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【INTERVIEW】ウォークマンはメディアになるか?──ソニーとFM802のコラボで生まれた、限定ネットワークウォークマン

2005年07月21日 18時10分更新

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ソニー(株)と(株)FM802のコラボレーションで生まれた、HDD搭載ネットワークウォークマンが登場した(関連記事)。

平尾氏
ソニーコネクトカンパニー商品企画部企画3課プロダクトプロデューサーの平尾成史氏

販売は各モデル100台ずつ(合計200台)を2回に分けて行なう予定。1回目の販売は8日にすでに済んでおり、発売開始早々に完売するほどの好評ぶりだったという。2回目の販売は7月下旬に行なう。製品のイラストは、FM802とソニーが主催するクリエイター発掘プロジェクト“You are the NEXT!Project”のアート部門“digmeout”から登場したイラストレーター大谷リュウジ(おおたに りゅうじ)氏と、形部一平(ぎょうぶ いっぺい)氏が描いた。

今回はこの企画に携わったソニー(株)コネクトカンパニー商品企画部企画3課プロダクトプロデューサーの平尾成史(ひらお せいし)氏にお話を伺った。



コラボモデル
イラストレーター大谷リュウジ氏(右)と、形部一平(右)氏が描いたイラストと、ネットワークウォークマン
[編集部] 今回の企画は、何をきっかけに実現したものなのでしょうか?
[平尾] ソニーはもともとFM802のスポンサーとして、新人発掘イベントに協力してきました。うまくコラボできないかなということで、FM802が10年越しでおこなっているアーティスト発掘プロジェクト”digmeout” などをサポートする形で、今年の始めごろに今回の企画が立ち上がりました。“発掘して世に送り出す”というのは、新しいものを作って育ててきたウォークマンのフィロソフィー(思想)に通じる部分があります。“ウォークマンをステップにして、はばたいていってほしい”というのが企画の主旨です。
[編集部] 反響はいかがですか?
[平尾] これまでのユーザー層とは異なる、アートなコミュニティーから「面白い」という反響をいただいています。「自分もやってみたい、チャンスがほしい」という問い合わせも多数来ています。
[編集部] FM802は関西のFM局ですが、音楽ファンの間では熱い支持を受けているそうですね。
[平尾] FMに対するカルチャーは、関東と関西でずいぶん違いますね。その“熱気にホレた”というのも企画を始めた理由のひとつです。コラボ製品というのは他社を含め過去いくつかあったと思うのですが、有名アーティストではなく、新人を起用している点が特徴と言えるのではないでしょうか。フラットな裏面や前面のスペースにとにかく自由に描いてもらうことにして、こちらからの注文は特に付けないことにしました。


シルク印刷の技術にも苦心
形部氏のイラストでは8色という色数の多さ、大谷氏のイラストでは線の細かさが難しさだったという
[編集部] 企画を実現する上でのむずかしさはどこにあったのでしょうか?
[平尾] イラストレーターは、この小さなキャンバスに自分の絵をどう表現したらいいかに苦労したようです。まず原画を描いてもらい、版を起こし、シルク印刷を施し、サンプルがアーティストの意図に沿ったものかどうかのチェックをしてもらう工程が必要になるのですが、大谷さんは、大阪に住んでいるので、東京と大阪を10回近く行き来したと思います。機器の製造はマレーシアで行なっているんですが、通常2ヵ月かかるところ1ヵ月程度と短時間で対応してもらいました。
[編集部] 形部さんのイラストはポップでカラフル。大谷さんは繊細でセクシーな画風ですが、どちらもきれいに仕上がっていますね。
[平尾] 形部さんのほうは8色のシルク印刷ですが、普通はこんなに色を使わないんです。1色か2色です。大谷さんのほうは細い線を出すのが難しかった。始めは設計者から無理だと言われて、もっと太く書いてもらえないかという要望もあったんです。でもアーティストの将来を考えると、それを表現してあげたかった。アーティストが自由に表現できるよう設計者は四苦八苦してました。


ウォークマンはメディア
「新人アーティストが世の中に出て行く手助けをするのが今回のテーマだ」と平尾氏は語った
[編集部] もともと確立したデザインがあるものに、別の要素を加えるという難しさもあったのではないですか? 例えばインダストリアルデザイナーはフラットな背面に意味を持たせてデザインしたのでしょうし。
[平尾] 彼らには“インダストリアルデザイナー”という観点でプロジェクトに参加してもらっていて、どのようにしたら製品で栄えるかをアーティストにアドバイスしてもらいました。例えば、形部さんの原画はもう少しくすんだ感じの色合いだったんですが、シルバーの本体にはこちらのほうが栄えるだろうということで、よりビビッドな色を提案し、アーティストの方に決めてもらいました。大谷さんのイラストも当初は「黒地に黒で描くと面白いのでは?」という話がありました。シックで良かったのですが、近くで見ないと分かりにくいという理由でシルバーを選んだのですが。
[編集部] ウォークマンは音楽を聴くためのプレーヤーですが、例えば、お気に入りのMDを友達と交換するなど、コミュニケーションデバイスといった側面もあると思います。イラストを話の種にして新たなコミュニケーションが始まるかもしれませんね。今後はプレイリストの交換など、ネットを絡めた展開なども期待しているのですが。
[平尾] 今回は新しいものを発掘していく、世の中に出て行く手助けをするという部分がテーマでしたが、いろいろなことを考えています。ウォークマンの今後の動向には、これからもぜひ注目してほしいですね。


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