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趙章恩氏に聞く、韓国最新ヒットコンテンツ事情(後編)


2003年7月23日

オンラインゲーム・携帯電話・電子政府 韓国の最新ヒットコンテンツ事情(2)

“韓国ITを最も正確に伝えるジャーナリスト”として活躍中の趙章恩氏への電話インタビューの第2回目をお届けする。同氏は、「2002年度『韓国IT総決算』に学ぶ/日本でも必ず起こるブロードバンドサービスの成功と失敗」(新社会システム総合研究所・アスキー共催/7月30日(水)午後3時〜5時)と題したセミナーのために来日予定。その“さわり”を聞いた。(聞き手:月刊アスキー編集人 遠藤諭)

サムスン製の第3世代携帯電話端末
サムスン製の第3世代携帯電話端末。やはり、売りは動画なのだが、テレビ電話のほかに生のテレビ放送まで見れてしまう。なお、韓国ではPalm OSやPocket PCを搭載したスマートフォンも登場している

■ 大統領選挙のインターネットラジオ “逆着メロ”の“カラーリング”

[遠藤] 韓国の2002年といえば、ワールドカップと大統領選挙ですよね?

[趙] 大統領選挙では、“オーマイニュース”(素人のニュースも載せるオンライン新聞=http://www.ohmynews.com)やノ・ムヒョン候補側の“オンラインラジオ”(http://www.nosamo.org)あたりですか。

[遠藤] サイバー選挙と言われただけのことはありますね。

[趙] コンテンツ系では、ストリーミングサイトの有料化がありますね。KPOP、JPOP、クラシックなどDBから好きな曲を選んで聞いたり、個人が流す音楽番組を聞いたりできるストリーミング音楽サイトが15社ほどあるのですが、1社を除いてすべて有料化になりました。『ソリバタ』というP2Pのソフトが禁止になったのが影響しているかもしれません。

[遠藤] 料金体系はどんな感じなのですか?

[趙] 月額3000〜1万ウォン(約300円〜1000円)、ダウンロード1曲は300〜1200ウォンですね。

[遠藤] だいたい無料でやってきたのに無理があるのではないですか?

[趙] 無料のままなのは“バックスミュージック”(http://www.bugsmusic.co.kr)というサイトですが、広告とほかのコンテンツを有料にしたりしています。無料の音楽を目玉に人を集めて、ほかのものを売る。有料化したところは、利用者が減ってきているようです。“カラーリング”とか着メロとか映画の予告編が先行して見れるとかの特典を付けたりしていますね。

[遠藤] カラーリングというのは?

[趙] 昨年の秋くらいに始まったのですが、着メロではなくて、逆に、電話をかけた相手に電話が出るまでの間に聞こえる音楽です。だいたい、利用料金は月900ウォン(約90円)、ダウンロード1回で700〜1200ウォンというお値段ですね。日本もダウンロード系がiモードのコンテンツのかなりの部分を占めると言われますが、SKテレコムのパケット代売り上げは、NTTドコモに引けを取らないという説がありますね。

[遠藤] 携帯のコンテンツといえば、テレビが見られますね?

[趙] インターネットで放送中のテレビや過去の番組が見れるのと同じです。

[遠藤] 同じことを携帯でやっているのですね?

[趙] いわゆる3G携帯電話で、テレビが見れるということで盛り上がった。ただ、いざテレビを見るとパケット代が凄いことになる。2〜3分で7000ウォン(約700円)くらいかかってしまう。最初は、キャンペーンでパケット代が無料だったのですが、それが終わったのを知らずに20万円くらいのパケット代になって泡を吹いた人の話を聞きました。

[遠藤] ほかに携帯電話で新しい動きといえば?

[趙] 日本と同じでカメラ付きが若い人の間で流行っています。30万画素で端末が5万円もしますね。キャリアはメールに画像を添付して送ってほしいのですが、ふつうにカメラとして使う人が多いようです。ちょっとステータスなんですね。100万画素のものも出てくるそうです。ほかには、GPS関連でしょうか? “友だち探し”とか“風水関係”とか。

[遠藤] 動画ができるようになったことでアダルトコンテンツはどうでしょう?

[趙] インターネットでも有名だった“バナナTV”が100億ウォン(10億円)以上稼いでいます。類似のサイトも出てきていますよ。韓国には、携帯インターネットは“公式”しかありませんから、もちろん、バナナTVも公式ですよ。

2002年11月、韓国では電子政府のポータルがオープンした
2002年11月、韓国では電子政府のポータルがオープンした。住民票を始めとしてはじめとして各種申請手続きをはじめさまざまなサービスが用意されている

■ 日本が手本にする 韓国の電子政府

[遠藤] 今回のセミナーでは電子政府の関係のお話も聞けるということですが。

[趙] 日本の経済産業省など、日本で電子政府関連の仕事をされている方が、韓国の電子政府関連の人に会いたいという話がよく来ます。昨年11月、ついに電子政府のポータルがオープンしたのですね(http://www.egov.go.kr)。たとえば、住民票が欲しいといった手続きがすべてネットでできてしまうんです。パスポートも、以前は住民票など必要な書類を用意してからということだったのですが、ネットで申請したり区役所に手ぶらで行けばもらえる。要するに、バラバラにやっていたデータベースを1つに繋いだことで可能になったのです。

[遠藤] 政府のIT施策としてはほかに?

[趙] “情報化村”が面白いのではないでしょうか? 2001年から行政自治部がやっているものなんですが、地方とソウルをネットで繋ぐ。あるいは、同じ情報化村どうしを繋ぐ。地元の農民たちが、パソコン教育を受けて直販サイトを作ったという事例が、2002年スウェーデンのストックホルムで行なわれた催しで賞をもらいました(http://www.choroc.co.kr)。この“情報化村”の第2回目が始まりました。全国103ヵ所が指定されていますが、私の家のすぐ近くにもあって、団地内がLANで結ばれているようです。つまり、イントラネットのようになっていて、住民の情報交換や共同購入などが行なわれている。

[遠藤] 韓国の“サイバーアパート”に似ているじゃないですか?

[趙] サイバーアパートは、最初からIT化した住宅ですよね? その情報化村は、建物は古いボロボロのところに、LANを敷設して、情報化村センターというのを作って無料でパソコン教育が行なわれたりするというものです。地方の情報化村では、村の会館にパソコンを100台導入したというようなパターンもありますね。

[遠藤] あいわらず、政府の支援が凄いと感じますが。

[趙] “eKOREA vision 2006”という政府のプロジェクが進行中ですからね。2006年に目標を設定しているのですが、今回の政権が終わるのが2007年なので、そこまで延長になるのではとも言われています。ただ、情報通信部に行って話を聞いても、政権が変わるとその先はどうなるかまったく分からないとのことでした。

[遠藤] 相変わらず突っ走っている韓国ITという感じですが、なかなか見えないところもあるということですか?

[趙] 政府の支援といいますが、それがないと多くの企業が倒れてしまうから行なわれているような側面もあるのです。そのあたりのところ、それと、今回のセミナーでは、韓国と日本のユーザーが違うという点や日本で紹介されている“韓国IT事情”でちょっと違うな〜と思っていたことなどもお伝えできればと思っています。

趙章恩(チョウ チャンウン)氏
韓国ソウル生まれ。日本で高校を卒業後、韓国に渡り梨花女子大学卒業。韓国大手企業の日本担当部署を経て、現在、日韓ITを軸にしたリサーチ、コンサルティング、視察コーディネートを専門とするJ&JNETWORKのシニアコンサルタントとして、日韓で雑誌や日刊紙、TV、ラジオなどでIT評論家としても活躍中。また、韓国で唯一、日本とのインターネットビジネス交流を図る非営利団体JIBC(http://www.kjibc.org)の会長であり、著書として『韓国インターネットの技を盗め』(アスキー出版)、『日本インターネットの収益モデルを脱がせ!』(ドナン出版)がある。

■セミナーのお知らせ
−2002年度『韓国IT総決算』に学ぶ−
日本でも必ず起こる
ブロードバンドサービスの成功と失敗

日時:2003年7月30日(水)午後3時〜5時
会場:明治記念館 東京都港区元赤坂2-2-23 TEL.(03)3403-1171
受講料:1名につき2万9800円(消費税込)
概要と申し込みのページhttp://www.ssk21.co.jp/broadband/7-30-03195.html

(月刊アスキー編集人 遠藤諭)


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