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【Macromedia MAX 2004レポート Vol.7】「話したこともなかった開発スタッフが声をかけてきた」――Flex製品開発担当副社長デービッド・ワドワーニ氏に聞く


2004年11月9日
米マクロメディア社のMacromedia Flex製品開発担当副社長のデービッド・ワドワーニ氏
米マクロメディア社のMacromedia Flex製品開発担当副社長のデービッド・ワドワーニ氏

“Macromedia MAX 2004”では、モバイル向けソリューションにスポットライトが当てられたが、同社は近年、企業向けソリューションにも注力している。日本でも9月にウェブページ管理ツール 『Macromedia Contribute(コントリビュート) 3』やデータベースシステムなどとXMLベースで連携するリッチアプリケーション開発ツール『Macromedia Flex(フレックス) 1.5』などを相次いで発表している。会場で米マクロメディア(Macromedia)社のMacromedia Flex製品開発担当副社長のデービッド・ワドワーニ(David Wadhwani)氏にFlex登場の経緯や今後の展開について話を聞いた。



SOA(サービス指向アーキテクチャー)とリッチユーザーインターフェースにより、ROIの向上が期待できると説明する資料
SOA(サービス指向アーキテクチャー)とリッチユーザーインターフェースにより、ROIの向上が期待できる、と説明する資料

エンドユーザーから見ると、Macromedia FlashもFlexも、画像や音声、アニメーションなどを組み合わせた“リッチインターネットアプリケーション(RIA)”を作成するツールとして同じような製品にも思える。Flexをリリースした経緯について、ワドワーニ氏は「ここ2年半くらい、MacromediaはRIAの流れを作ってきた。RIAを採用したサイトでは、例えばショッピングサイトの購入率/予約率が上がったり入力エラーが減るなど、実際にROI(投資対効果)が認められ、一定の評価を得た。しかし、すでに“J2EE”(エンタープライズ向けJavaアプリケーション開発環境)や“.NET”(マイクロソフトが提供するエンタープライズ向けウェブアプリケーション開発環境)など、エンタープライズソリューションやデータベースシステムを導入済みの企業では、Flashだけではアプリケーションの開発が難しいという声も聞かれた。それに対する回答がFlexである」と説明する。

同氏は、Flexを市場投入する際の条件として、以下の3つがあったという。

  • すでにあるインフラをそのまま使えるようにする
  • すでにある(開発)スキルで使えるようにする
  • すでにある(開発)プロセスを使えるようにする

つまり、既存のバックエンドシステムを置き換える(再構築/再設計する)のではなく、既存システムとXMLベースでデータ連携し、ユーザーが入力(注文)するフロントエンド(ユーザーインターフェース、プレゼンテーションレイヤー)の部分を視覚的・感覚的に使いやすいアプリケーション(コンテンツ)として構築することを提唱しているわけだ。従来のFlashでもこうしたアプリケーションの構築は不可能ではないが、Flashがデザイナー向けツールとして表現力の向上に主眼を置いているのに対し、Flexはデータベース設計・管理者向けのライブラリーなどをあらかじめ用意し、デザイン設計に不慣れな設計者にもRIAを作成しやすい環境を提供するツール、と位置づけている。

Flexを使ったサイトの一例
Flexを使ったサイトの一例
Flexを使ったサイトの一例として、ストレージシステムを提供する米ブロケード コミュニケーション システムズ社のサイトを紹介

具体的にFlexが特にフォーカスしたエリア(想定したターゲット)は、

  • “ガイドつきeコマース”(消費者を誘導する使い勝手のいい買い物サイト)
  • “ビジネスプロセスオートメーション”(企業内の効率化を図る業務アプリケーション)
  • “ダッシュボード”(数値をグラフ化するビジュアルアプリケーション”
  • “セルフサービスシステム”(顧客が自分でオプションの選択などを行なう申し込みサイト)

の4つだという。今年の3月にFlexの最初のバージョンがリリースされて以来、企業内システムの構築に導入されたほか、米イーストマン・コダック(Eastman Kodak)社が写真のアップロード/掲示および印刷サービスサイト“Ofoto(オーフォト)”をFlexで開発し、ユーザーから高い評価を得ているという。また、日本の富士写真フイルム(株)も同様のサービスを提供するサイトを今月初旬にオープンしているが、これにもFlexが利用されている。導入実績は500件以上になるとのこと。

Flexで開発された米コダックの“Ofoto”
Flexで開発されたサイトの一例として、米コダックの“Ofoto”を紹介

また、同社では最初のバージョン(1.0)のリリース後、3ヵ月1500時間をかけて顧客へのヒヤリングを行ない、要望を取りまとめて新バージョン(1.5)にフィードバックしたという。その内容、大きく

  • アプリケーションの表現力の向上
  • 開発生産性の向上

の2点に集約される。特に表現力の向上ではチャート機能を強化し、サンプルチャートを増やしてグラフの表現力を高めるほか、チャートにアニメーション効果をつけて時系列で変化するチャートを作成可能にした。また、CSS(CascadingStyleSheet)ベースでスキンやスタイルの変更が可能になり、システム側に手を加えることなく見た目(ルック&フィール)の変更ができるようになったことが大きい、と説明している。

Flexで開発中のページのコードの一部
Flexで開発中のページのコードの一部。エフェクト部分とシステム(アプリケーション)部分が分割されており、相互に影響せずに開発できることがわかる

ところで、Flexが表現力の向上を図っていくと将来的にFlashとの差別化が難しくなるのではないか。その点をワドワーニ氏に直撃したところ、「コードセントリック(コード記述中心)な開発者にはFlex、UIをタイムラインベースで設計するデザイナーにはFlashという位置づけになる。デザイナーにいきなりデータベースと連携したアプリケーション開発させるのは不可能だし、開発者がユーザーが使いやすいデザインを作り出すのも困難だ。両者は将来も共存するだろう。ところで、社名は明かせないが、Flexを導入したある企業では、デザイナー(Flashユーザー)が自分の仕事がなくなってしまうのではないか、と心配していた。ところが、しばらくすると今まで会話したこともなかったアプリケーション開発のメンバーから、『このユーザーインターフェースのデザインはどうしたらいいと思う?』と相談され、彼(デザイナー)の地位が今まで以上に高まった、ということがあった。デザイナーの活躍の場は、むしろFlex導入前よりも広がるだろう」と、ユニークなエピソードを交えた答えが返ってきた。

ワドワーニ氏

マクロメディアはこれまでデザイナーを中心にしたコミュニティーの形成や振興を行なってきたが、Flexのリリースによってアプリケーション開発者にもその範囲を広げていきたいという。企業が作るアプリケーションにもデザインコンセプトを持ち込み、デザインの重要性、使いやすいユーザーインターフェースの普及を目指して、今後もFlexの機能強化を図っていく、と将来の展望を語った。



(編集部 佐久間康仁)


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