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「ユーザーがコンテンツを所有することこそが重要」──新iPod担当者インタビュー(その1)

2005年10月13日 18時26分更新

文● 林 信行

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iMac、iPodそして音楽ビデオやテレビ番組コンテンツの販売も行なうiTunes 6が発表された米アップルコンピュータ社のスペシャル・イベント――今回の発表内容について、日本の報道関係者の質問に答えるべく、アップルは最も重要なスタッフの2人を日本に送り込んでいた。

編集部のインタビューに答えてくれたのは、2人いるiPodの生みの親のうちの1人であるスタン・イング(Stan Ng)氏(プロダクトマーケティングiPod担当ディレクター)と、1998年に発表されたボンダイブルーの初代iMac以来iMacに関わってきたトム・ボーガー(Tom Boger)氏(ワールドワイド デスクトッププロダクトマーケティング担当シニアディレクター)の2人だ。

本来なら米国でのスペシャルイベントに立ち会っていてもおかしくない2人が、こうやって日本のプレスに直接応えてくれているというのは、同社が日本市場をいかに重要に考えているかの現われかもしれない。

スタン・イング氏
プロダクトマーケティングiPod担当ディレクターのスタン・イング(Stan Ng)氏
[林] 今回の発表の中でも、特に米国の人気テレビ番組の販売というものは、映像コンテンツ界の歴史に残る一大事件だったと思います。
[イング] そうですね。人気テレビ番組を放映した翌日から購入可能にするというのは、ABCやウォルト・ディズニーにとっても非常に大きな決断だったと思いますが、それを認めてくれたことを本当に喜ばしく思っています。
[林] 同社とはどれくらいの期間交渉を続けて来たのでしょう?
[イング] あいにく契約の細かいことについては話すことができません。
[林] 販売されるテレビ番組には広告も入っていないんですよね。
[イング] そうです。広告が一切入っていないので、1時間番組でも実際にはそれよりかなり短くなります(笑)。それを1番組1.99ドル(約230円)のワンプライスで提供します。
[林] これが実現したというのは、テレビの番組制作そのものにも大きな変化があったということでしょうか。こうして販売される番組には従来型の広告モデルでの番組放映とペイ・パー・ビューとしてのビジネスモデルが共存していると思うのですが。
[イング] 再び申し訳ありませんが、やはり、それも契約に関わる内容なので話すことができません。
[林] これまでインターネット上の有料映像コンテンツには、ペイ・パー・ビュー型のほかに、サブスクリプションベースでの番組提供がありましたが?
[イング] 我々はユーザーがコンテンツを所有することこそが重要だと思っています。サブスクリプション型のサービスでは、期間が過ぎるとコンテンツに対する権利は失われてしまいます。ユーザーはコンテンツを一時的に借りているだけで、所有しているわけではありません。

これに対してiTunesでは、ユーザーがコンテンツを所有することを重視しています。購入したコンテンツは永久にユーザーのものであり、ユーザーはそれを自由に使うことができるのです。

新しく販売される映像コンテンツについても、iTunes Music Storeで購入した音楽と同様の権利が用意されています。つまり最大5台までのパソコンで楽しめて、iPodに関しては台数無制限で利用できます。これはユーザーがコンテンツをどう楽しむか、という点において大きな柔軟性を与えてくれるはずです。そしてこの柔軟性こそがiTunes Music Storeを、あれほどまでに人気が高いサービスにしているんだと信じています。講演の中でスティーブ・ジョブズが言っていたように、今回の発表はテレビの視聴スタイルを大きく変えることになると思います。
[林] これだけ柔軟なユーザーの権利を提供できたのは本当にすごいことだと思いますが、ABC以外の他の放送局とも同様の契約は結べそうですか?
[イング] あいにく、その質問についても現時点で発表できることは何もありませんが、ディズニーとの契約は、過去に前例のないものであり、この素晴らしいサービスの実現に手を貸してくれたディズニーには感謝するばかりです。
[林] 映像業界と音楽業界では、どちらがよりつきあいやすそうですか?
[イング] ごめんなさい。それもちょっとコメントできない質問です。

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