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【INTERVIEW】ニワンゴ杉本社長、GoogleやYahoo! とは違う“味な検索”


2006年1月6日

メールで完結するキーワード型情報検索サービス

ニワンゴ代表取締役、ドワンゴ事業開発部 第2セクション担当部長の杉本誠司氏
ニワンゴ代表取締役、ドワンゴ事業開発部 第2セクション担当部長の杉本誠司氏

2005年末に発表され、大きな注目を集めた携帯電話機向けのメールポータルサービス“ニワンゴ”。1月中旬(予定)のサービス導入時の目玉機能はキーワード型の情報検索で、“Google モバイル”“Yahoo! モバイル”などと異なり、メールで問い合わせてメールで結果/情報そのものを受け取るというのが新しい。企画/運営は(株)ドワンゴの子会社である(株)ニワンゴで、取締役のひとりとして“2ちゃんねる”の管理人であり、(有)未来検索ブラジルの取締役である西村博之氏を迎えたこと、一般ユーザーに課す情報料が無料であることでも話題を呼んでいる。今回は、サービス開始を前に、ニワンゴ代表取締役の杉本誠司(すぎもと せいじ)氏に企画の意図、ビジネスモデル、検索システムと将来像などについて伺った。





ニワンゴの利用イメージ

インターネット接続に対応した携帯電話機(通信キャリアー問わず)を用い、専用メールアドレス(m@niwango.jp)に知りたい情報に関するキーワードを送ると、その情報が記載されたメールが届く。サービス開始当初に問い合わせできる情報は、電車の乗り換え、地図、天気、小説、着メロ、辞書(英和/和英/国語)、おみくじ、ニュース、画像合成(写真フレーム加工)、“2ちゃんねる”のスレッド検索の10分野(予定)。例えば「乗換 東京 渋谷」と送信すると、現在の時刻での電車の乗り換え情報が送られてくる(サービス事例(1)参照)。また任意のキーワードに対して返答するシステムもある。そのほか、検索した時点でその単語の登録がなくても、そのキーワードの情報が追加されると“フォローメール”が自動的に配信される(予定)。

(サービス事例1)電車の乗り換え情報を検索するイメージ
サービス事例(1):電車の乗り換え情報を検索するイメージ(2005年11月の記者発表会より)
サービス事例(2) 指定した地域の天気予報
サービス事例(2):指定した地域の天気予報
事例(1)のようにURLを記載してウェブサイトに誘導することもある



ドワンゴはテクニカルにコンテンツを遊び回す

[編集部] ドワンゴは、パソコン/携帯電話機向けのエンターテインメントコンテンツの企画やシステム開発事業で知られていますが、メールポータルサービスのニワンゴはどのようにして誕生したのでしょう?

[杉本氏] ドワンゴという会社は、“テクニカル”にコンテンツを遊び回すことに大きなこだわりを持っていまして、例えば“いろメロミックス”事業では、着メロ/着うたのようなコンテンツを揃える一方で、いろいろな機能の実装にこだわっています。入会・未入会、サービスの利用頻度、コンテンツの利用状況などユーザーのプロファイル(profile)に合わせて表示される内容が変化したりとか。

ニワンゴの企画の原型は、1年ほど前に、現在ニワンゴを構成しているメンバーの中から社内の企画会議で出てきたものです。その頃“いろメロミックス”では、天気予報/乗換案内/国語・英和・和英辞典といった実用情報を徐々に実装し始めていました(コーナー名は“いろメロポテト”)。そういったものをベースに、例えば着メロの検索結果や新着情報をメールで取得するような、一種の備忘録的な機能を増やしてはどうかと思い立ったわけです。

当時はm@niwanogo.jpのような専用メールアドレスにメールを送って、返事が返ってくるというような企画ではありませんでした。検索結果や新着情報を友達に転送するとか、メールを使ってユーザー同士がコミュニケーションができたら面白いと思ったんです。

「ウェブにアクセスするサービスなんだから、ウェブですべてやればいいじゃん」という意見もありましたし、議論はどうしてもウェブに回帰しがちなのですが、ウェブをまったく介さないで、そういう情報にアクセスできたら、便利だし面白いんじゃないかと思いました。

それで、メールで完結させようと決まった瞬間に、メールで問い合わせをしてそれに対して答えが返ってくるといいねという発想になって。それって“検索”じゃないですか。その時から、以前からお付き合いはあったのですが未来検索ブラジルさんを交えて、検索としてどういうことができるのかとか検討を始めました。一方、ドワンゴの守備範囲になるんですけれど、人口無能のようなものを組み合わせたら面白いよねと。

未来検索ブラジルさんとは、どのへんをどうしたらより面白くなるか、ビジネスというより“面白くなるか”ということで企画を詰めていきました。

[編集部] 言語解釈や、キーワードを分割するアルゴリズムはどちらが開発しているのですか?

[杉本氏] もともとは未来検索ブラジルさんですが、自然文の解釈はニワンゴの開発チームがやっています。

サービス解釈当初は“コマンドライン”という考え方で、“乗り換え”“天気”という決まったキーワードを入れるものだったのですが、やっぱり自然文でメールを書いて、それに返事が返ってくれるといいよねという希望はあって。自然文でのやり取りについては、ニワンゴと未来検索ブラジルさんとで作りこんでいる段階です。

メールの転送から生まれる文化もあるだろう

[編集部] 昨年の記者発表会では、携帯電話のメールの利用者はウェブサービスの利用者より30%多い約7000万人であることなどを挙げていましたが、サービスを提供するプラットフォームとしてウェブサイトに回帰しなかった理由をもう少し具体的に教えてください。

[杉本氏] ドワンゴの社風だと思うのですが、これはもうビジネスというより、“ほかがやっていないから”ということでしょうね(笑)。携帯電話向けのコンテンツサービスは、本来ウェブとメールの2つの市場があるわけです。ウェブ系のサービスを追求するのは相変わらずやっていますけれども、そういえばメールの分野は手をつけていない。じゃあやろうじゃないかと、決まったわけです。

[編集部] 電車の乗り換え情報から小説のようなコンテンツまでメールで受け取れるわけですが、ニワンゴとしてはコンテンツ(メール)を友達に転送することを推奨しているのでしょうか? いわゆる“公式サイト”で配布しているコンテンツの多くは、待ち受け画面であるとか、着信メロであるとか、著作権保護によってユーザー同士がメールで自由にやり取りできない仕組みになっていますので、少し意外です。

[杉本氏] 権利者に許諾を得ることは絶対に必要です。しかし、著作の権利を論じるとともに“口伝え”で広まっていくことから生まれる文化を考えることも重要ではないでしょうか。

コンテンツを友達にプレゼントできれば、贈った自分は幸せですし、もらった友達も幸せじゃないですか? コンテンツ配信事業者にしてみれば、プレゼントに満足すればその友達がサービスに新規で加入する可能性が高く、プロモーション効果が期待できます。


ニワンゴのビジネスモデル

いかにユーザーに負担なくビジネスに乗せていくか

[編集部] 企画を練っていく過程で、事業化できると確信できたターニングポイントはどこでしょうか?

[杉本氏] 一昨年の冬頃からプロトタイプを作りつつ面白さや便利さを評価して、サービスで出せるんじゃないかという確信を持てたのが昨年の春の中盤ですね。実用的な情報のやりとりを実装した頃です。

[編集部] 広告による収入モデルの話が出てきたのも、この頃でしょうか?

[杉本氏] 春の終わり頃だったと記憶しています。じゃあどうやって収入を得ようかと。メールなので、ユーザーからどうのこうのとやると、そのぶんハードルが高くなってしまうじゃないですか? フリーで開放しようという案もあったのですが、実際そういうわけにもいかないですよね。

[編集部] 面白さを追求して作ったシステムに、収入モデルを後付けするのは難しかったのでは?

[杉本氏] そうですね。基本的には、m@niwanogo.jpにメールを送り、その返信メールに広告が付帯するわけですが、基本的にはユーザーから広告を取りに行くような形になりますよね。ですから、自分が取った行動の結果として広告が送られてきたことをいかにユーザーに意識させるか、いかに違和感のない広告を載せていくかが問題です。文章的な問題であったりとか、メールを送るタイミング的な問題であったりとか、メールの中に広告が掲載されている位置であったりとか……現在でもまだまだ検討を加えています。

[編集部] ドワンゴのコンテンツビジネスは、これまで広告事業を柱としていなかったと思いますが、組織的に新設ないし補強するのですか?

[杉本氏] 社内にも広告のレップ(インターネット上の広告代理店、もしくは業務)的機能をもともと持っているし、代理店とも話し合っています。



やりたいのは単なるバナー広告じゃない

[編集部] ニワンゴを法人として独立させたのはなぜでしょう?

[杉本氏] そのあたりは“こだわり”です。メールを使った新しいサービスの機軸をひとつ作るということで、今までのドワンゴのサービスモデルと違います。また、今回ニワンゴを先行して発表していますが、“勝手サイト”(※1)系のサービスをリリースしていく準備もあります。勝手系のサービスをすべてニワンゴでやるということではありませんが、今回ニワンゴを足がかりにして勝手系のサービスを踏み出すということで、財務的にどうとか、グループ的にどうとかいうわけではなく、ひとつ腹を括って括ってやりましょうということなのです。

※1 携帯電話向けコンテンツの分野で、通信キャリアーが運営するポータルサイトのメニューに載らないサイトの俗称。メニューに載るサイトは“公式サイト”と呼ばれる

[編集部] ドワンゴはiモードの黎明期から公式サイトビジネスを手がけていますが、ニワンゴはなぜ、勝手のサービスなのでしょう?

[杉本氏] 雰囲気として勝手サイトのほうがいいのかなと。

まず、パケット通信料定額制の導入によってウェブ全体のアクセスが伸びているという背景があります。我々は今まで公式のフィールドのみでビジネスをしてきたのですが、片や、あまり注目していなかった勝手市場がすごく伸びている。これはニワンゴの事業化を考えて初めて気付いた点ではあるんですけれども。もちろん、公式市場も依然伸びてはいるんですよ。ただ絶対数として、パケット通信料定額制の導入で伸びているアクセスの多くが勝手に向かっているというのは事実です。

ドワンゴは“ケータイのビジネス”を総じて手がけたいし、サービスをあらゆる方に提供したい。公式サイトを使わない携帯電話ユーザーにも、ちゃんとしたサービスをデリバリーしなきゃいけない。

[編集部] 公式サイトのほうが、ユーザーからの情報料と広告のどちらか一方もしくは両方を組み合わせて収入源にできますし、単純に、コンテンツ事業者にとってはビジネスとして成り立たせやすい気がします。

[杉本氏] 公式サイトの広告モデルは、バナーが中心だったりするじゃないですか。ドワンゴが現在運営している公式サイトでは、ユーザーに情報料をお支払いいただいて場の提供をしていただいていますが、そこでさらにバナーを貼るというのはユーザーからすれば“ありがたくない話”ですよね。現在稼動中のドワンゴの公式サイトでは、タイアップは実施していますが、コンテンツ的な付加価値があるものしかやっていません。

それで、今回のニワンゴでもバナーなどによる単なるインプレッションの広告モデル(※2)は考えていなくて、ユーザーの挙動に対してセグメント(分類)してユーザーフレンドリーな機能を提供するとか……そういうことをやっていこうとしたときに、公式サイトの広告モデルだとちょっと制限が多いと感じたんです。

※2 ウェブサイトに広告バナーを掲載し、それを目にする人の数を基に広告料金を決めるモデル

ニワンゴからの返事の文例
ニワンゴからの返事の文例。アスキーアートのミ(゜θ゜)彡はニワンゴ自身
ニワンゴからの返事の文例
ニワンゴからの返事の文例。こちらはおみくじ
写真は開発中のもので、本サービスでは変更される可能性があるという

ニワンゴの未来の姿

随所に効かせる“ひろゆき節”

[編集部] ニワンゴプロジェクトを構成するスタッフはどのような世代ですか?

[杉本氏] ドワンゴの企画とかエンジニアですね。20代後半から30代ちょいで若いですよ。

[編集部] ニワンゴ(鶏のキャラクター)のセリフはひろゆきさん自身がかなり書いているそうですね。

ニワンゴのお披露目パーティー(2005年11月)で配られた『うまい棒』。本記事タイトルの“味な検索”は、ここから拝借した

[杉本氏] 激しく書いてますね。書きまくっているわけじゃないですが、朝の挨拶であるとか、ベースとなる部分は彼が書いていますね。いわゆる“ひろゆき節”ですね

[編集部] キャラクターはドワンゴが作ったんですよね?

[杉本氏] それは、みんなで考えて作ってます。ニワンゴの“ニ”は西村博之の“ニ”なんですよ。

[編集部] “2ちゃんねる”の“ニ”じゃないと。ニワンゴは首のところに線が入っているので、モナーに鶏のぬいぐるみをかぶせたのではないかと勝手に誤解していました。



ニワンゴ(ビットマップバージョン)

[杉本氏] 線なんか入ってますか!? ああ、確かに入ってますよね(笑)。鶏なんですけれど、羽根も手で持っているんですよね。

[編集部] 何でこのデザインにしたのですか?

[杉本氏] 何でと言われても……鶏に見えるから。実際、デザイン案はいくつかありましたが、満場一致でこれに決まりました。

[編集部] どのユーザー層に受けそうとか?

[杉本氏] 内輪受けはしていましたね。



Googleとは違うアウトプットで“おもてなし”

[編集部] 最終的に目指しているサービスイメージは?

[杉本氏] 何ていうんでしょう? “www.google.co.jp”であるとか“www.yahoo.co.jp”であるとか、パソコンを買ったら必ずアクセスするサイトというのがあるじゃないですか。そんなポジションの、携帯電話を持っていて、メールをやっている人だったら誰でも一度メールを送ったことがあるようなメールアドレス。何か言葉が分からないとか、何か気になるという時、どこかの誰かに何かを聞きたいときにメールを送ってくれたら“何か”が返ってくるサービス。パソコンだったら、単語の意味を知りたい時に限らず、何でも“Google”で検索する人っているじゃないですか? それですね。

[編集部] サービスの概要を伺ったときに「Googleを目指しているのかな」と勝手に想像したのですが。

[杉本氏] ただGoogleと同じことをやっても勝てないし、そもそもGoogleと同じ道を歩もうとも思っていません。Google的な発想はありますが、Googleとは違うアウトプットで利用者をおもてなしすることを心がけています。

[編集部] Googleとは違うアウトプットというところをもう少し詳しく教えてください。

杉本氏

[杉本氏] 要するに、メールの文章という形の“結果”で返ってきます。

クローリングにもいくつか段階があって、一番最優先にしているのは、ニワンゴのサービス専用データベース(※3)です。ただ、そこで引っかかってこないものは当然あるわけで、クロールする枠を広げていきます。できれば携帯電話機で見られるウェブサイトが望ましいので、そういうフィルタリングをかけて、データベース以外、例えばインターネット、例えば提携企業のウェブサーバーであるとか、そういうところをクロールして、そこから該当する情報をお戻しする。URLとなって返ってくる可能性もありますが、“メールでやりきれないところがあればウェブに引き渡す”というニワンゴのコンセプトのとおりなので、全然違和感がないですよね。お客さまは、ウェブを通すこともあるけれど、最終的には目的のものが手に入ると。

※3 サービス開始当初、メールのやり取りで得られる情報は、前述のように電車の乗り換え/天気/辞書など10分野(予定)

[編集部] 携帯電話機の画面で正しく表示されないウェブサイトは対象にしますか?

[杉本氏] 閲覧したときに崩れてしまうサイト、閲覧できないサイトについては、正直どうしようか悩んでいます。あまり見せたくないですし、ユーザーも「なんじゃこりゃ?」ということになるので。例えば、表示できるものとできないものを選別するフィルターを作って、文字列だけ抽出して、お戻しできるようになればいいと思っていますが、まだそこまでは至っていません。

[編集部] 企業やユーザーのサイトがニワンゴでコンテンツを提供したい場合は、月額の手数料か何かをお支払いするのですか? それともバーター(交換)取引ですか?

[杉本氏] さまざまなパターンがあります。両方ありで、ケースバイケースです。

[編集部] 極端な話、小説は書けないけれどブログなら書けるという人が応募してきた場合に、どうしますか?

[杉本氏] コンテンツとして面白ければどんどん配信していきます。もう少しミクロな話ですと、ニワンゴでは将来利用者と利用者の距離が近くなったときに、ブログ的、SNS的なコミュニケーションツールとして使われることを目標にしています。日記が見たい人は見る、日記を表に出したい人は出すということを、メールアドレスベース、ないしはメールアドレス+キーワードで実現するのかなと。



1対1のメールをいかに“横”に広げるか

[編集部] 11月の記者発表会でも将来的にコミュニティー機能を追加し、サービスを活発化させるというお話が出ましたが、この点をもう少し詳しく教えてください。というのも、例えばひろゆきさんが手かげている2ちゃんねるは、ユーザー同士の横のつながりでアメーバ的に利用者が増えていったじゃないですか。一方でニワンゴの初期機能は、クライアントとユーザーの“縦”の繋がりだけなので、それをいかにして“横”に広げていくのか、もしくはメールアドレス(個人情報)が絡んでくるのであまり広げたくないのか、というところが気になります。

[杉本氏] その部分は検討段階なので、プランニング中という前提でお話すると、ニワンゴならではのコミュニケーション、コミュニティーの中で、キーワードであるとか意味であるとかブログのやり取りをしてもらうということは導入したいです。

その反面、メールアドレス、これは個人のものになるのかm@niwanogo.jpのようなものになるのか分かりませんが、それを通じて、大手のサービスとシームレスに展開して行きたいという気持ちはあります。実際、「コミュニティーなんかもう入っているよ」というユーザーさんも多いですよね。例えば僕が“mixi”に参加しているとして、認証の方法は分からないですが、例えばm@に僕のニックネームと日付を入れてメールすると日記が返ってくるとか。ユーザー同士の口コミを通じてサービスを拡大させていきたいですね。

ニワンゴのキャラクター
最後まで読んでくれた読者に朗報!! 杉本氏のご厚意により、ニワンゴの隠しコマンドとして“アスキー”を仕込んでおいてくれるという。アスキーと送って、ニワンゴが何と返事を返すのか、それは編集部にも分からない。サービス開始を楽しみに待ちたい


(編集部 伊藤咲子/佐久間康仁)




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