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【INTERVIEW】島根発のFlash制作TVアニメが始動 あのFROGMAN=蛙男商会がついにメジャーデビュー!


2006年3月29日

島根から全国へ。その理由は?

全編Flashで制作されたアニメーション作品が、TVのレギュラー番組として放映開始される。その作品は、ウェブサイトが月間30万PVを誇るという蛙男商会の“ザ・フロッグマンショー”。4月5日26時40分(6日の午前2時40分)から、テレビ朝日・朝日放送系列でオンエアーとなる。作者のFROGMANこと小野 亮氏は、島根県に本拠を構えて創作活動を行なっている。

東京国際アニメフェア 2006のDLEブース
蛙男商会の脱力系人気キャラが飾られた、東京国際アニメフェア 2006のDLEブース

地方在住の映像作家がFlashアニメによってメジャーデビューを果たすその意義と、制作費用や制作期間の増大傾向が続く“アニメ界の既成概念”にたった1人の男が立ち向かうこの強烈なカウンターパンチの真相を、作者であり(株)蛙男商会の代表取締役会長でもある小野氏と、蛙男商会を陰からサポートする(株)ディー・エル・イー(DLE)の代表取締役社長の椎木隆太氏に、“東京国際アニメフェア 2006”の会場で話を聞いた。DLEは、米国で映像制作に関するさまざまな人材(クリエイターから権利関係に明るい弁護士まで)をアテンドする“全米制作者協会(The Producers Guild of America)”に正式登録している、映像コンテンツビジネスにおけるコンサルティングファームだ。

会場で話を聞いたFROGMANこと小野 亮氏と椎木隆太氏
会場で話を聞いたFROGMANこと小野 亮氏(右)と、ディー・エル・イーの代表取締役社長の椎木隆太氏(左)

[――] 小野さんは以前から映像制作に関わっていたそうですが。

[小野氏] 劇映画の制作に関わっていました。元々映画監督になりたかったのですが、実際には消耗するばかりで、いつになっても自分の撮りたいものが撮れないことが嫌になっていました。そんなとき、インターネットで“ネットムービー”というものが出てきて、そうした制作にも携わったのですが、予算もなく、民生用のビデオカメラで撮影していました。

そのとき、これなら地方ででもできるんじゃないかと思ったわけです。地方でネットコンテンツの映像を作って、それが認められればと。日本のコンテンツ業界は“東京集中型”ですが、ネットならどこででもできます。そういうことを体現できたらすごく痛快じゃないか。コストを少なく、全国相手にビジネスができたらと思ったわけです。

[――] だから島根で。島根は小野さんの故郷なんですか?

[小野氏] いいえ。ある時、島根県にロケで行ったのですが、それを機会にそのまま島根に住み着いてしまったんです。当時は島根と鳥取がどっちかわからない程度の認識で、縁もゆかりもない場所だったんです。

[――] 島根での映像制作はうまく進んだのでしょうか?

[小野氏] これが実写を撮るとなると難しい。役者は揃わないし、撮影スタッフも劇映画の経験者が少なかったんです。

[――] それでアニメをやろうと思ったわけですか?

[小野氏] いいえ、すぐにそこへ直結したわけではありません。僕自身は絵を描くこと自体はとても好きだったのですが、それこそ子どものころ、教科書の端にパラパラマンガを描く程度でした。Flashアニメを始めたきっかけは、2004年にアトムショックウェーブ(株)のサイト(shockwave.com)で青池さんの作品を見て、その豊かな映像表現に感銘を受けたことでした。青池さんも映像畑の人だったので、自分に近いものを感じたということもありました。

布団からアニメ!?

小野 亮氏

[小野氏] Flashの特性として、“モーション・トゥィーン”(2枚以上の映像からその間の動きのコマを補完する機能)や“シェイプ・トゥィーン”(2枚の映像の間で連続的に変化していくコマを補完する機能)といった機能を使えば、アニメを作るスキルがなくとも動かせるわけです。映像の演出はできるけど、絵はうまく描けない僕にとってはピッタリだったのです。普通、マンガやアニメの作家は同じ絵を何枚でも描けて当然なわけですが、僕の場合、二度と同じ絵を描けないんです(笑)。それで最初に作った“菅井君と家族石”では、始めに作ったキャラクターを1回から10回まで使い回しているんです。そんな状況なので、「サインに絵を入れて」と言われると困ってしまうんですよね(笑)。

[椎木氏] Flashアニメの制作には、むしろアニメの知識が邪魔をするんです。(Flashアニメでは)演出方法には限りがあるのですが、その中でどれだけ遊べるか。それこそが“小野さんの得意とする分野”だと思います。通常のアニメでは“限界を感じさせないような表現”を目指すわけですが、小野さんの場合は“最初からこれしかできない”。まさに“リミテッド・アニメ”、それもさらにベーシックなところにあるのが“Flashリミテッドアニメ”ということですね。現代のアニメから最も遠いところで勝負するのがFlashなんだと思います。作画枚数を考えても、500枚もない状況は史上最低枚数なのではないかと思います。

[――] これはアニメのあり方を根底から覆す可能性が十分にありますね。



椎木氏

[椎木氏] テレビアニメの世界では数百万円、数千万円というコストをかけて制作して数%の視聴率を取っているのが、Flashアニメだとコスト数十万円で視聴率3%とかがとれる。こんなことが現実に起きてくれば、普通のアニメをやめて、Flashで制作した作家性のあるものをつくった方が得だ、ということを放送局側も認識したというわけです。DLEと蛙男商会としては、面白い本があっていかに面白くビジネスとしてできるかを「こんなやり方でどうだ」、と投げかけたいと考えています。それも日本だけはなく「世界にどうだ」、と。いまのアニメ制作は、中国やインドにアウトソースして、半径数千kmのアジア圏に出ていかないと制作できない状況にありますが、小野さんの場合は椅子に座ったままでできてしまう。

[小野氏] 机で描いて、布団の中で録音してますから、半径1mでできてしまうということですね(笑)。

[――] 布団からアニメですね(笑)。

[椎木氏] 小野さんの場合、絵の第一印象のハンデをハンデではなく独特の世界観として押し出していますが、これは一度見てもらえれば魅力になると考えています。現在のアニメの多くに見られる、「映像表現がスゴい」、というのは本来なら些末な話ではないかと思うんです。どれほどの大作でも脚本がよくなければだめですよね。

[小野氏] 映像表現がスゴい、というのはお客さんを集める宣伝文句としてはいいと思います。しかし、人を集めた以上、いいものを見せなければだめなんじゃないかと思っています。




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