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企業のアプリケーション開発をトータルにサポートしていく──ボーランド安藤社長


2002年3月5日

『C++Builder』『JBuilder』『Delphi』『Kylix』など、多数のソフトウェア開発プラットフォーム製品で知られるボーランド(株)は2001年初め、“インプライズ”から、かつてと同じ社名に戻った。社名変更とほぼ同時期に代表取締役社長に就任した安藤由男氏に、2001年の状況と今後の同社の戦略についてうかがった。

ボーランドの安藤由男代表取締役社長
ボーランドの安藤由男代表取締役社長

[編集部] 安藤社長はボーランド一筋だそうですね。

[安藤社長] 17年前に(株)マイクロソフトウェア・アソシエイツ(※1)に入社しました。マイクロソフトウェア・アソシエイツは『Tubo Pascal 2.0』(1983年)からボーランド製品を扱い始めました。その後1992年に、フィリップ・カーン(※2)が「日本のボーランドを100%出資の法人にする」と宣言して、マイクロソフトウェア・アソシエイツの事業部がボーランドに譲渡されることになり、ボーランドに移籍しました。2000年11月から社長を務めています。

※1 (株)マイクロソフトウェア・アソシエイツ:1980年8月に(株)アスキー・マイクロソフトの関連会社として設立された企業で、1984年に米ボーランドインターナショナル社(1983年設立)と販売店契約を結び『Turbo Pascal 2.0』の販売を開始した。その後1989年に同社が100%出資してボーランド(株)を設立し、ボーランド製品を発売していたが、1992年に米ボーランドインターナショナル社がボーランドを100%出資化するのに伴なって、ボーランド製品の販売を行なっていた事業部をボーランドに譲渡した。現在の社名は(株)エムエスエイ。

※2 フィリップ・カーン(Phillippe Kahn):米ボーランドインターナショナル社の創設者。1994年に退社している。

新生ボーランドはかつてのボーランドではない

[編集部] 社名がインプライズからかつてのボーランドに戻って1年が経ちましたが、この1年はどうでしたか?

[安藤社長] まず初めに申し上げますが、今のボーランドはかつてのボーランドに戻ったのではありません。以前のボーランドは、言語ツールを作る会社でした。新生ボーランドは企業のアプリケーション開発をトータルにサポートする“ソリューションカンパニー”なのです。

少し以前の話をしますと、かつて(旧ボーランド時代に)カーンが、表計算ソフト(『Quattro Pro』)を手に入れ、米ワードパーフェクト社と提携して『Borland Office』を立ち上げ、米マイクロソフト社と争ったことがありました。結局オフィスソフトからは手を引いたのですが、2001年の売り上げ金額はオフィスを合わせて売っていた頃に匹敵するところまで戻りました。

2001年はIT不況という逆境の中で、ボーランドにとっては飛躍の年でした。世界全体の売り上げは2億2180万ドル(約300億円)で2000年比16%増、純益も2310万ドル(約31億円)で2000年比11%の増加を達成しました。日本でも『JBuilder 6』『Borland Enterprise Server』『Delphi 6』『Kylix 2』といった製品や、開発支援のサービスを発表しています。

[編集部] ボーランドにおける日本市場の位置づけはどのようなものでしょうか?

[安藤社長] ボーランドでは、世界を南北アメリカ、ヨーロッパ・中東、アジア・太平洋地域の3つに分けているのですが、業績の年次報告書では北米、ヨーロッパ、日本、そのほかの地域に分けてレポートされており、位置づけとしては低くないと思います。日本市場の2001年の売上高は28億数千万円で、2000年比で13%の伸びでした。当社はドル建てですので、(2000年から円安になったことを考えれば)円建てでは17、8%増えたのではないでしょうか。

2002年は売り上げ目標として40億円を目指しています。私はこれは決して無理な数字ではないと考えています。製品ではC++BuilderやDelphiが順調ですし、Kylixは(Linux上のビジュアル開発ツールとして)ライバルがいない“一人勝ち”状態ですので、開発プラットフォームとしてのLinuxの広がりとともにもっと伸びるだろうと思っています。そのほか、JBuilderはJavaの開発ツールとしてトップシェア(※3)です。JBuilderは、完全な“PureJava”です。つまり、JBuilderはPureJavaのアプリケーションが開発可能であるとともに、自身もPureJavaで書かれています。これはJBuilderだけの特徴であり、ボーランドの技術力の高さを示しているものです。

※3 2000年12月時点で、日本におけるJava開発ツールとして43%のシェア。(株)日経BP調べ。

企業のアプリケーションライフサイクルをトータルサポートするALM

[編集部] 現在のボーランドの戦略はどのようなものでしょうか。

[安藤社長] ボーランドはこの1月、ALM(Application Lyfecycle Managemet)をサポートしていくという戦略を発表しました。これは、アプリケーションの開発・発展サイクルの、設計、構築、品質保証、運用管理の各フェーズにおける効率化を技術面から支援するというものです。これまで当社が持っていたツール群に加え、1月に800万ドル(約10億円)で買収した米Redline Software社のJavaシステムのテスト/最適化ツール『OptimizeIt』が加わったことで、アプリケーションライフサイクル全体を通してサポートできるようになりました。

これによって、現在の当社の製品群を各フェーズに当てはめると、設計(Analysis & Design)が『Enterprise Studio』、構築(Construction)が『JBuilder』『Delphi』『Kylix』『C++Builder』、品質保証(Assurance)が『OptimizeIt』、運用管理(Deployment & Management)が『Borland Enterprise Server』『InterBase』『JDataStore』となります。さらにサイクル全体を支援するコンサルティング/テクニカルサポートサービスとしての“Professional Service”事業にも力を入れています。

ボーランドが目指すアプリケーションライフサイクル全般の支援の概要
ボーランドが目指すアプリケーションライフサイクル全般の支援の概要

[編集部] ALM構想はもう完成だと考えているのでしょうか? 買収などでのラインアップ強化はないのでしょうか。

[安藤社長] 具体的なことは言えませんが、ALMにもまだ足りないものはあります。それを手に入れるために、買収するのか、提携するのか、あるいは内製するのかは、ビジネスタイミングや費用対効果がどのくらい得られるかによります。

米国ではすでに開始しているものに、“TeamSource DSP”というサービスがあります。これは、世界各地のソフトウェア開発拠点で、手分けしてソフト/システムを開発しているような企業向けのサービスで、インターネットデータセンターと各拠点を結び、開発、構築、品質保証、運用管理というアプリケーションライフサイクルの管理を行なうものです。日本企業の中にもインド、中国、ベトナムなどにソフト開発拠点を持っているという話を聞くようになり、日本でもTeamSouce DSPを立ち上げたいと思っていますが、大きな投資額が必要なので、慎重にやっていくつもりです。

[編集部] 安藤社長の日本での目標はどのようなものですか?

[安藤社長] 日本で展開しているビジネスである、RADツール、Javaツール、Enterpriseツール、そしてサービスの4つの売り上げをそれぞれ4分の1ずつにしたいと考えています。もちろん、バランスを取るためにどれかの売り上げが落ちたのではしょうがないですから、売り上げを伸ばしつつということです。具体的な数字は言えませんが、現状ではやはりRADツールが強く、それにJavaツールが肉薄しているというところで、Enterpriseツールはいまちょっと苦戦しています。サービスはまだこれからですが、システムサービスには当社として最大の投資をしています。プリセールスとしてのSE、テクニカルサポート、トレーニングやコンサルティングを行なうProfessional Service要員を増強しているところです。

ボーランドの営業一筋に進んでこられた安藤社長に「一番印象に残った製品は?」と尋ねたところ「Turbo C 1.5〜2.0かなあ。当時の当社の開発ツールとしては膨大な数が売れました。うちの技術者が、こんなに売れてサポートできるのかと心配するほどでした」とのこと
ボーランドの営業一筋に進んでこられた安藤社長に「一番印象に残った製品は?」と尋ねたところ「Turbo C 1.5〜2.0かなあ。当時の当社の開発ツールとしては膨大な数が売れました。うちの技術者が、こんなに売れてサポートできるのかと心配するほどでした」とのこと

(編集部 佐々木千之)


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