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【特別企画】モバイル新世紀! ウィルコムに聞くW-ZERO3の魅力
2005年10月25日
W-ZERO3の“生みの親”が登場
国内初のWindows搭載スマートフォンとして熱い注目を集めた“W-ZERO3(ダブリューゼロスリー)”こと(株)ウィルコムのPHS端末『WS003SH(B)』。携帯電話機やPDAは製品として一定の成熟期に入っており、ASCII24の読者は、もはやちょっとやそっとの機能追加では驚かないだろう。しかしW-ZERO3が備える強力な通信機能とパソコンとの親和性、さらにソフトやアプリケーション面での柔軟性/拡張性に、大きく期待した読者も多いのではなかろうか。
そこでASCII24編集部ではW-ZERO3をより深く知るために、ニュース(20日掲載)、フォトレビュー(21日掲載)に続き、ウィルコムに対し速攻インタビューを敢行。ウィルコム 常務執行役員 コンシューマ営業本部長の土橋 匡(つちはし ただす)氏と、W-ZERO3の企画/開発のキーパーソンである営業開発部 企画マーケティンググループ 課長補佐の須永康弘氏に、その魅力について伺った。インタビュアーは、アスキー編集人の遠藤 諭ほか。
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左から営業開発部 企画マーケティンググループ 課長補佐の須永康弘氏、ウィルコム 常務執行役員 コンシューマ営業本部長の土橋 匡氏、遠藤 諭(21日・ウィルコム本社で撮影) |
Sidekickもザウルスも当然検討済み
[アスキー 遠藤]
シャープ(株)が製造したPDAライクなPHSという新聞の第一報(リーク記事)を見て、月刊アスキーの編集長が「これは『Sidekick(サイドキック)』(米Danger社)に違いない!」と予想したのですけれども、Sidekickになりそうなこともあったとか?
10月26日、シャープから同社がハードウェアの設計を担当したSidekickシリーズは『Sidekick II』であると連絡がありました
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[ウィルコム 土橋氏]
いい線いってますよ(笑)
[ウィルコム 須永氏]
でも1つ言えるのは、海外の端末市場と日本の端末市場はニーズが異なるんですよね
[遠藤]
海外では、ビジネス向けの『BlackBerry』(カナダResearch In Motion社)に対してカジュアル向けのSidekickという受け止められ方なのでしょうけれども
[土橋氏]
仮にSidekickのようなコンセプトの商品であったら、開発コストはかなり抑えられますよ。(W-ZERO3が)ハイエンドですごく売れたら、ローエンドでの製品展開も“SIM STYLE”ならあるかもしれない
[遠藤]
今回のシャープとの企画はいつ頃始まったのでしょうか? 例えば……2005年の4月3日とか!?
[土橋氏]
うーん、近い……か!?(笑) しかし実際、“いつ”と言うのは難しいんですよ。今回の企画は営業連携からスタートしていますので。要は「費用を負担するので作ってください」という製品ではないので、メーカーとキャリアが歩調を合わせなければならない
[遠藤]
“ザウルス”の“H”IN(エッジ イン:内蔵型PHSモジュール)”タイプを作るという選択肢はなかったのでしょうか
[土橋氏]
富士通(株)さん、松下電器産業(株)さん、(株)日立製作所さん……と複数のメーカーさんからH”INタイプのパソコンが発売されましたが、商品性は非常にいいのですけれども、パソコンの開発とPHSの通信速度の進化は別のサイクルなので、それが合わないというジレンマがあったのは確かです。通信が進化したときにハードを買い換えるのかという話になると、それは負担でしょう
[遠藤]
ちょうど“W-SIM(ウィルコムシム)”も出てきたし
[土橋氏]
通信のモジュール自体が“着せ替え”になれば、その部品のコストは抑えられるし、ある意味3秒で機種変更できますから。従来の音声端末スタイルではなくて、“第3のコミュニケーションツール”をシャープさんと一緒に模索したんです
ライバルはPSPかもしれない
Windowsプラットフォームだからこそ
[遠藤]
20日の製品発表会で最も印象的だったのは、「これが国内におけるWindows Mobileの第一歩となる」というマイクロソフト(株)のダレン・ヒューストン氏のセリフだったんですよ。ワールドワイドで携帯電話市場に食い込みたくてたまらないというマイクロソフトの事情がよく出ていて。Windows Mobile 5.0 for Pocket PCをOSとして選んだ理由はどこにあるのでしょうか?
[土橋氏]
我々は、オープンなプラットフォームでいたい、こだわりを持った人/企業がこだわりを持っているパートを受け持てばいいと考えています。そういう多様な選択肢の中で消費者が好きなものを使ってもらえばいいのではないでしょうか? ウィルコムは、すべて自社で用意する垂直統合的なビジネスモデルではなく、あくまでオープンな水平展開なビジネスモデルを今後も目指していきます。
[遠藤]
端末を設計する上でメーカーから“Windows Mobile 5.0 for Pocket PCを使いたい”という希望があったとか?
[須永氏]
いろいろなメリット/デメリットを検討した上で決定しました
[土橋氏]
製品発表会の後で、コンテンツやソフトの開発企業がホームページなどを通じて、ウィルコムのコンテンツ配信プラットフォームへの参画を表明していました。一般的に、携帯電話向けのコンテンツ配信プラットフォームが新規に立ち上がったら、コンテンツプロバイダーは端末の種類や市場規模を検討して参加/不参加を決めます。今回スタート当初から数多くのコンテンツをご提供いただけたのは、Windowsプラットフォームという新市場への期待の表われではないかと思っています
動画配信ビジネスに興味は?
[ライター 島]
W-ZERO3は、Windows Media Player 10 Mobileを搭載して、デジタル著作権管理機能(DRM)にも対応していますし、ISPのようにウィルコムがポータルサイトで自ら動画を配信する可能性はないのでしょうか?
[須永氏]
少なくとも、発売当初は考えていません。ただ無線LANサービスを開始していますので、その後はユーザーの需要を探りつつ検討でしょうか
[遠藤]
『プレイステーションポータブル(PSP)』もメディアプレーヤーのような使われ方をしているので、W-ZERO3のライバルはPSPかもしれない
[土橋氏]
インターネットの掲示板に“小学生の孫がお爺ちゃんにW-ZERO3を買ってと頼んだら間違ってPSPを買ってきて……”という冗談が載っていましたが、うちの息子は「4〜5万円でも自分で買う」と言っていましたね。理由は“ガンダム”のゲームがあるから
[アスキー 小暮]
W-ZERO3では一般ユーザーが開発したアプリケーションも動くのでしょうか?
[須永氏]
今は検証するための機器が十分でないので何ともいえないのですが、.NET Compact Frameworkを利用したアプリケーションであれば、基本的には動くはずです。Visual StudioやWindows Mobile 5.0 SDKによって開発環境を充実できるよう、マイクロソフトさんと相談しています。いろいろカスタマイズしてもらいたいという意味でのWindowsでもありますし
Windows Mobile 5.0 for Pocket PCがベストな解
5.0だから使いたくなった
[アスキー 伊藤]
W-ZERO3は、コントロールパネルから各種の設定を行なうあたり、国内の一般的な携帯電話機とは操作性が大きく異なっているので、Pocket PCを使ったことがない人は結構苦労するかもしれません。マイクロソフトは携帯電話機に搭載可能なOSをいくつかリリースしていますが、他のOSを使うという選択肢はなかったのでしょうか?
[須永氏]
もちろん、マイクロソフトさんからはWindows Mobile 5.0 for Smartphoneの紹介もあったのですが、これは電話の基本機能に重きを置いたOSなので、W-ZERO3のコンセプト(携帯電話の機動性/パソコンとの親和性)とは異なりました。現実的にはWindows Mobile for Pocket PCとWindows Mobile for Pocket PC Phone Editionの2つの選択肢があったのですが、W-ZERO3が実装した機能を実現するにはWindows Mobile for Pocket PCが現時点ではベストな解だったと思います
[伊藤]
逆に、Windows Mobile for Pocket PCを採用するのであれば、もっと早い時期に製品化できたのではないのでしょうか?
[須永氏]
それはやはり、Windows Mobile 5.0だから使いたくなったんですね。Windows Mobile 5.0 日本語版は8月にリリースされたのですが、このバージョンで初めて不揮発性メモリーが採用されました。携帯電話機としてこれは非常に重要なことです。例えば“バッテリーが切れたら友達のメールが消えた”というのでは困りますよね。それと“伝言メモ”や“ドライブモード”など電話ならではの機能がスタートメニューに入っているのですが、これができたのもWindows Mobile 5.0だったからです。また待受け画面(スタート画面)では、Pocket PCの場合は今日の予定が表示されるのですが、電話機らしくないですよね。そこでW-ZERO3では標準の状態で、不在着信であるとか通話関連のメッセージが表示されるように変更されています。もちろん、Pocket PCのインターフェースに慣れたユーザーは、コントロールパネルから設定を変更すれば“いつもの表示”に変更できます
[伊藤]
Internet Explorer Mobileがスタイルシートに対応していないのが、惜しまれます
[須永氏]
それはそのとおりだと思いますので、マイクロソフトさんと今後の課題として検討したいと思っています。最近は、日本法人さんやメーカーさんの交渉のおかげで、レドモンド(米マイクロソフト社の研究開発拠点)でも日本の携帯電話市場をかなり意識していただけているように思います
10月26日、ウィルコムから「製品版ではスタイルシート(CSS)対応予定」との追加連絡がありました
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レドモンドで丸1日説明し続けた
[須永氏]
それと、先ほどの“もっと早く出せたんじゃないか”という指摘ですが、出ないですよ(笑)。ハード、ソフト、マーケット、すべての要素がちょうど整った今がベストと思っています
[土橋氏]
猛烈な台風が迫っているなか、須永と一緒にシャープさん(奈良。シャープの研究開発拠点)まで行って、帰りの新幹線の中で8時間身動きが取れなくなったり。アメリカにはPHSサービスがないから「PHSって何か分からないみたいだから基地局担いで行け!」と渡米させたり(笑)。普通にやっていたら発売は来年の春から夏ですよ
[須永氏]
ほぼ1泊3日でレドモンドまで行ってきたのですが、本当に1泊3日で往復することになるなんて、ウィルコムはすごい会社だと思いました
[伊藤]
基地局を担いで行ったんですか!?
[須永氏]
いいえ。最終的には同行したエンジニアが仕様を丸1日説明し続けたら、最終的には「だいたい分かった」とおっしゃっていました
[伊藤]
根競べですか?
[須永氏]
そういう訳ではないですが、どちらが折れるかという話には、どうしてもなってきますね。と言いますのは、Windows Mobile 5.0 for Pocet PCはそもそも電話機への搭載を想定していないですし、一方でウィルコムは電話機としての仕様を作っているので、確実に合わないところが出てくる。例えば、Pocket PC的な考えだと、電源をOFFにしていても“サスペンド”と捉えて、入力したスケジュールの時間になったら、飛行機の中だろうが何だろうがポンと鳴る。一方電話の場合は、ユーザーに迷惑をかけてはいけないので、電源をOFFにしたら“何があっても動かないでくれ”というのがウィルコムの仕様なんですよね。そういう項目が何十もあったのです
次期製品が気になって仕方ない!
神がかっていたシャープ
[遠藤]
なんといってもキーボードですよね、W-ZERO3で画期的なのは
[土橋氏]
それは須永のこだわりから生まれました
[須永氏]
こう持ってパチパチ押してもらいたかったから(写真参照)、キーを左右両脇に逃がしたんですよ。“飾り”のキーボードでなくて本当に使ってほしかったから、配列から押し心地からこだわっています
[遠藤]
何度も作り直してもらったと
[土橋氏]
何といっても今回は、シャープさんが凄かった。神がかっていた
[須永氏]
まさに期待を超える回答をしていただいたんです。シャープさんにも話を伺ってください
「欲しい」という日本人は10万はいる!
[遠藤]
12月に急いで発売する背景を教えてください
[土橋氏]
音声定額、データ定額、音声端末――と、一連の“波”を途切れさせたくない。我々の10年間の軌跡がありまして、テイクオフするときはかなりエンジンを使いますよね。上昇気流に乗る時には、みんな付いてくるじゃないですか。その波を切らしたくないし、マーケットはお客様が決めることなので
[小暮]
インターネットでは、9月に発表された『WX310K』『WX310SA』『WX310J』を買おうと思っていたユーザーが、W-ZERO3の発表を受けて、どれを買うべきか迷っているようです。どうやって選んだらいいのでしょうか?
[土橋氏]
両方買ってください(笑)。実は、W-ZERO3のリリースを急いだのは、早く存在を明らかにしてじっくり検討してもらえればという配慮もあります。発売1.5ヵ月前の発表会というのは時期としてはどうかという議論もありますが、ユーザーには“WPC EXPO 2005”などで実際に触れていい意味で悩んでほしいです
[遠藤]
買うなら歴史的なW-ZERO3のほうでしょ
[アスキー 本多]
記者発表会では2005年度は10万台生産するというお話でしたが、実は結構強気な数字なのではないでしょうか? おそらく過去に国内で発売されたPDAで10万台以上売れたものは1機種くらいしかないと思います
[伊藤]
携帯電話キャリアの関係者が、いわゆるスマートフォンの市場は1機種あたり3万台程度だと見積もっていましたけれども
[土橋氏]
過去発売された端末の実績をみると、(3万台というのは)そんなものですよ。しかし、競合製品のように料金は気にしなくていいし、リアルタイムでいろいろな情報に触れられるし。W-ZERO3の商品性に触れて、自分のライフスタイルに取り入れたいという人、導入を考えていただける企業の社員、すべて合わせて日本に10万人はいると僕は確信しています
[遠藤]
実は先日、ニューヨーク在住のライターと会ったのですが、ウォールストリートとかを歩いているとホワイトカラーはみんなBlackBerryだと。それを聞いたら、10万台どころじゃないなと思いました。海外を見るとそうなる
[島]
W-ZERO3が発売されたあと、後継機種が出るまでは、どうやって市場を盛り上げるのでしょうか?
[遠藤]
最初でローエンドでの製品展開という可能性もありましたけれども
[土橋氏]
一段落したところで、需要を冷静に見てですね
[遠藤]
WS003SH(B)の(B)は、ブラックですよね?
[島]
他のメーカーはどうなのでしょう?
[土橋氏]
新しい企画は、当然いろいろありますけれども、1つ1つは機が熟したら発表しますので、ご期待ください
(編集部 伊藤咲子)
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