このページの本文へ

サンディスクの創業者エリ・ハラリ氏が来日、プレスカンファレンス開催!!――「将来は1GBで1000円に、ノートパソコンのストレージにもなる」

2005年02月24日 19時32分更新

文● 編集部 佐久間康仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
米サンディスクの創業者で社長兼CEOのエリ・ハラリ氏
米サンディスクの創業者で社長兼CEOのエリ・ハラリ氏。日本で3月発売予定というフラッシュメモリー内蔵のポータブルオーディオプレーヤーを手に講演しているところ

米サンディスク(SunDisk)社とサンディスク(株)は24日、東京・六本木の六本木ヒルズ内六本木アカデミーヒルズ49に報道関係者を集めてプレスカンファレンスを開催した。今回に合わせて米サンディスクの創業者で社長兼CEO(最高経営責任者)のエリ・ハラリ(Eli Harari)氏が来日、カンファレンスに出席し、フラッシュメモリー市場の現況と今後の見通し、ならびに日本国内と海外で発売予定の新製品などについて説明した。

当日発表された新製品は以下のとおり。

『Digital Audio Player(DAP)』
256MB/512MB/1GBのフラッシュメモリーを内蔵/WMA&MP3対応/FMチューナー&ボイスレコーダー機能搭載/USB 2.0インターフェース搭載/液晶ディスプレー内蔵/単4電池駆動
発売中(米国)/3月販売開始予定(国内)/オープンプライス(編集部による予想実売価格は256MBモデルが1万円弱、512MBモデルが1万4000円程度、1GBタイプは2万2000円程度)
SanDisk Sansa e100
512MB/1GBフラッシュメモリー内蔵/SDメモリーカードスロット搭載(最大2GB対応)/FMチューナー&ボイスレコーダー機能搭載/USB 2.0インターフェース搭載/液晶ディスプレー内蔵/単4電池駆動
発売中(米国)/3月以降販売開始予定(国内)/オープンプライス
“SanDisk Extreme III”シリーズ(CF Type I/SDメモリーカード/メモリースティックPRO)
CF Type Iは1GB/2GB/4GBの3タイプ、SDメモリーカードは1GBのみ、メモリースティックPROは1GB/2GBの2タイプを用意/CFとSDカードは書き込み読み出しともに毎秒20GB以上、メモリースティックPROは同じく毎秒18MB以上の高速アクセスを実現/-25℃~85℃の環境下で動作保証
3月発売予定(国内)/オープンプライス
“メモリースティックPRO Duo”半透明デザインモデル
携帯ゲーム機『プレイステーション・ポータブル(PSP)』向けの半透明デザインを採用/128MB/256MB/512MB/1GBの4タイプを用意/家電量販店の玩具売り場やゲーム専門店などで販売
3月発売予定(国内)/オープンプライス
『メモリースティックPRO Duo』2GBモデル
業界最大容量のメモリースティックPRO Duo(2月24日時点、同社調べ)
今春発売予定(海外)/国内出荷時期未定/オープンプライス
『Ultra II メモリースティックPRO Duo』
512MB/1GB/2GBの3タイプを用意/書き込み毎秒9MB&読み出し毎秒10MB以上の高速アクセスを実現
今春発売予定(海外)/国内出荷時期未定/オープンプライス
『SanDisk Ultra II SD PLUS』
SDメモリカードサイズにUSB 2.0端子を内蔵/512MB/1GBの2タイプを用意/書き込み毎秒9MB&読み出し毎秒10MB以上の高速アクセスを実現
5月出荷開始予定(海外)/国内出荷時期未定/オープンプライス

SanDisk Ultra II SD PLUSのUSB端子を見せているところ 2004年に発表した超小型フラッシュメモリー『TransFlash』
SanDisk Ultra II SD PLUSのUSB端子を見せているところこちらは新製品発表ではないが、2004年に発表した超小型フラッシュメモリー『TransFlash』が、日本電気(株)の海外市場向け携帯電話数機種に採用される計画があることが、サンディスクから発表された。SDメモリーカードアダプターと比べても、その小ささ(SDカードの1/4以下!!)が分かるだろう。

ハラリ氏はまず、「これまで2つの市場に注力してきた。すなわちコンシューマーエレクトロニクス(デジタルカメラなどのIT家電)とモバイル(携帯電話やPDAなど)だ」と切り出し、これまでのサンディスクの歩みを振り返った。さらに、「インド、中国、南アフリカなど合わせて10億もの潜在的なユーザーいる。まだまだ消費者が眠っている。ストレージのコストを下げることによって、こうした市場の掘り起こしが可能」と、フラッシュメモリー市場拡大に強気な見方を明かした。

米国でのフラッシュメモリーカードのシェア フラッシュメモリーを使用する製品の成長率 価格と容量の関係
米国でのフラッシュメモリーカードのシェア。サンディスクは2004年通期で40%以上の高いシェアを占めていると強調フラッシュメモリーを使用する製品の成長率。日本が先行しているが、海外でも徐々に携帯電話の多機能・高機能化が進み、2005年以降急速な伸び(=フラッシュメモリーカードの需要拡大)が期待できるという価格と容量の関係。1MBあたりの価格(グラフ下)が2004年後半から急激に下落し、それに伴って購入される容量(グラフ上)は急速に拡大しているという

さらに、「これまでも手を広げないように、フラッシュメモリーに集中してきた。(銀塩カメラでいう)富士写真フイルムやコダックのようになる」と、今後もフラッシュメモリーにこだわった新製品の開発・投入を続けていく姿勢を強調した。それを裏付けるべく、「最初はデジタルカメラユーザーが相手の市場だったが、成長に時間がかかっていた。しかし、インターネットの普及から急速にマーケットが拡大した。インターネットがフラッシュメモリー市場の拡大に寄与するとは予想外だった。その後もフラッシュストレージの用途は、携帯電話、USBメモリー、MP3プレーヤー、携帯ゲームやビデオプレーヤー、GPSなど急速に拡大している。また、教育や医療など新しいアプリケーション(活躍の場)も増えている」と話した。教育向けといわれても日本ではピンと来ないが、海外では教科書などの資料をフラッシュメモリーに記録することで、重いカバンを毎日持ち歩かなくて済むソリューション“BookLocker(ブックロッカー、書庫)”を提案して、学校市場に売り込んでいるという。

四日市の第3世代ウエハー対応工場 4世代を重ねたNANDタイプのフラッシュメモリーコア
四日市の第3世代ウエハー対応工場。今週月曜日にハラリ氏も出席して、テープカットを行なったという年々製造プロセスの微細化と書き込み/読み出し速度の高速化を進めるNANDタイプのフラッシュメモリーコア
NANDタイプのフラッシュメモリーのロードマップ 転送速度の高速化の歴史
NANDタイプのフラッシュメモリーのロードマップ。2007年には製造プロセスが55nmに移行するという転送速度の高速化の歴史。2008年までに毎秒100MBを実現したいという

デジタルカメラ市場は、かつての急速な成長から(デジタルカメラメーカー自身からも)伸びの鈍化が指摘され始めている。この点はハラリ氏も認識しており、その上で撮像素子(CCD)の高解像度化が進むことでユーザーが求めるフラッシュメモリーの容量は引き続き増加を続けている。同様に携帯電話などのモバイル市場も、デジタルカメラやMP3プレーヤー、ビデオプレーヤーなど高機能化が進んでいるため、フラッシュメモリー市場の成長には心配していないことを示した。さらなる生産・供給体制の強化に向けて、サンディスクは東芝と共同(50%ずつ)で三重県・四日市に第3世代ウエハー(300mmウエハー)/4Gbit NANDタイプの生産が可能な工場“Fab 3”を建設。これは「日本の製造技術とアメリカの起業精神を併せ持つ、世界最大のフラッシュメモリー製造施設」と自賛し、2005年夏の製造プロセス90nmの4Gbitタイプ生産を皮切りに、2006年には70nmプロセスの8Gbitタイプの生産に移行し、3年後には10倍の開発効率を目指すとしている。これに合わせて、同社は2005年までに第1/第2世代ウエハー(200mmウエハー)の製造に7億6000万ドル(約798億円)を投資しているが、第3世代ウエハーの製造に向けて2006年までに13億ドル(約1365億円)を投資する。この合計20億ドル(約2100億円)を超す投資は日本、特に東芝の高い開発技術を求めたもので、売上に見合うものになると自信を見せた。

デジタルカメラ市場の成長予測 デジタルカメラの出荷割合の変動予測
デジタルカメラ市場の成長予測。急速な普及はこの先あまり見込めず、緩やかなカーブを描くデジタルカメラの出荷割合の変動予測。200万画素クラスはほぼ駆逐され、600万画素以上の高解像度モデルが急速に伸びる見通し
四日市の第3世代ウエハー対応工場 携帯電話に超小型フラッシュメモリー『TransFlash』が採用され始めていることをアピール 携帯電話の多機能化は、2005年以降急激に進むと予想
ポータブルオーディプレーヤー市場の成長予測。こちらは低価格化によって市場規模は緩やかな上昇にとどまるが、台数ベースでは確実な成長を見込む携帯電話に超小型フラッシュメモリー『TransFlash』が採用され始めていることをアピール携帯電話の多機能化は、2005年以降急激に進むと予想。それに合わせてフラッシュメモリーの需要も飛躍的に伸びると見ている

こうしたフラッシュメモリーの改良によって、「2008年には毎秒100MBまで高速化できるだろう。またコストも下げていき、将来はフラッシュ1MBが1セント(約1円)、1GBが1000円になる時代もくる。例えば、現在512MBで50ドル(約5250円)程度のフラッシュメモリーカードが2009年ごろには100ドル(約1万500円)以下で10GBに、さらに、ノートパソコンにも20GB程度のフラッシュメモリーストレージが搭載されるようになり、バッテリー駆動時間の延長に寄与するだろう。こうした環境が150ドル(約1万5750円)程度で実現できるはずだ。これらは私の予測であり、外れたら申し訳ないが、物理学者としての見解だ」と述べ、将来のさらなる発展に自信を覗かせた。

四日市の第3世代ウエハー対応工場 ハラリ氏の個人的な予測
教育市場へのアプローチとして“BookLocker”を提唱。子どものカバンを小さく軽くする、と効果を説明ハラリ氏の個人的な予測、と前置きして2009年の価格/容量やパソコンへのフラッシュメモリーストレージの搭載などを列挙した

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン