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米アドビシステムズ 社長兼CEOのブルース・チゼン氏が来日――「今期も10%の売り上げ増が目標」

2004年03月05日 16時27分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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アドビシステムズ(株)は5日、東京・大崎の同社オフィスにプレス関係者を集めて、来日中の米アドビシステムズ社の社長兼CEO(最高経営責任者)のブルース・チゼン(Bruce Chizen)氏による“2004年のビジネス戦略と展望”に関する記者説明会を開催した。

ブルース・チゼン氏 石井 幹氏
米アドビシステムズ社の社長兼CEOのブルース・チゼン氏アドビシステムズ(株)の代表取締役社長の石井 幹氏

説明会には、チゼン氏とアドビシステムズ(株)の代表取締役社長の石井 幹氏が出席し、全社での2003年までの売り上げ実績や、同社が掲げる“プラットフォーム戦略”に関する詳細を明らかにした。

PDFとXMLを軸にした
ドキュメントソリューション事業に注力

2002年度および2003年度のアドビシステムズ全世界での売り上げ額と地域別の割合
2002年度および2003年度のアドビシステムズ全世界での売り上げ額と地域別の割合

チゼン氏は、まず2002年度と2003年度の全世界での売り上げ額、および金額ベースのシェアを示し、「2003年度の総売上高が12億9500万ドル(約1450億円)となり、2002年度の11億6500万ドル(約1305億円)から11%の成長を記録した。営業利益率は29%となり、2004年度はさらに10%の成長を目標としている。日本は全世界の売り上げの20%近くを占める(アジア全体では23%)」と話し、アドビシステムズにおける日本の位置づけの重要性をアピールした。

プラットフォーム戦略 Adobe Readerをベースに各方面へ展開
アドビシステムズが掲げるプラットフォーム戦略Adobe Readerをベースに、PDFとXML技術、およびデジタルイメージ編集技術を活用して、レイアウトや画像編集、ドキュメントソリューションなど各方面へ展開していくという

続いて、「最近5年間でアドビシステムズは(グラフィックス編集ソフトを主体とした)ソフトウェアベンダーから、プラットフォーム企業への転換を遂げた」と述べ、アドビの考えるプラットフォーム企業の定義として、

エンタープライズ向け
企業や官公庁向けにドキュメントワークフローを効率化するためのソリューション。Adobe Readerをクライアントとして活用し、『Adobe Acrobat』や『Document Server』『Reader Extension』などのサーバー製品を含む
クリエイティブユーザー向け
デザイナーやクリエイター向けに、グラフィックスやビデオ編集・加工を効率よく表現できる製品群。『Adobe Photoshop CS』『Adobe Illustrator CS』など“CS(Creative Suite)シリーズ”が中心
コンシューマー向け
従来の銀塩写真からデジタルカメラに移行しつつある一般ユーザー向けに、Adobe Photoshopの技術を低価格で提供する。『Adobe Photoshop Elements』『Adobe Photoshop Album』など

と3つの基幹を成す製品群を挙げた。また、「今後はエンタープライズ向け製品に注力していくが、従来同様、クリエイティブユーザーやコンシューマー向けにも製品を提供し続ける」「こうしたプラットフォーム戦略がもたらすメリットとして、パートナー企業との生態系、いわば“エコシステム”が形成できることが挙げられる。SIer(システムインテグレーター)やソフトウェアベンダー、各種プラグイン(機能拡張)開発者などが、アドビと協力して顧客の需要・要望を満たすカスタムかされたソリューションを提供できる」と、同社がエンタープライズ向け製品群に主軸を置いた製品開発を進めること、パートナー企業との関係強化については今後も変わらず進めることを示した。

なお、記者からの「最近PDFを作成可能な低価格製品が登場しているが、これらが脅威にはならないか?」という質問に対しては、「Adobe Readerを利用したソリューションを各社が展開してくることは、大変誇りに思う。アドビでは売り上げの20%を研究開発費用に注いでいるので、技術革新を進めて今後も既存の製品ではできない機能や高い品質を提供し続けることで、顧客に評価いただけるだろう」と、開発力への自信をのぞかせた。

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