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『シュレック2』制作にワークステーション導入!HPのLinux戦略を聞く

2003年12月09日 20時20分更新

文● 編集部 小板謙次

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11月下旬、米Hewlett-Packard社のパーソナルワークスステーションズプロダクトマーケティングディレクターのジェフリー・ウッド(Jeffrey D Wood)氏が来日した。本社の新戦略を日本国内およびアジア地域に説明するのが来日の目的だったが、編集部ではこれを機にウッド氏にインタビューする機会を得た。日本市場についてはパーソナルシステム事業統括ワークステーション本部本部長の井上公夫氏にコメントをいただいた。

HPと言えばHP-UXやWindowsばかりでなく、Linuxに関してもプレインストールシステムを積極的に展開していることで有名だ。このLinux戦略の現状がどうなっており、今後どう変わっていくのか話をうかがった。

米HPのワークステーションファミリーについて説明するパーソナルワークスステーションズプロダクトマーケティングディレクターのジェフリー・ウッド(Jeffrey D Wood)氏。氏が示しているラインアップの一番左は日本でも発表になった“nw8000シリーズ”

氏はまず、日本でも12月8日に発表になったノートパソコン“nw8000”、そしてワークステーション、“HP Workstation xw3100シリーズ”、“HP Workstation xw4100シリーズ”、“HP Workstation xw6000シリーズ”、“HP Workstation wx8000”といったラインナップを紹介した。ノートパソコン“nw8000”と“HP Workstation xw3100シリーズ”以外は全てWindows XP Professional、Windows 2000 Professional、Red Hat LinuxからOSを選択可能で、Red Hatはバージョン7.3となっている。

[編集部] Linuxを搭載したシステムにおいて、主な顧客というのはどういうところになるのでしょうか?
米ドリームワークスSKG社製作のアニメーション映画『シュレック』
[ウッド氏] 3Dアニメーション制作のマーケットになります。DCC(Digital Contents Creation)からはじまって映画会社などですね。特に米ドリームワークスSKG(DreamWorksSKG)社、米ウォルト・ディズニー社、米ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス(Sony Pictures Imageworks)社が主要取引先となっています。米ドリームワークスでは3Dのシーンディベロップメントに弊社のシステムを使っています。米ドリームワークスとの関係は『シュレック』からはじまって、最近ではアニメーション映画『シンドバッド 7つの海の伝説』に採用されました。来年春公開予定の『シュレック2』の制作にも使われています。米ドリームワークスは、もともと米シリコン・グラフィックス社(SGI)のシステムを使用していましたがLinuxに移行しました。価格が安いという理由もありますが、パフォーマンスにも満足していただけました。30フレーム/秒を撮影しないといけないところを、46フレーム/秒まで作成できるということで十分実用に耐えられることもあったと思います。フィルム制作以外のマーケットでは、メディカルイメージの分野が挙げられます。例えば最大の顧客は某医療関係のメーカーになります。私どもとOEM契約を結んでおり、LinuxプレインストールのワークステーションがCTスキャナーやMRのシステムに組み込まれています。
[編集部] 今挙げていただいた2社は最初から貴社のシステムを使うことを決定していたのでしょうか?


[ウッド氏] Linuxを使おうということはすでに決定済でした。しかし、実際に試してみると思うようにパフォーマンスが出ず、これは難しいということになりました。そこで弊社にはじめて相談があり、業務に耐えられるパフォーマンスまでアップし弊社のシステムを導入しようという話しになったんです。米ドリームワークスの場合には、最初は6フレーム/秒しかでなかったんですよ。それを弊社で技術者がオプティマイズしたんです。
[編集部] 2社はそれまでは何をメインシステムに使っていたんでしょうか?
[ウッド氏] 米ドリームワークスSKG社はSGI。医療メーカーは米サン・マイクロシステムズ社とSGIのシステムをUNIXで使っていました。
[編集部] 納品したシステムは具体的には何になりますか?


HP Worstation xw8000シリーズ
[ウッド氏] 米ドリームワークスSKG社の『シュレック2』には“HP Workstation xw8000”を250台以上導入され、医療関係にはx4000とxw8000が混在した形で納品しています。
[編集部] 日本市場の現状はどうでしょうか?
[井上氏] 日本HPではパーソナルワークステーション分野でLinuxを搭載したものは1割を占めます。採用されているのは医療メーカーのOEMやEDA(コンピューターによる半導体回路設計)マーケットです。特にEDAのマーケットではLinuxが大きな市場となっており、HPの32ビットシステムが多く使われています。


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