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“明和電機 ナンセンス=マシーンズ展”が開幕! ――「メカトロなエンターテインメントなのです」

2004年11月02日 23時44分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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東京・新宿にある東京オペラシティタワー4Fの“NTTインターコミュニケーション・センター(NTT ICC)”において、総合芸術ユニット“明和電機”のプロダクトを紹介する展示会“明和電機 ナンセンス=マシーンズ展”が開幕した。イベントの副題は“まったく役に立たない機械大集合!!”。主催はNTT ICCで、企画協力は吉本興業(株)。12月26日まで、毎週月曜の休館日を除き、開催される。入場料は一般が800円、大・高校生が600円、中・小学生が400円。

会場風景 土佐信道氏
NTTインターコミュニケーション・センターで3日から一般公開土佐信道氏は、1967年兵庫県生まれの37歳。1992年に、筑波大学大学院芸術研究科修士課程を終了という

明和電機は、1993年に土佐正道氏と土佐信道氏の兄弟によって結成された総合芸術ユニットで、コンセプチュアルな電動楽器など造形作品の制作、オモチャなど商品の制作、電動楽器を使ったライブ活動などを行なっている。兄の正道氏が“社長”、弟の信道氏が“副社長”を名乗り、2001年に正道氏が35歳で“定年退職”した後は、信道氏が社長として活動を続けている。明和電機の造形作品は、2003年に世界最大の電子メディアアートのフェスティバル“アルス・エレクトロニカ”の“インタラクティブ・アート”部門で準グランプリを受賞するなど、その業界での評価は高い。

明和電機というユニット名は、両氏の父親がかつて経営していた(有)明和電機に由来している。同社は、真空管の製造ほか、松下電器産業(株)の下請け工場として最盛期には100人を超える従業員を抱えていたという(1979年倒産)。

今回の展示会は、11年間におよぶ明和電機の活動の集大成と言えるもので、土佐信道氏によれば“美術館のコスプレ”を目指したのだという。会場には、魚をモチーフにした“魚器(NAKI)”シリーズ、100Vで動く電動楽器“ツクバ(TSUKUBA)”シリーズといったこれまでの作品に加えて、2000年より制作が開始された“エーデルワイス(EDELWISS)”シリーズの作品が一同に集められている。また、自動楽器の演奏、土佐信道氏による製品説明会、ゲストを招いてのトークショー、子供/大人向けのワークショップ、ランチタイムコンサート、物販などのイベントが開催される予定(各イベントのスケジュールはNTT ICCのウェブサイトを参照のこと)。

魚器シリーズより 魚器シリーズ
魚器シリーズより。左から鯉のぼり型手動式リズムマシン『コイ・ビート(型番:C)』、収納型ハリセン『ハリセンボンブ(型番:B)』、パンチカードを読み込んでホルマリン漬けの魚の尻尾を動かす『ハンマーヘッド(型番:A)』魚器シリーズの中で、最も知られている作品の1つ『魚(な)コード(型番:D)』。頭部分がオスプラグ、尻尾部分がメスプラグになっている。この作品のデザインをもとに、電源延長コード(3800円)、携帯電話ストラップ(780~950円)が商品化された
魚器シリーズの制作は、「自分とは何か」という土佐信道氏の問いが出発点。自分を魚に、世界を海に置き換えて、答えを発見しようとしたものだという。全部で26製品あり、それぞれAからZまでの型番が割り当てられている
エーデルワイスシリーズより エーデルワイスシリーズより
エーデルワイスシリーズより。上段から、自動演奏木琴『マリンカ』、自動演奏ギター『メカフォーク』、機械仕掛けの女性ボーカル『セーモンズ』土佐信道氏によるセーモンズの絵コンテ。エーデルワイスシリーズの立体作品は、『EDELWISS PROGRAM』という土佐信道氏が作成した物語から生まれており、物語(テキスト)を立体化する前に、こうした絵コンテを数多く描きおこしているという
エーデルワイスシリーズより エーデルワイスシリーズより
“脆弱なオスが、メスに対抗するために作った”という金属製のアゴ『プードルズ』プードルズを装着した男性のフィギュア
エーデルワイスシリーよりズ エーデルワイスシリーズより
150種類ものシャンプーや化粧品が混ざった液体『末京液』末京液が入ったボトルを発射する『末京銃』
エーデルワイスシリーズは、土佐信道氏による『EDELWISS PROGRAM』という物語を、実体化させたもの。「女性とは何か、そして生物学的なメスとは何か」という問いが出発点となり、“生殖”“ファッション”“表層”“遺伝子”“再生”といった“女性”を表わすキーワードを、“花(EDELWISS)”に集約させたのだという
コスプレコーナー
明和電機“制服”のコスプレコーナー(20分限定の衣装無料貸し出しサービス)もある。用意されているのは、男性用(S/M/Lサイズ)と、女性用(フリーサイズ)。モデルの週刊アスキー編集部・山口ひろ美が着ているのは、男性用のMサイズ。山口の身長は149cmだが、「ちょうどいいですね。Sサイズなら女の人でも着られる」という


土佐社長に直撃! アスキー的な見どころ

2日には、プレスと関係者向けの内覧会が行なわれ、土佐信道氏も出席した。レセプション終了後、土佐氏に「アスキーの読者(パソコン雑誌/ウェブサイトの読者)にとっての展示会の見どころはどこか」という質問を投げかけてみたところ、「(展示作品は)いずれもメカトロニクスなエンターテインメントですので、見どころはたくさんあると思います」という。

最も注目してほしい展示作品は、エーデルワイスシリーズの『セーモンズ』だそうだ。セーモンズは“Anne”“Betty”“Clara”という3体の電動楽器で、直立する女性を模したデザインとなっている。人間でいうところの喉のあたりにゴム製の“人口声帯”を内蔵しており、胸のあたりに仕込まれたふいごで風を送って空気を送り、“歌”を歌う。音階は、土佐信道氏によれば、人口声帯から発せられた音をマイクで広い、コンピューターで調整をして付けているとのことだ。

セーモンズ(部分) セーモンズと土佐信道氏
セーモンズは、ゴム製の人口声帯に風を送って音を出すセーモンズと土佐信道氏。ちなみに「『週刊アスキー』、読んでいますよ!」とのこと

そして「見どころ」の答えだが、「“故障”ですね。とにかく(作品を)全部持ってきているので、メンテナンスが大変」とのこと。スタッフが立体作品を修理しているところも、一般に公開される。

メンテナンス
メンテナンスの様子も公開される。イベントの日には土佐信道氏も来場するので、運がよければ作品についての質問が直接できるかも


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