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“A&Vフェスタ 2003”が開幕――注目の“any music”についてエニーミュージック企画代表取締役社長の野口不二夫氏に聞く

2003年10月25日 03時16分更新

文● 千葉英寿

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オーディオ&ビジュアルのハードとソフトを紹介する“A&Vフェスタ 2003”が23日、パシフィコ横浜において開幕した。会期は26日までで、主催は(社)日本オーディオ協会。同展には、21日に先行内覧会を行ないサービス概要や商品化予定モデルを発表したエニーミュージック企画(株)が出展、各社のブースでもany music対応オーディオ機器が出品され、注目を集めた。同社ブースにおいて代表取締役社長の野口不二夫氏にお話をうかがった。

■8社9ブランドのany music対応オーディオが登場

エニーミュージック企画(株)は、オーディオ機器へのダイレクトな音楽配信を行なうためのブロードバンドネットワークを使った音楽流通サービスのしくみである“any music(エニーミュージック)”のサービスを事業として検討することを目的として、本年2月に(株)ケンウッド、パイオニア(株)、シャープ(株)、ソニー(株)の4社の出資により設立された。21日に行なわれた同社の製品内覧会では、any musicのサービスの概要とany music対応オーディオ機器の商品化予定モデルが発表された。同社は年内の事業会社化をめざし、来春のサービススタートへ向けて、準備が進められているとした。

any musicは、パソコンを使わずにany music対応オーディオ機器で、楽曲のオンライン購入やNetMDプレイヤーなどのポータブル機器への転送・持ち出し、CDのオンライン購入などを行なうもの。音楽コンテンツダウンロードサービスについては、(株)レーベルゲートがパートナーとして協力しており、エニーミュージック企画は対応オーディオ機器に搭載するLinuxベースの共通プラットフォームを開発する。

エニーミュージックのロゴ any musicのインターフェース
エニーミュージックのロゴany musicのインターフェース

展示会ではエニーミュージックとしてブース出展し、サービス概要の紹介や商品化予定モデルを出品していた。商品化予定モデルには、アイワ、ケンウッド、シャープ、ソニー、パイオニアの4社5ブランドに加え、“オンキヨー”、“デノン”、“ビクター”、“ヤマハ”の4ブランドがイメージモデルとして出品されていた。また、同時に各社ブースにおいても出品されていた。

エニーミュージックのブース
エニーミュージックのブース
アイワ ケンウッド
アイワのネットワークオーディオシステム(商品化予定モデル)。CD/HDD/チューナー/メモリースティックという基本的な構成。5インチ液晶ディスプレーは別売になる予定ケンウッドのネットワークオーディオ(商品化予定モデル)。HDDの振動を抑えるハイブリッド脚を装備し、厚さ30mmのMDF材をバッフルに使用している。接続されているのは同社のNetMDプレイヤー『DMC-S9NET』
シャープ ソニー
シャープの1ビットネットワークミュージックシステム(商品化予定モデル)。2.8MHz超高解像度サウンド、1ビットデジタルアンプを搭載している。接続されているのは同社のNetMD対応1ビットポータブルMDレコーダー『IM-DR80』。モニターには同社の液晶テレビAQUOSを使用していたソニーのネットワークオーディオシステム(商品化予定モデル)。アイワ同様、5インチLCDモニターは別売になる予定。接続するポータブル機器として、NetMDウォークマン『MZ-N10』のほかにネットワークウォークマン『NW-MST70D』があったのはソニーならではだろう
オンキヨー デノン
オンキヨーのイメージモデル。単品コンポーネントグレードの音質を狙ったディスクリート構成アンプを搭載しているデノンブースに出品されていたエニーミュージック対応システムステレオ『D-MX』。オーディオメーカーらしい高級感のある仕上がりだ
日本ビクター ヤマハ
ビクターブースに出品されていたイメージモデル。独特な形状のスピーカーシステムを採用しているヤマハのイメージモデル。今回、出品されていた製品の中でも最もスタイリッシュで目を引いていた
各社のany music対応製品

■会場で代表取締役社長の野口不二夫氏に聞く

同社の代表取締役社長である野口不二夫氏に事業化にむけての課題などについてお話をうかがった。

野口氏
エニーミュージック企画(株)代表取締役社長の野口不二夫氏。ソニー(株)のネットワークアプリケーション&コンテンツサービスセクターAny Music事業準備室統括部長でもある
[千葉] サービススタート時にはレーベルゲートの協力で音楽コンテンツを供給されますが、今後、海外の事業者も含め、レーベルゲート以外の音楽配信業者との連携は、検討されていますか?
[野口氏] レーベルゲートとのパートナーシップも現時点では、事業化に向けて動いている段階ですので、とにかく今はレーベルゲートとの連携を実現させることに注力しています。とは言っても、将来的に他の事業者からお声がかかれば、お断りする理由はありませんので、取り組ませていただくことになるでしょう。
[千葉] どういったところが想定できますか?
[野口氏] どこということは想定していませんが、レーベルゲートにはない特徴を持ったところなどがあるのではないかと思います。
[千葉] 今回、パナソニックなど他の大手オーディオメーカーが参加されていませんが、そうしたメーカーとはどのような状況にあるのでしょうか?
[野口氏] まだ賛同いただくに至っていないところとも、もちろんお話はさせていただいております。まだ最初の段階ですから、じっくり取り組んで行きたいと考えています。
[千葉] 今回の試作モデルのハード仕様は、一様にCD/HDD/メモリースティックというのが基本的な構成になっていますが、独自の技術を持ったメーカーが参入する場合にはどのように対応することになりますか? 例えば、メモリースティックではなくSDメモリーカードを使う、というようなことですが。
[野口氏] 今回は時間的な制限もあり、こうした構成になっていますが、私たちのスタンスとしては、ハード仕様を共通化する必要はないと考えています。サービスを行なう上でインターフェースの統一はしなければいけませんが、後は各社独自の商品プランを打ち出して言っていただければと考えています。
[千葉] 今回の第1世代モデルはいわゆるミニコンポの構成になっていますが、今後、ポータブル化など、他のモデルが出る可能性はあるのでしょうか?
[野口氏] これは第2世代、第3世代で変化してくると思います。ポータブル化やカーステレオへの対応という面についても意外に早い時期に出てくることになるではないかと考えています。
[千葉] 従来のオーディオには楽曲の表示などをする程度の液晶パネルが装備されることはあったと思いますが、今回、小型ながらもカラー液晶パネルを装備している理由はなんでしょう?
[野口氏] ジャケット写真などのビジュアルを表示したいということがあり、こうした形になりました。もっとも今後、モデルが多様化すれば、液晶パネルを必要としない廉価なモデルが出てくることもあるでしょう。(※1)
※1 著者注:ソニー、アイワのモデルは液晶パネルはオプションになる予定だ。また、シャープやデノンは既存の液晶テレビを使用するなど、すでに各社で対応が異なっている。

[千葉] そうしたビジュアルを表示するということであれば、歌詞などはどのようになりますか? また、DVDシングルが出てきている現状を考えるとビデオクリップの表示、ということもあると思いますが。
[野口氏] 歌詞についてはコンテンツを提供する側のお考えもあると思いますが、楽曲とともに入手できるような方向で検討しています。動画については、よりリッチな通信環境が現実のものとなればありえるでしょうが、いまのところは予定はありません。
[千葉] 楽曲購入に関して、決済システムはどのようになっていますか?
[野口氏] デモでもご覧になれますが、クレジットカードで対応しています。今後、未成年の方の利用も考慮した対応を検討していくことになります。年内に行なう予定の事業化発表の際にご案内します。

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