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百式・田口氏が仕掛ける“アカデメディア”――速攻で“満員御礼”になる異業種交流会の秘密


2005年3月22日

ユニークな海外のウェブサイトを毎日1件ずつ紹介する“百式”の管理人として知られる、田口 元(たぐち げん)氏。百式のほか、ビジネスパーソン向けのセミナーの講師や書籍の執筆、調査・コンサルティング事業まで幅広く手がけている。編集部では、募集開始半日で約100人の定員が一杯になる人気の異業種交流イベント“アカデメディア”を中心に、企画背景や今後などを伺った。インタビューは、弊社会議室で17日に行なった。

百式の3月17日のトップページ
百式という名前は、「1つの物事でもたくさんの見方がある」という意味で、百(=多くの)式(=やり方)と名づけられた。オープンは2000年1月で、現在は“Yahoo! ニュース”などニュースサイトへの転載分と合わせて12万人以上のメールマガジンの会員を抱えている
3月5日のアカデメディア“検索会議”より
3月5日の第2回アカデメディア“検索会議”より。登壇者は、その回のスポンサー企業のヤフー(株)の代表

アカデメディアは、2004年に開催した異業種交流イベント“無敵会議(※1)”を引き継ぐ企画。田口氏と(有)ウィンビットの“ヒロナカ”氏が主催者となり、「新しいオンラインメディアの形を模索すること」をコンセプトに、ビジネスパーソンをターゲットにしている。参加者には、“ネットワークと音楽の新しいカタチを発想する”“検索とビジネスの未来を考える”などスポンサー企業のサービス/製品と関連したテーマが与えられ、それぞれの分野の専門家による講演の後、会議形式で進行する。過去のスポンサー企業は、1月27日開催の第1回がヤマハ(株)、3月5日開催の第2回がヤフー(株)。今後も毎月1回のペースで開催され、参加料は無料〜3000円程度(※2)。第3回は30日19時30分から東京・御茶ノ水で開催され、スポンサーは(株)サクセス。詳細の確認や申し込みは(23日午前9時開始)は専用のウェブサイトを参照してほしい。

※1 無敵会議は、田口氏と“アクセス向上委員会”の橋本大也(はしもと だいや)氏の主催で、「1つ上のレベルと常に目指すビジネスパーソンのために」、月1回のペースで開催された。企画は2004年12月25日の会議で終了したが、その模様は、無敵会議の専用ページや一般参加者のブログ(blog)などで見ることができる。

※2 回によって異なる



イベント→ブログ→イベント→ブログのループ!!

[編集部] アカデメディアの前身となった無敵会議を始めた動機を教えてください

[田口氏] 初めは、“アクセス向上委員会”の橋本大也(はしもと だいや)氏から、2003年の12月くらいに「イベントをやりましょう」というお話をいただいて、「面白いですね」と軽い気持ちで開催したんですね。そうしたら予想以上に面白くて、参加者も集まったんで、「毎月やっちゃう? 」という話に発展して。翌年(2004年)、橋本氏と一緒に、1年間の“限定企画”として無敵会議を運営しました。

[編集部] 現在進行中のアカデメディアは、ヒロナカ”氏と2人で主催しているとのことですが、こうしたイベントを企画する醍醐味とは?

[田口氏] 3点ありまして、まず“出会い”です。必死に営業をしているわけではないですが(笑)、イベントをきっかけにして仕事が来ることもあります。
次に、飲み会をしたり、一緒に仕事をしたり、転職したりと、参加者間で“波及効果”があるようです。それを直接狙ったわけではありませんが、「人の役に立っているな」と感じます。
あと、ヤフーのように、スポンサーとして名乗りを上げてくださる企業(の考え方)が“先進的”なので、お手伝いできるのが楽しいですね。

[編集部] どのような点で先進的なのか、もう少し詳しく教えてください。

[田口氏] アカデメディアという名前には、“メディアの次を考える”という意味が込められています。イベントが終わると参加者がブログにその内容や感想を自発的に書いて、次回の定員がすぐに一杯になるという“ループ”ができていたので、いわゆる“草の根メディア”をいかに盛り上げて行くかという実験でもあります。
普通の広告出稿(広告料を支払って媒体に広告を載せること)ではなく、こういう性格のイベントを手伝って、草の根メディアに露出するための実験をしてみようという企業がいるということは、凄いと思います。「悩んでいることをユーザーに直接聞いてみたいので、一緒に仕切りましょう」と。

企業も一般参加者も秘密主義はゼロで

[編集部] スポンサー企業はどのようにして募っていますか?

[田口氏] 募集はしていませんが、何となく話が来るといいますか(笑)。イベントに一般参加者として参加した方(の勤め先)が、スポンサーとして名乗りを上げることもあります。

[編集部] スポンサー企業にお願いをしている条件はありますか?

[田口氏] “秘密主義はゼロで”ということです。イベントであったことは参加者にブログで書いてもらうのが前提なので、売り込みではなく、正直に悩みをいってもらうということですね。

[編集部] どうして秘密主義はダメなのでしょう?

[田口氏] イベントとして、そのほうが盛り上がると思います。心理学的なものでしょうが、「すごいぜ」というだけの話だけだと、聴いている方は何もしたくないじゃないですか? 「苦労しています」という話のほうが、共感が得られます。
イベントとして盛り上がるのは、何らかの“悩み解決”がいいので、泥臭いくらいの、1つの製品に固執するテーマのほうが、理解されやすいですね。

[編集部] 一般参加者に対しては、“会議で出したアイデアはスポンサーが使っていい”というお願いを出していますが。

[田口氏] あれも1つの条件ですね。参加者も権利など主張しないでくださいよ、言いたくないアイデアは言わなくていいですよと。それよりもアイデアを出して、それを人とぶつけ合うことに価値を見出してほしいです。アイデアの審査の基準は「インターネット上でいかに注目を集められるか」です。実際のビジネスに結びつけばそれはそれでいいのですけれど、どちらかというと財務的な検証などではなくて、いかに楽しい企画を考えられるかが肝ですね。“交流”が主体の会なので、「頭のいいことを言って、楽しく過ごしましょう」と。

[編集部] 企画を立案する形式のワークショップにこだわる理由は?

[田口氏] 実行まで落としてもいいんですけれど、一般的には、今の形式ではできない。もうちょっとニッチなやり方でサポートするというのはありかもしれませんけれど。

[編集部] イベントの進行でヒントにしたものはありますか?

[田口氏] 今もそうですが、“ミーティングファシリテーション(meeting facilitation:会議を効果的に行ない、問題解決や合意形成を促進するための手法)”を手伝っていたことがありまして。アメリカではそのようなサービスがあるんですが、例えば経営者が集まったときに、だらだら話をしていても時間が過ぎるだけなので、ある種のフォーマットで司会をやって――というものです。そのほか、いろんなワークショップ系の本を読みましたけれども。

[編集部] 主催でなければ、アカデメディアに参加したいですか?

[田口氏] 参加したいと、いつも思っています。
名刺交換だけだと、相手がどのような人物か、よく分からない。名刺交換をして「今後ともよろしく」だけじゃ深まらないと思います。それよりも同じ問題を共に解決すれば誰が自分と同じセンスを持っているか分かりますよね。ただ第一印象だとか、普通の世間話ではなくて、「君、面白いね!」がトリガーになって交流していくのが一番だと思います。

アカデメディアはどこへいく?

[編集部] 百式やアカデメディアの、最終的な到達目標は何でしょう? 成り立ちであるとか“どこから来て”という部分は時々話されていますが、最終的に“どこに行く”のでしょうか?

[田口氏] どこにも行きません(笑)。今のままで完成系だと思っていますので、百式もあのフォーマットを崩すつもりはありません。デザインを変えることはありますけれども、淡々とデータベース(※3)ができていくというだけです。
イベント(アカデメディア)も、多少の変化はあるかもしれませんが、大きくは変わらないですね。あれはもう、ITプロフェッショナルのための知的交流会なので。やるごとに、主催するノウハウもたまってきていますし。

※3 現在まで、2000年1月20日から本日までを日数計算した数、つまり約2000もの海外のウェブサイトを紹介している

[編集部] それでは、これからやってみたいことを教えてください。

[田口氏] いろいろと考えてはいるのですけれど、ひとつは25〜45歳のビジネスマン向けITリテラシー教育。一種の学校ですね。

[編集部] リテラシーが低いと感じている?

[田口氏] いえ、決して低くはないですけれど、「もっとトクするよ」といいますか。
細かい話で言えばアフィリエートとかなんでしょうけれど、そんな小さな話でもなくて。何かやってやろうと思っていて、自分のメディアを持ちたい人たちが楽しく知的に交流できれば。

[編集部] お話の中で“メディア”という言葉が時々でていますが、どのような意味合いで使っていますか?

[田口氏] 僕の中では、ブログに近いですね。自己表現がある程度の数に対してできるところ。じっくり取材することも重要なのですが、思いつきでもいい、それに共感できる人が十分いれば、メディアだと思います。

[編集部] ブログのサービスを始めるとか、そういう企画はありますか?

[田口氏] できたら、そういうこともしたいですね。

[編集部] プログラミングもなさると伺っていますが、実はすでに開発していたりとか。

[田口氏] 試験的なものはありますけれども、とても人様に見せられるものではありません。

[編集部] 話は変わりますが、プログラミングについては、もっと広く勉強されるべきという趣旨のことを別のインタビューでお話されていたのを記憶しています。もう少し詳しく教えてほしいのですけれども。

[田口氏] 小学生から、理科とおなじレベルで、相当やったほうがいいですね。分野はゲームでもサービスでも何でもいいのですけれど。
プログラミングというのは、大きな問題を小さく考えてコツコツ1つ1つ潰していくという“自信を付けるツール”であり、問題解決をするための“思考体系”であり、最高の“エンターテインメント”であり。人間のOSレベルで組み込んだほうがいいですね。



(編集部 伊藤咲子)


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