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EC研究会とデジタルコンテンツ産業研究会、第90回合同フォーラムを開催――Yahoo! オークションとmixiに学べ!


2005年1月21日

横浜市の人口より多い有料会員、伊勢丹より多い年間総取扱高――Yahoo! オークション

非営利団体の“EC研究会”と“デジタルコンテンツ産業研究会”は21日、会員/非会員向けのセミナー“第90回・EC研/デジ研合同フォーラム”を都内で開催した。同フォーラムは毎回、インターネットを利用した流通業やデジタルコンテンツの製作/販売業などに携わるキーパーソンを講師として招き、各事業の現状や将来の展望などが紹介される。EC研/デジ研合同フォーラムは、1〜2ヵ月に一度のペースで開催され、参加費は6000円(非会員、当日支払の場合)。

EC研究会/デジタルコンテンツ産業研究会代表の土屋憲太郎氏
EC研究会/デジタルコンテンツ産業研究会代表の土屋憲太郎氏

第90回の講演者は、インターネットオークション“Yahoo! オークション”のサービス企画責任者であるヤフー(株)オークション事業部 企画室 室長の八代峰樹(やしろ みねき)氏、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)“mixi(ミクシー)”を立ち上げた(株)イー・マーキュリー 代表取締役の笠原健治氏など4人。ここでは八代氏と笠原氏の講演を取り上げる。



日本最大のインターネット有料会員基盤

ヤフー オークション事業部 企画室 室長の八代峰樹氏
ヤフー オークション事業部 企画室 室長の八代峰樹氏

インターネット総合サイト“Yahoo! Japan”は、2004年10月20日に1日10億ページビューを突破。2004年12月の時点で、月間ページビューは226億5800万、アクティブユーザーID数は1231万、“プレミアム会員”数は482万となっている。プレミアム会員とは、Yahoo! オークションの出品/入札などの会員向けサービスを利用できる有料の会員制度(会費は月額294円)。八代氏は、482万人のプレミアム会員を指して、「人口356万人(2004年11月)の横浜市よりも多く、しかも(20歳以上を対象としているので)すべて成人」と、日本最大のインターネット有料会員基盤から、「安定的かつ継続的」な収入があることをアピールした。

Yahoo! オークションの取扱高、出品数は以下のとおり(2004年12月)。事業規模は、「2004年1月〜12月までの取扱高は5700億円を突破した。だいたい“伊勢丹”の売上が5720億円程度なので、デパートの売上を凌駕するくらいの取り扱いが、Yahoo! オークションだけである」という。



平均総出品数
約707万件
1日平均新規出品数
約57万5000件
月間総取扱高(キャンセル等発生前の数字)
約580億円
1件あたり平均落札額
6373円
1日当たり平均落札率
39%
ユニークブラウザー数
約1891万
月末のストアー数
3312店舗

Yahoo! オークションの出品/入札カテゴリーのうち、現在人気が高いのは、「売上高でいうと、“ファッション”と“自動車/オートバイ”のカテゴリーがほぼ同じくらい」で、それぞれ月間総取扱高のうちの2〜3割を占めているという。男女の構成比率は、Yahoo! JAPAN全体では男性65.1%/女性34.9%だが、Yahoo! オークションはそれよりも女性の構成比率が高いと説明した。

Yahoo! Japanの収益源別売上構成
Yahoo! Japanの収益源別売上構成。詳細については触れられなかったが、2000年以降はYahoo! オークションを中心とした“パーソナルサービス”の売上が飛躍的に伸びている
Yahoo! オークションの事業データ
Yahoo! オークションの事業データ。出品数/月間落札金額とも、月間落札金額が若干減少した2004年の夏を除き、右肩上がりで成長している


Yahoo! オークションのアキレス腱?

八代氏はオークション事業の新規参入について、「システムを提供するだけで、在庫を持たなくていいし、基本的に取引にも関与しなくていい。システムそのものも単純」なので始めやすいが、その後の“ケア”が想像以上に厳しいという。「Yahoo! オークションのシステムだけで5000〜6000台のサーバーが動いている。当然、ブロードバンドが浸透すればするほど、回線の費用もかさむ」。また、システムを悪用するユーザーも出てくるので不正利用のための対策が必要で、不正利用の監視/取締まりのために「億単位の費用を使っている」という。

こうしたことから、たとえ巨額の資金を投入して新規参入するライバル企業が出現しても、「(ノウハウがない企業は)トラブルや課題を解決するのが非常に大変なので、一時集めても、すぐにだめになってしまうのでは」と分析する。しかし米eBay(イーベイ)社に関しては、「ワールドワイドでオークション事業を手掛けている会社なので、脅威とみている」とした。ebayとの競争に勝っている日本と台湾のYahoo! オークション事業部は、研究活動やマーケティング活動など常時シェアしているという。

Yahoo! Japanと国内の競合サービスの規模の比較
Yahoo! Japanと、国内の競合サービスの規模の比較(出展:ビデオリサーチ 2004年9月)
Yahoo! オークションと、国内の競合サービスの規模の比較
Yahoo! オークションと、国内の競合サービスの規模の比較(出展:ビデオリサーチ 2004年9月)
「物が集まるところに人が集まるし、人が集まるところに物が集まるし、そのようにしてスパイラル的な効果が形成される」

Yahoo! オークションの将来の目標は、「人々のあらゆる生活に対して貢献できるような“ライフ エンジン”」となることだという。八代氏は、今後のビジネス拡大のための戦略として、

  1. ユーザー数の拡大
  2. サイトの拡大/機能の充実
  3. ブランド力の強化
  4. 商品カテゴリーの充実

――という4つのポイントを挙げた。現状をみると、ユーザー数の拡大に関連して、携帯電話3キャリアーのインターネット接続サービスのうち、公式メニューリストに掲載されているのは(株)KDDIの“EZweb”のみと顧客獲得の機会を逃しており、八代氏は携帯電話向けサービスを「(Yahoo! オークション事業の)アキレス腱」としている。(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモとボーダフォン(株)については、公式メニューリストの掲載基準とYahoo! オークションのビジネスモデルが折り合わず、交渉継続中という。

講演では、携帯電話向けサービス、ブランド力の強化のための施策として、ウォルト・ディズニー・ジャパン(株)と提携したオークション事業を今春に開始する予定であることが明らかにされた。ヤフーとウォルト・ディズニー・ジャパンは携帯電話向け有料コンテンツサービスの共同展開で合意している。オークション事業では、ディズニーに関する珍しい出品を充実させるだけでなく、実現するかどうかは未定だがディズニー映画の声優として登場する権利を出品するという案も出ているという。


サービス開始約11ヵ月で会員数が30万人を突破――mixi

イー・マーキュリー 代表取締役 笠原健治氏
イー・マーキュリー 代表取締役 笠原健治氏

mixiは、2004年の2月下旬にスタートした国内最大級のSNS。“身近な人とのコミュニケーション”をコンセプトとしており、利用は既存ユーザーの招待がなければ登録できない“完全招待制”となっている。サービス名は、“mix”(交流する)と “i”(人)を組み合わせた造語。笠原氏の講演では、本日、mixiの会員数が30万人を突破したことが発表された。1月21日現在の会員数や書き込み数などは、以下のとおり。



会員数
30万
1日あたりの日記書き込み数
6万7226件
日記に対する1日あたりのコメント書き込み数
32万1269件
コミュニティー数
7万6455件
mixiのユーザー数、PVを示すグラフ
mixiのユーザー数、PVを示すグラフ。指数関数のような曲線を描き、右肩上がり拡大している

笠原氏から「mixiを知っているか」という質問が会場に投げかけられたところ、知っているとして挙手したのは3割程度だった。そのためか、講演ではSNSの基本的な概念やmixiの機能などの説明に多くの時間が割かれた。SNSとは、笠原氏によれば、

  • 自分のプロフィールや友人のリストなど現実社会の関係性をインターネットで再現
  • 友人の輪をつなぐ、人脈図を可視化
  • 日記やコミュニティー、紹介文などで、友人や、友人の友人、同じ趣味を持った人とコミュニケーションを図れる
  • 新しい知識や情報を得られる
  • 誰でも会員登録可能なものと、招待制のものと2種類がある
  • 利用は無料なことが多い

――などの特徴があるという。

mixiで提供する機能は、「コミュニケーションを活性化するにはどうすればいいか」という視点で企画開発されている。現在運用されている数々の機能のうち、笠原氏が中心的な機能としたのは、

  1. 日記の読み書きやコメントの付加ができる“日記”
  2. 共通する趣味などを持つユーザーとコミュニケーションが図れる“コミュニティ”
  3. 自分の書き込みの履歴や友人の日記など最新のトピックを抽出して表示する自分用のトップページ“最新情報”
  4. 自分のページに誰が来たかを表示する“足あと”

――の4つ。“日記”は友人とコミュニケーションがとれるmixiの“縦串”、掲示板的な機能の“コミュニティ”は仕事や趣味など同じ関心や属性を持つ人と新しい交流を持つことができる“横串”で、「縦横の関係が上手く織り成しながら、mixi全体として拡張していく」のだという。mixiの1つの特徴となっている“足あと”機能は、自分が見たことが相手に自動的に知られてしまうため会員から賛否両論があるが、「日記を掲載して、見てほしい人が見てくれたら、非常に嬉しいだろう。それが日記を書くモチベーションや、コミュニケーションを交わしていくための刺激になっていくと思う」と、笠原氏は考えている。mixiのユーザーのアクティビティーについては、2004年の4月頃から継続して、全体の約70%が最後の利用から3日以内に再び利用しているという。



友人との距離を一気に縮められるツール

笠原氏は、“mixiの社会的な価値”の1つとして、情報伝達の速さとコストを挙げた。「例えば、遠く離れた友人と簡単にコンタクトがとれる。あるいは最近知り合ったばかりの友人の趣味や興味が、プロフィールなり日記なりを見ればすぐにわかる。つまり、これまでだったら2〜3年かかって知っていたであろう情報を、良くも悪くも知ることができる。そのほか、良く知っている友人であっても新たな一面を知る切っ掛けになるだろうし、自分のことをよく知ってもらうための情報発信の機会にもなる。mixiは、“友人との距離を一気に縮める”という価値提供があると考えている」

笠原氏だが、「深刻ではないが」と前置きした上で、mixiの現状の課題を挙げた。それは、

  1. システム負荷への対応
  2. 安心感/信頼感のある居心地の良いコミュニティーの提供
  3. 収支

――の3点で、これらはサービス開始当初から変わらないという。mixiの現在の収益源はバナー広告やアフィリエートだが、単月で「そこまでひどい赤字ではない赤字」が続いている。現在はバナー広告やアフィリエートなどの収益源があるが、今後の計画については、「いくつか考えているものがあって、わりと早い段階で発表があるかと思う」とだけ公表した。

最後に笠原氏は今後のビジョンとして、コンセプトのより一層の実現、社会的価値の増進、サービスの完成度を高めることなどを挙げるとともに、“インフラへの挑戦”として「1人1アカウントを持っていただけるような、毎日使っていただけるようなサービスを目指したい。電子メールやメッセンジャーに近い、コミュニケーションツールとして発展していければ」と述べた。mixiを運営するモチベーションは「ユーザーからの励まし」だという。

(編集部 伊藤咲子)




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