクトだが、当時から“スクラップアンドビルド”を繰り返して速度を追求していた。
[プレス]
携帯電話でのウェブブラウジングについてどう思うか?
[フォン・テツナーCEO]
ヨーロッパではWAPが成功しなかったが、これはインターネットとしての機能が限定されていたことが原因だと考えている。日本の携帯電話市場は(限定された機能のiモードが成功している)非常に特殊な市場に思える。我々は英シンビアンとの提携を通じて、次世代の携帯電話に高機能なブラウザーを提供していきたい。Windowsパソコンとほぼ同等のブラウジング機能が、そのほかのプラットフォームでも利用できるようにしていくのが目標だ。
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Opera Softwareが目指す非マイクロソフトプラットフォームの1つ、PDA市場。2002年以内にOperaを搭載したPDAとWebpadを合計100万台出荷するという |
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セットトップボックス市場も、Opera Softwareが期待を寄せる非マイクロソフトプラットフォーム。2005年までにセットトップボックス市場の30〜50%のシェアを取りたいとしている |
[プレス]
各プラットフォーム向けに、1種類のブラウザーエンジンを使っているということだが、携帯電話向けなどでは厳しいのではないか?
[フォン・テツナーCEO]
例えば開発中のシンビアン向けバージョンでは、プログラムサイズは1.5MBで、4MBのフリーメモリーがあれば動作するようになっている。また、シャープ(株)がアメリカで発売した、英語版のLinux搭載Zaurusに搭載されているOpera 5.0は2MB以下のメモリーで動作する。利用できるメモリーが減れば、正しく表示できないウェブページも出てくるが、基本的にはデバイス側の要求に従って対応できる。
Operaの対応プラットフォームを増やすごとに、ブラウザーエンジン自体は洗練されたものになってきており、今後もプラットフォームから独立したブラウザーエンジンという戦略を続けていくつもりだ。
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携帯電話/スマートフォン向けでは、若干ほかの市場に比べて遅れるものの、Operaの市場機会は拡大すると予想している。図中にある“Palm”は米パーム社ではなく、韓国のPalmPalm社という別の会社とのこと |
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カメラにポーズを取るフォン・テツナー氏。左手に持っているのがOperaを搭載した英語版Zaurus |
[プレス]
Internet Explorerではさまざまなセキュリティーホールが発見されているが、Operaは安全か?
[フォン・テツナーCEO]
Operaを開発する上でセキュリティーに注意しているのはもちろんだが、現実問題としてInternet Explorerに発見されるセキュリティーホールのほとんどはOperaにはない。ただ、Internet Explorerで表示したのと同じように表示をしようとして、Internet Explorerとの互換性を高めていくとセキュリティーホールの危険性が増す。これまでOperaで見つかったセキュリティーホールの9割はInternet Explorerとの互換性を取ったために生じたものだ。もちろん、セキュリティーホールが明らかになった場合は速やかに修正したバージョンをリリースしている。
[プレス]
Internet Explorerとの互換性はまだ重視していくのか?
[フォン・テツナーCEO]
“スタンダード”には、本当のスタンダード(標準)とデファクトスタンダードの2通りがある。本当のスタンダードについては、これまで通り最大限のサポートを行なっていく。デファクトスタンダード(Internet Explorer)については、できる限りサポートしていく考えだ。例えば、HTMLが間違っているが、Internet Explorerでは表示できるというものについては、Internet Explorerと同じ表示になるようにする。HTMLが正しく書かれている場合は、Internet Explorerの表示にかかわらず、正しい表示をするようにしていく。
ActiveXのようなWindowsプラットフォームのみで提供されるようなものについては、サポートはしない。ただし、今後も新しいウェブ技術については積極的にサポートしていく。その姿勢は変わらない。W3Cのスタンダードが最優先で、デファクトスタンダードはその次だ。
[プレス]
事実として、Internet Explorerが大きなシェアを持っているわけだが、なにか対抗策はあるのか?
[フォン・テツナーCEO]
ウェブブラウザー市場におけるシェアは、ドイツで3%、ロシアで6%あり、徐々に伸びてきている。基本的にはLinuxなど、非マイクロソフトOSへ力を入れていくつもりだ。また、これまでInternet Explorerを配布していたISPが、Internet ExplorerにはHotMailというウェブサービスや、MSNといったポータルサイトがあり、自社のサービスに対して脅威になるということにやっと気づいて、Internet Explorerからブラウザーを乗り換えるといった動きも見られる。まだ詳しくは言えないが、パソコンへのバンドルという話もある。
(編集部 佐々木千之)
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